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1級建築士設計製図のポイントは記述にあり


去年約20年ぶりに1級建築士試験を受験し、学科製図ともに合格しました。
この記事では設計製図において感じたことを一つだけお伝えしたいと思います。
それは設計製図の記述こそ合否を分けるカギであるということ。
設計製図の採点は闇に覆われてると言いますけど、図面に関しては基本的な記述もれなど、決定的なものがなければ、あとは記述勝負。

設計製図試験では製図が6割で記述が4割と、記述のウエイトは結構大きいのです。

記述こそが合否の別れを決定つける可能性があるということを、受験生の皆様には覚えておいてほしいところです。

なぜか。

それはつい図面作成に時間を取られて記述が疎かになりがちだから。

合格者の製図レベルはどんぐりの背比べ

はっきり言って製図試験においてエスキス能力を上げること、作図時間を短縮することっていうのはめちゃめちゃ突き詰めてると思います。
でも果たしてそれって、他の受験生より大きく差ができるとは思いません。
そもそも私も大学時代作図時間は早かったので、3時間の壁は1か月ちょっとで突破しました。
エスキスに対しては、誤読や深読みなどが多かったので合格レベルには達することがなかなか難しかったのですが、自分ほかの受講生とくらべて作図能力に劣るっていうのは感じませんでした。
それよりも記述。

記述は製図の減点を取り戻すチャンス

定期的な記述対策で文字や文章を書く訓練を

記述の対策ってできることはあんまり多くないとは思います。
でも明らかにできる対策は書くこと。専門用語は漢字での記述を求められるし、文章を膨らませて書くというテクニックは、書きなれないと難しいものです。
その対策にいいのは、やはり定番の答えを書き写すこと
当たり前の書きまわしでも、書き慣れるといろんな表現を使って文字数を膨らます、解答欄をそれっぽく埋めるということができるようになります。
あとは、現代人は書くことに慣れてません。
同じ文章でも早く丁寧に、読める字で書くっていうのは、一朝一夕では難しいスキルです。

記述は解答時間が読める

エスキスや製図はうまくハマればいいですが、そうでなければ作図までの時間が読めません。
その点記述の方は、ある程度定番の書き方さえマスターしていれば解答時間が読める(残りの時間は作図にまわせる)というのはメリットです。
中には作図より先に記述を埋めるという人もいるようですが、確かに残りの時間を全力で作図に打ち込めるというのはいいかもしれません。

今後記述内容は限定されていく可能性

2023年度の設計製図の記述試験において、「省エネルギー化の実現や再生エネルギーの導入によってエネルギー自立度を高める工夫」といった内容が出されました。
定番の解答ですと「屋上には太陽光パネルを設置して…」とか「LED照明を用いて…」とか。「窓にはLow-Eガラスを用いて…」というものがありますが、2023年度ではそれ「以外」ということで、あまり対応できてなかった受験生は焦ったのではないかと思います。

ちなみに私も焦りました。

が、解答としてはルーバーを取り付けて遮蔽を意識したことや、屋上緑化で熱負荷低減といったことを書いた気がします。
なので、今後こういった定番の解答になっているものは、設問で潰してくる可能性があるので、いろんな言い回しや記述方法を身に着けておく必要があるなと感じました。

設計製図試験における記述対策

2年目以降の受験生は今から記述対策を

ゴールデンウィークを過ぎて、改めて製図板を取り出している受験生もいるようです。
ここから再度昨年の作図手順を思い出したり、階段、トイレまわりを重点的に練習するのも有効ですが、まずは時間にアドバンテージであるので、記述に時間を取ってみてはどうでしょうか。
2023年の記述の中に「二酸化炭素の排出量低減について」という記述もあり、高性能断熱材や現場発泡のウレタンを使用するといった記述にしましたが、行間を埋めることができませんでした。行間を埋めるために「高炉セメント」に関する記述を追記しようかと思ったんけど、自信が持てず行を開けたまま提出しました。
危ない橋は渡らない、けどもう少しきちんと対策をしておけば書けたかもしれないというのは試験後に感じたので、ぜひ自信をもって解答できるように時間を掛けてみてください。

初年度生にはやはりハードルが高いか

そう考えると初年度生のハードルって高いです。
学科試験終了後の2ヶ月ちょっとの間にエスキススキルや製図のスピード、更に記述までというのは厳しい。
ちなみに私は1日5時間以上の時間を割いてましたけど、大半は作図に掛けてました。記述は、日建学院の模試試験で全く書けなかったことから、そこからは徐々に記述への時間を意識しました。
空き時間は定番の答えを書き写したり、いろんな記述対策のサイトを探したり、とにかく空き時間を無駄にしないように意識しました。

製図も大事だけど記述も忘れないように

しつこいようですが、この試験で多くの受験生が一番時間を割くのは作図時間の短縮とエスキスのレベルの向上。間違いなく試験対策の大半はそれで間違いないとは思います。
ですがこの試験は製図と記述が伴なわなければ合格することはできません。
逆にいうと製図に時間を割きすぎると記述に対する勉強時間を犠牲にしがちです。
製図の致命的な失敗さえなければ、記述でどう加点していくかということが合格への近道になるわけですが、基本的なことを忠実に書く知識と文章力を身に付けるには、一夜漬けのような対策では難しいです。

特に設計に関すること(配置計画等)の記述はたいてい出てきますし、環境に関することなども比較的出題が多いです。最近は図を書くといったことも求められるようなので、記述にもきっちり時間を使いながら試験対策をしてみてください。


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