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「コーチング活用が難しい」と感じた組織の共通点のお話

はじめに

こんにちは。パーソナル・コーチングサービス『mento』を運営しております、たんたんたんげです。涼しくなってきましたね、いかがお過ごしでしょうか。

mentoでは先日、『mento for Business』という法人向けコーチングサービスをリリースさせていただきました。そんな中でよくご質問いただくのが、「コーチングはどんな組織で、誰が受けるべきなのか」という問題です。

コーチングの効果として言われているものには「自己の強みや課題の言語化」「モチベーションの向上」「オーナーシップの向上」「目標達成のサポート」などがあります。しかし、それらがあまりに抽象的で誰にでも当てはまるが故に、逆に自分たちの組織で誰が活用すべきなのかがイメージしづらいというのはとても共感できます。

そこで今回は、すべての方たちに広くコーチングを届けたいというのが我々の思いではあるのですが、「コーチング活用が難しい」と感じる組織の共通点について血の涙を流しながら考えてみたいと思います。

そもそも「コーチングってなに?美味しいの?」という方はこちらのnoteをご参考くださいませ。

企業規模や事業フェーズ、役職によるものではない

まずは「コーチングは誰のためのものなのか」という問いについて考えたいと思います。

昨年話題になった「1兆ドルコーチ」でも話題になったとおり、これまでのコーチングは「一流企業のエグゼクティブや、経営者が受けるもの」というイメージが強くありました。

そして近年ではTwitterを中心としたSNSでコーチングが話題になっていることや、副業や個人事業でコーチングを提供する方が増え手軽な価格受けられるようになったことを受け、「スタートアップの経営者」「IT企業のミドルマネジャー」へのコーチング活用が目立ちます。

しかし実際にmentoでご要望いただいている課題は本当に様々で、企業規模や事業フェーズ、役職によって整理できるものではないところまでコーチングのニーズは広がってきています。

・急成長期企業の経営陣における経営観の確立、ビジョンの明確化
・成熟期大企業の役員、ミドルマネジャー、人事に対するマネジメントコミュニケーション改善
・レイターステージのITスタートアップにおける1on1研修とコーチング文化の浸透
・現場プロジェクトリーダーや事業責任者のビジョンの明確化と目標達成サポート
・メンバー層のキャリア言語化、eNPS向上

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どんな組織が合わないのかを「リーダーシップの文化」で考える

じゃあ結局誰向けなんだよ!という声が聞こえてきそうなので、そろそろ本題に入りたいと思います。

エリン・メイヤーがリーダーシップの文化を権威に対する考え方(ヒエラルキー重視・平等主義)意思決定に対する考え方(トップダウン・合議)の4象限に分けています。

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元々は国ごとのリーダーシップの文化の違いをサポートするためのフレームなのですが、組織文化にコーチングが合うのか合わないのかを整理するのに適していると感じたので、引用してみたいと思います。

コーチングが合いづらい組織2タイプ

あくまでも組織としてコーチングに投資することに価値を感じられそうかという観点で、我々が多くの経営者や人事の方とお話する中で感じたコーチングが合いづらい組織について考えてみました。

①トップダウン型×ヒエラルキー重視
このタイプがエグゼクティブ層以外に導入した場合、思ったように効果を得られないか、そもそも導入に至らないケースが多いように感じます。

よくあるBADケース
・トップがメンバーの成長ではなく"矯正"を求めており、対象者がコーチングの中で自分の意志や価値観に自由に向き合うことができない、本質的な変化が生まれないプロジェクトになってしまう。
・対象者がコーチングの中で得た気づきを元に、ボトムアップで行動しようとしても、構造的に意見が通りづらい体験が重なるなかで成長意欲を失ってしまう。

要因としてあげられる特徴
・従業員の意志の言語化やカルチャー形成の優先度が高くない
・短期での事業貢献が必須である場合、コンサルティングやティーチングの方が課題に合いやすい
・従業員自身が組織への自己効力感が低く、事業成果のために自己変容が重要だいうモチベーションが生まれにくい

