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小さな身体で大きく進め

生まれ変わったらジブリアニメの主人公になりたい。

なぜ、こうも彼らに惹かれるのだろう。特にアリエッティが好きだ。強くて潔くて勇敢で、でも青くて、2本の足でしっかりと立っている。


『なんで本気出さないの?』


深夜1時30分。薄いスマートなあれから聞こえてくる問いかけ。

心から信頼するクラスメイトの男の子。

だからこそ、私の心に土足で踏み込んでくんのやめてくれない?

言い返そうとするけれど、有り余るほどの心当たりのせいで脳が機能してくれない。挙句の果てに、返す言葉も見つからない。

だから…!

頭の中で必死に言い訳を探す。

本気なら十分出している。はず。演劇の授業中は必死にノートをとって、最前列も確保して、私のどこが本気じゃないっていうんだろう。私のほかに言うべき相手は探せばいくらでもいるでしょ。

なんとか言い訳を完成させても、また彼は私の心を素手で殴ってくる。


『本当に学びたいって気持ちだけで書いてる?真面目に見られたくてやってたりしない?』


この問いかけで、今まで自分を張り詰めていた秩序が壊された気がした。私は何のために、ノートをとったり、一生懸命(仮)学んでいるのだろう。

本気になって何も得られるものがなかったらどうするの?

行き場のないやるせなさは誰かが引き取ってくれるの?

私は頑張っているフリをして誤魔化していたのかな?


中途半端って言いたいんだろうな。私の生半可な『頑張り』を彼は全部分かってて声をかけてくれたんだ。



『将来何を選んだっていいよ。でも、本気でやってからにしな。』


開いた口が塞がらない。もう、あんたがジブリじゃん。絶対ハクだよ。


いや、もしかして宮崎駿?


もういっそ誰でもいい。不毛な議論はやめにしよう。あなたがくれた言葉が全てだから。


小さな頃に憧れたアリエッティ。強くて美しくてだけどお茶目で孤独にも怯まない女の子。未知の世界にだって飛び込んで、2本の足で踏みしめる。けれど、どこか頼りなくて、抱きしめてあげたくなるような青い青い心の持ち主。


私もいつかそんなヒロインになれるかな。





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