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白鳥翔プロ セミファイナルでついに見せたファン垂涎のギリトップ

こんばんは。
場末フリー雀荘出身の田ノ倉です。

以前、何かの記事で「Mリーガーの中で最も推すとしたら誰か?」と聞かれたら、
白鳥翔プロと答えていると書きました。

そのたびに
「え?白鳥プロ?」
みたいな感じでちょっと半笑いで聞き返されるのなんなん?

みたいな記事を書きました。


で、まあ正直2023-24シーズンでは白鳥プロはかなり影を潜めた存在だったと言わざるを得ないんですよね。
ボコボコに負けるわけでもないし、
めちゃくちゃ勝つわけでもないし、
あまりフィーチャーされずにセミファイナルまで来ました。


そんな状況の中、まさかのオーダーが発表されます。

ここ一番でのまさかの登板

4月26日(金)、残り6戦となるABEMASは、
セミファイナル第6位に位置しており、
ボーダーである4位のドリブンズまでポイント差220ポイント以上。

最終戦が打てないことを考えると、最低4トップくらいは必要か?
という場面。
これまでずっとファイナルまで進出してきたABEMASにとって、
Mリーグ史上最悪のピンチを迎えています。


26日の第一試合目は、当然ここはエースである多井プロが登板します。

しかし太プロの大トップを許し、
なんとか二着を持ち帰る、といった展開に。


残り5戦となり、
正直ここでのトップはもはや必須。
ラスなんて引こうものなら残りゲームはまさに目無しになりかねない。

そんな26日第二戦。
誰が登板するのか。


おそらく、大方の予想では
・多井プロの連投
・松本プロ
このどちらかがほとんどだったと思うのです。


しかしここで登板となったのは、
まさかの白鳥プロでした。

「だ、大丈夫か・・・・??」
ABEMASサポーター、白鳥プロのファン、
あるいは全然関係ないただのMリーグファン、
あらゆる視聴者がそう思ったに違いありません。

今シーズンの白鳥プロの成績を鑑みると、
「ラスは回避するかもしれないが、トップの確率はかなり低いだろう」
と思う人が多くても仕方ありません。

だってこの時点で、最後のトップ取ったの去年ですからね。


対して、前日25日の第二試合で、
セミファイナルに全然出てこなかった伊達プロが満を持して登板してきました。

麻雀格闘倶楽部もボーダーより下に位置しており苦しむ中、
伊達プロの登板が発表されたときの視聴者の反応としてはおそらく、
KONAMIサポーターは
「キターーー!!」
みたいな感じのがほとんどだったと思います。

ボーダー争いしている敵対チームのサポーターとしては、
「ついに一番ヤバい奴が出てきたか・・・・・」
と戦々恐々としていたはずです。

そして当然のようにトップを取っていきました。
強すぎだろ。


伊達プロとはもはや真逆のようなリアクションを視聴者にもたらしたであろう白鳥プロの登板発表ですが、
このタイミングで登板になるということは、
チームからはやはり何だかんだで絶大な信頼を得ているに違いありません。

僕は別に特定のチームを応援しているというのはないですが、
白鳥プロがこのタイミングで出る以上は応援せざるを得ません。

他の白鳥プロファンも、ABEMASサポーターも、
「よ、よし!とりあえず白鳥プロが出る以上は、もう全力で応援しよう!」
という方向に舵を切るわけです。


前日の伊達プロ登板時、おそらくサポーターたちは左団扇状態で対局を見守っていたことでしょう。
それはそれで気分がいいものですが、
僕はやはり最高にスリリングでエキサイティングな観戦を楽しみたいのです。

この状況での白鳥プロの登板は、まさにそんな歪んだ白鳥プロファン垂涎の状況です。

そしてそんな我々の要望に応えるかのように、
白鳥劇場が幕を開けます。

先制できても高まる不安

いざゲームがスタートすると、いきなり満貫の出和了をかます白鳥プロ。
解説の河野プロの予想を裏切り、
メンホンチートイ系から混一色トイトイ系へ方向転換し見事和了を手にします。

