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おもしろクーデター・メディアの支配者

フジサンケイグループの勃興と、鹿内家のメディア王としての支配からの3代目就任に伴い日枝氏によるクーデター成立までの凄まじいフジテレビ史を濃厚に描いている。「箱根彫刻の森美術館」という存在が実はとてつもなく価値を持っているという事実はちょっとドラマみたいで面白過ぎる。随時イニシャル表記のH氏がどうなったのかが気になる。

フジサンケイグループの捻れた利益構造の新聞社へのスキームなどなんでここまで解るんやと凄まじい取材力であるし、横領した某社員に纏わるきな臭いお話はリアリティある無茶苦茶さだなあと思う。クーデター前夜の密会のテンションや工作に走り回る様子はなんかワクワクする。オッサンたちであんなワチャワチャしてるのはある意味青春。

そして財界の裏で暗躍する長老の存在や揉め事解決仲介マンがちゃんと至る所にいるのがフィクションみが強くて面白い。鹿内家内部の華麗なる一族のドロドロ加減はそれ単体でも読んでも成立するレベルで役者が揃いすぎている。

あとデカい企業の役職者というのはなんか仕事内容というより、パワーバランスの調整反映という駒でしかないんだなあと思うとサラリーマンの所謂上級職というのは社内政治力を闘争するしかなくなっていくのだろう。

下巻で面白いのは現在のお台場移転に纏わる行政との絶妙な関係性や、現存するものより壮大なフジテレビのメディアセンターとして計画はバブルの残り香を孕みながらも夢の世界を作ろうとしたんだなあと権力の次は街を作る欲求が出てくるのは人間の業である。

YouTubeでホリエモンがフジテレビ講談として神田伯山の如く饒舌に語っているので、ざっくり理解したい方は下記おすすめです。メディアを乗っ取るという行為の金だけでない工作や地盤固めの重要性、そして和解した時はフィクサーの言う通りにしないと表裏一体の検察が蠢き始めるというのは恐ろしい。

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