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エアプBBQテキサス

ここ数日バーベキュー動画にハマっている。本番メリケンはテキサスのゴリゴリ右派な保守思想を持ってそうな南部野郎のBBQ動画というのは本当に凄まじい中毒性を持っている。BBQはなんというか日本で言うところの「ラーメン」みたいな労働者階級ノリで、庶民の脳死グルメの最高峰に加え、過度な伝統格式化を纏ったような神聖さを帯びている。家系とか二郎に似た狂気性が内在しているように感じ取れる。

全てを司るピットマスターはめっちゃ草野球上手いオッサンみたいなリスペクトを持たれる存在であり、日曜大工的に生業を持ちながらある種求道者として週末バーベキューに勤しんでいるノリらしい。BBQには何個も大会があって、協会も複数存在し専門誌もちゃんと存在しているというこのインディーズ文化みたいのはディグるだけで無性にワクワクしてくる。

大会に企業チームブースも出展するそうだが、多くの同人BBQ作家はそんな営利な存在を歓迎していないとコミケみたいな現象が発生しているらしい。(by市川紗椰氏コラムより。メリケンカルチャーにジャパナイズナード視点の共通性を見出すのが興味深い)

「競技バーベキュー≒競技漫才」のような図式すら浮かんでくる熱量である。制限時間故のバーベキューテクニックなど小技も多数存在する。

そして我々はバーベキューという行為についてかなり誤解している。日式BBQといえば焼肉の屋外ver.みたいなイメージで炭火を起こし薄く一口サイズで効率的に摂取する食肉イベントなのが共通理解であろう。しかしホンモノのバーベキューとは「肉を焼く」という行為では断じてない。

テキサス主流を例にとると、ブリスケットと呼ばれるコンビーフに使用されるようなただファイヤしただけでは屑同然のカス部位を、如何に美味く仕上げるのかのゲームなのである。マスタードやオリジナルブレンドの香辛料、肉温計を用いた肉の内部温度管理、霧吹きによるコンディション維持や炭火故のシビアな運用など肉の総合芸術のようなハイカルチャーである。所謂激安素材をどこまで極上にできるか?という試練のようだ。

その労力は1バーベキュー最大十数時間をかけ、肉から肉を創造するような召喚行為に等しい行動である。ただこの傍流部位の肉塊を美味く食べたいという情熱のみでここまで発展してきており、ある意味錬金術に近いような狂気性を孕んでいる。宗教野球政治に次ぐBBQの話はしてはいけない、と社会マナーとして定着するほど各派閥がそれぞれの経典を持ちローカルで伝統文化となっているのも面白過ぎるのだ。各州に山岡士郎がいる感じ。「BBQんぼ」(バベキュんぼ)が読みたくなってくる。

バーベキューの基本的な原則というのは多種多様な説もあり明確な定義化されていないが、我々のような焼肉というのは「グリルする」と異なる思想の料理形態だと認知されているようで、BBQガチ勢からすると「ラーメン」と「カップ麺」ぐらい同一視されたくない勢力なそうな。そしてマクドナルドが出したBBQ風バーガーの「マックリブ」は敬虔な南部住民からすると本当に許せない存在である。(マックリブはマックリブで一部からはカルト的な人気を持っているという事実もアナザーレイヤーで興味深い)

こんだけ人々を熱狂する食文化ではあるが日本においては一部の熱心な人々の密かな楽しみレベルであまりメインストリームに居ない感じがある。俺は視覚でしかBBQを理解していないが、ドネルケバブが一定の勢力を持ちケバブ丼なるローカライズに成功している現状を踏まえると「ブリスケ丼」なる商品は何か日本社会に風穴を開ける気がしてならない。

↑おそらく日本の本格派BBQチャンネルでトップランカーだろうがこの再生数である。アーリーアダプターとして革命前夜の胸騒ぎがする。Weberのグリルが実戦兵器みたいでカッコイイ。

余りにビジネスプランとして見え過ぎて、料理もしないのにゴーストキッチンの自宅での開業やキッチンカー事業のイロハまで派生して動画学習をしてしまうという久々にワクワクが止まらない状態まで陥ってしまった。何度も言うが俺は本場のBBQの味を知らない。

下記動画はアメリカにおけるBBQカルチャーを履修できるので非常にオススメです。あとは「BBQ brisket」とかでディグれば数多のバーベキューyoutuberが自身のご自慢の設備と調理を胃もたれするぐらい布教してくれる。

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