次局も寿人プロから1300点をアガり、
「これは、まさか“ある”のか・・・?」
とサポーターたちに大きな期待を抱かせてくれます。


しかしここから白鳥プロファンたちの苦悩が始まるのです。

この状況から気づいたらラス、みたいなことも、
白鳥プロならあり得るのです。
ただ逆にこの状況からこのままの勢いでものすごい大トップを取る、
みたいなことも、白鳥プロならあり得るのです。

特に小さなミスすらしていないのに展開が悪かったり掴みまくったりしてダンラスになる未来も、
無理攻めはせずとも牌理を忠実にミスなくさばいて大トップ、
といった未来も、両方ありえる。
両方の意味でどちらの「やらかし」でも、
ありえそうなのです。

この状況で登板した白鳥プロが、
コメントしづらいような微妙な二着で終わる、
そんな未来は想像しにくいのです。

ただ少なくとも、このまま小場が続くようなら、
最終的に今シーズンの白鳥プロだと捲られてしまうだろう、
という感覚はあったと思いますが。
2着になるとしたらこの場合くらいでしょうか。


なので我々は、
「よし、前半戦でかなり点棒を持った。あとは“事件”が起きないことを祈るばかりだ・・・」
というように、謎のスリル感を抱きつつの観戦となります。

全白鳥プロファンが泣いた2s押し

東3局、トップ目とはいえまだ34,300点持ちの白鳥プロ。
Mリーグルールにおいてこの点棒ではまったく安心できません。

少しでも加点をしておきたいところ。

鈴木たろうプロのソウズの混一色仕掛けの合間をぬって、
なんとか形式テンパイをとるところまでは成功します。
待ちは鈴木たろうプロに危険な6s単騎。

あと一巡、ソウズで通ってない牌を引かなければいい。

ここさえしのげばテンパイ料を獲得できる。


そんなタイミングで、最後のツモで当然のようにやってくるのはもちろん無スジの2s。

ここで3枚切れの字牌なんかを持ってきて難なくテンパイ料ゲット、
みたいなのもいいですが、
ここでちゃんと超ヤバい無スジのソウズを持ってくるあたりが白鳥劇場なのです。


もちろん、その2sを切るかどうか長考タイムに入ります。

解説の河野プロは、切らないと断言しています。

白鳥プロのタイプ的にも、
切らない判断になると思った方がほとんどなのではないでしょうか。

そんな大方の予想を思いっきり裏切り、
白鳥プロは2sをたたき斬りました。

伝説の2s切り 解説「お!行ったよ〜!!」

そしてこれが通り、無事にテンパイ料を獲得します。

これは白鳥プロファン、ABEMASサポーターのみならず、
多くの視聴者の胸を打ったのではないでしょうか。


おそらく最近の白鳥プロだと、
知識量があるので「放銃になるパターン」で思いつくのが多すぎて、
切らないという選択をするか、
「放銃になるパターンはレアケース」と判断して切ってそのレアケースにぶち当たって放銃か、
みたいなイメージがあったと思います。

ですが今回は違いました。

この重要な場面でヤバい牌を見事に通しきり、
しかもそれは打点を含めた読みを入れてのものだったとインタビューで語っています。

さらにその思考に至ることができたのは、
最近打数を増やして稽古に勤しんでいた結果であると。

なんかあの話しぶりからすると、
最近の稽古でちょうど同じようなシチュエーションがあったのかもしれません。
「練習してきた局が来たな」
と言っていたので、
「あ!進研ゼミでやったところだ!」
みたいな感じで実戦に活かせたと。