活用するとしたら
・エグゼクティブ層を中心にコーチングを受ける
・目標達成と行動管理に特化した独自プログラムを作る

④合議型×平等主義
このタイプの企業は、社風とコーチングの相性は非常に良いことが多いです。しかし、組織施策として導入する意義を見出しやすいかでいうと難しい傾向があります。

よくあるBADケース
・従業員が組織や現状への満足度が高く、コーチングで扱いたいテーマが少ない。またはとても個人的なテーマに終始してしまう。
・組織のキーマンが分散しているので、対象者を絞りきれず予算が合わない。

要因としてあげられる特徴
・現状の社風や人間関係に満足している人が多く、自己変革への危機意識が少ない
・全員の平等×合議を重んじているので「誰の」「どんな変化」が事業貢献に繋がりやすいのかが明確になりにくい

活用するとしたら
・事業責任者など現場で意志とスピード感を持って行動することを期待するリーダーにコーチをつける
・1on1文化立ち上げ期にコーチングを体験する機会として広く薄く導入する

以前ご紹介したスタバのように「従業員の心をケアすることは、私たちの会社の中心にある問題である」という振り切ったビジョンを掲げることができたら、また話は変わってくると思います(そして、そんな会社が増えてほしいと願っております!)

コーチングが合いやすい組織2タイプ

逆に、どのような組織がコーチングに価値を感じやすいのかについてもまとめてみました。

②合議型×ヒエラルキー重視
日本企業に非常によく見られるこのタイプの組織は、経営層に限らずミドルマネジャーからメンバーまで様々な課題に対してコーチングの効果を感じられると思います。

活用ケース
・エグゼクティブ層の実現したいビジョンやカルチャーを言語化し、組織全体に浸透させたい
・ミドルマネジャーのリーダーシップ育成、1on1マネジメント能力向上
・メンバーのモチベーションアップ、キャリアサポート

要因としてあげられる特徴
・ボトムアップでの改革を善しとし、従業員の意志やビジョンが明確化されることを求めている
・合意文化の中での度重なる"調整"で、コミュニケーションに疲弊している従業員が多い
・逆に、コミュニケーションを改善することが生産性向上や業績UPに繋がりやすい
・新卒文化のため、メンバーからマネージャー、経営者へと役割が変化していく中で内面的な成長を強く求められる

③トップダウン型×平等主義
コーチングの本場アメリカではこのタイプの企業がとても多く、主にエグゼクティブ層がコーチングを活用しています。日本ではこれに加えて、「組織規模的にミドルマネジャーが必要になってきたが、マネジメントされた経験が少ない人が多い」という課題に対してコーチングを活用される企業が多くあります。

活用ケース
・エグゼクティブ層の実現したいビジョンやカルチャーを言語化し、組織全体に浸透させたい
・ミドルマネジャーのリーダーシップ育成、1on1マネジメント能力向上

要因としてあげられる特徴

・会社の成長とともに経営層のビジョンやリーダーシップのアップデートが求められる局面が多い
・組織が大きくなるなかでミドルマネジャーが重要になってきたが、マネジメントされた経験が少ないことでプレイング・マネージャーから抜け出せない
・社内でのキャリアパスが描きにくい
・フラットで実力主義な社風のなかで、自信を失ったり、モチベーションが低下するメンバーがいる

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さいごに

ここまで書いてきた、リーダーシップの文化4タイプとコーチングの活用のしやすさをまとめたものがこちらです↓

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しかし、コーチングにはいくつもの流派やスタイルがあり「合う」「合わない」を一概に言えるものではないかもしれません。また、コーチングの日本での歴史も20年程度と言われており、手法含めまだまだ成長していくものでもあります。

今回のnoteはあくまで現時点での私の意見なので、異論反対大歓迎で、ぜひぜひコーチングの可能性をみんなで広げていきたいなと考えております☺

▼ここまで読んで、組織へのコーチング導入に興味をもった方はmentoにお気軽にご相談ください

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ちなみに
今回のnoteはmento1号社員で、組織開発論オタクのteruさんにいろいろ教えていただきながら書いた共著です。teruさんのnoteも面白いので是非フォローをお願いします!



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