食っていくためにパチ屋で営業したり、
競輪やら競艇やるのもいいですが、
こういう話を聞くと、やはり白鳥プロは麻雀プロっぽい麻雀プロだなあ、
と思いますね。

神プレイの後でもとどまるところを知らないスリル

神プレイの余韻に浸る間もなく、東3局一本場、
ついにあの男がやってきます。

いま間違いなく地獄モードに入っている魔王、寿人プロです。

地獄モードに入っている魔王、というとなんだか覚醒して超勝ってる、
みたいに聞こえますが、単純に地獄です。

3メンチャンでリーチしまくってもひたすらツモれず、
なぜか失点しまくるという悲劇を喰らいまくっているのが今の魔王です。


そんな魔王の両面待ちリーチ。

3メンチャンがダメな人の両面リーチ。
まあ今回もダメでしょ、
と思っていたら、当然のように赤5sツモ。

満貫のツモアガリ。

ラス目に追いやっておいたはずの魔王が、
なぜかこのタイミングだけしっかり満貫をツモってきました。

ここまで順調にきていたのに。
前局神プレイで加点までしたのに。
結局2100点の失点じゃないか。

嫌な予感を覚える視聴者たち。


東4局。

ついに来た白鳥プロの親番。
配牌は中張牌だらけで上々。
さすがに先行できるか・・・・
と思いきや、その後も中張牌はツモってくるものの、
噛み合わない。

ひたすらなんだか噛み合わない。

うだうだやっているうちに、
鈴木たろうからリーチが入る。

その後も中張牌ばかり持ってくるものの、
結局押しきれずノーテン。

魔王はしっかりテンパイを入れてきたため、
二人テンパイで流局。

さらに嫌な予感が増幅される。

「白鳥劇場」唯一のマイナスポイント(普通はプラスポイント)

そして南1局。

ここで早い手が入り、
まさかの4巡目で両面テンパイ。

当然のリーチを敢行する白鳥プロ。

しかしこちら側としては、
罠にしか見えない。
実際、この時点で待ちの5-8mのうち、
5mを3枚、8mを一枚、松ヶ瀬プロが持っている。

この持たれ方はなんだか非常に罠っぽい。

普通なら「よっしゃ!」なのだが、
「よし、でも大丈夫かな・・・」
という不安感も伴うリーチ。

これだからやめられない。

「なんと山8ですよ!」
みたいなリーチにならないあたりが、
非常にスリリングでよろしい。


結局寿人プロにオナテンみたいな待ちで追っかけられるのですが、
これは絶対負けがないので、
「やべえ!」感が満載の白鳥プロと我々視聴者の気持ちが一致しなかったという点で、
白鳥劇場という観点においては、この半荘唯一のマイナスポイントだったと言えるかもしれません。

一緒に「掴んじまうかもしれねえ・・・!」というスリルを味わいたかったですね。

魔王の猛攻と救世主

続く南2局。
なんだか微妙な手で、イケそうな気もするし、
罠っぽい気もする。

でもリーチ棒が三本あり、
2本場なので、
和了自体に価値がある状況です。
いくしかない。

仕方なく一気通貫含みの手なので9pを鳴いたら6pが流れたりしてなんだか嫌な雰囲気の中、
松ヶ瀬プロがちゃっかり食い三色のみのテンパイを入れます。

その当たり牌である8sが浮きそうな状況の魔王。
地獄モード中の魔王なら当然8sが浮くテンパイ形となり、
放銃して終了という未来を誰もが想像していました。

しかしなぜかこの局面では8sが出ていかない形のテンパイとなってしまい、ピンフ赤赤高めイーペーコーでリーチ。

高めツモで6000オール。ヤバい。

「他の試合だったら絶対8sが出る形になっていた流れなのに、なぜ今日に限って8sが出ない形になってしまうんだ」
とABEMASサポーターは嘆いたに違いありません。

親番の魔王にここで加点されるのだけはダメです。

しかも供託と本場で和了した時点で3,600点のおまけがつく。

そのうえ手牌は高めツモ6,000オールという大物手。

これはヤバすぎる。

あまりのヤバさに次のツモ番を直視できない白鳥pファン。


「ツモ」


太く響くツモ和了の声。

「やられたーーーーー」

そう思って画面に目を向けると、
なぜか開かれている松ヶ瀬プロの手牌。

とても一般的なイメージのそれとは程遠い風貌の松ヶ瀬プロが、
まさに救世主、ヒーローかのように見えた瞬間でした。

ファンにこの感情の高低差を提供してくれるあたり、
さすが白鳥劇場といったところです。
この局別に白鳥プロは何もしてないんですけど。

そしてやはり、魔王はまだ地獄モード継続中のようです。

魔王はまだ死なない

ただこの和了で松ヶ瀬プロは300-500のツモ和了りに加えて、
魔王のリーチ棒も含めた供託4本と、
二本場の600点を合わせて5,700点もの加点に成功。

この時点で
鈴木たろうプロ:22,400
魔王:21,300
松ヶ瀬プロ:24,600
白鳥プロ:31,700
という超接戦になっています。

さっきの救世主が今度は敵として立ちはだかります。

チーム状況的に逆連帯はマズい鈴木たろうプロはここでの松ヶ瀬プロの加点を恐れて、

松ヶ瀬プロは連荘してトップまで、最悪白鳥プロがノーテンで伏せられないところまでは加点したいという思い、

白鳥プロは絶対トップ狙いなので、
松ヶ瀬プロの親は音速で流したいという思惑で、

3者それぞれの意図があり、
この南3局は鈴木たろうプロ・松ヶ瀬プロ・白鳥プロ、
全員が仕掛けを入れていくことになります。


鈴木たろうプロと白鳥プロはかなり早めの仕掛けで、
白鳥プロに至っては南バックで最終的に南待ちになっているという状況。

バックだろうがなんだろうがなんでも良い。
とにかくここでアガってしまえば、
下3人が並ぶので、オーラスは和了競争になる可能性がある。
結果的にトップ率が上がる。

そういうわけでひたすら食い散らかして手牌を4枚にまで短くし、
しかも最終形は1sと南のシャンポンでさらに南だけの片アガリ形。

このように泥臭く和了を求めていく白鳥プロの姿に、
我々は麻雀プロとしての矜持をみることができました。


しかしそんな感傷に浸っている暇はありません。
忘れてはいけません、これは白鳥劇場です。

そんな安心安全一辺倒で楽しめるものではありません。
まるでジェットコースターのようにまたスリリングな展開が訪れます。


そして案の定、そこに立ちはだかるのは魔王。

このセミファイナル、何度地獄の底に沈められたかわからない魔王が、
また這い上がってきて渾身のリーチを放ちます。

この発が鳴かれて松ヶ瀬プロまでテンパイに

さらにそのリーチ宣言牌をポンして松ヶ瀬プロまでテンパイ。

白鳥プロの手牌はたった4枚。

またヤバいシーンがやってきました。

魔王と松ヶ瀬プロどちらがツモっても、
はたまたどちらかがどちらかに放銃するのもそれなりにヤバい展開です。

とにかく和了が出ない、
これが一番。

しかし白鳥プロの手牌は4枚。

白鳥プロが放銃してしまうというのが最もヤバい。

そうなるくらいならやっぱ松ヶ瀬プロが魔王に放銃してくれるほうがいいか?

なんて色々考えながら、
ツモの声に怯え、白鳥プロがオリきれるか1巡ごとに戦々恐々とするという、
とてもスリル満載な時間をしばし堪能します。


そのうち、チーム状況に余裕のある松ヶ瀬プロがまず危険牌を掴み、
オリます。

そして魔王はやはり地獄モード継続中で、
ツモれず流局。


白鳥プロに至っては、
回しているうちにいつのまにか形式テンパイまで持っていくことに成功し、
最終手番前には海底摸月でアガれる可能性を探って山にいそうな待ちにする、
みたいなことができるまでの状況に回復。


ついさっきまで「ヤベえ!オリきれるのか?」という状況だったのに、
気づいたら「どうやったら和了を取れる可能性が一番高いか」を探る立場に。

この展開の速さも白鳥劇場の楽しいポイントです。

ちなみにせっかく海底ツモを狙った最終手番に、
しっかり魔王の和了牌を持ってきてしまって結局オリることになるあたりも、
さすがといったところです。
ここで海底摸月でアガれちゃうみたいなのは、伊達プロとか瑞原プロとか、はたまた鈴木たろうプロとか、そういう側の人たちに任せましょう。

オーラス、不死身の魔王とゼウスの選択

そしてついに迎えるオーラス。

点数状況はこうです。
鈴木たろうプロ:21,400
魔王:23,300
松ヶ瀬プロ:23,600
白鳥プロ:30,700

白鳥プロ以外の3人が非常に近い点棒状況です。

魔王はチーム状況的にトップを狙いに来ますが、
松ヶ瀬プロは「2着でも全然OK」なはず。

鈴木たろうプロはボーダー争いに巻き込まれたくないのでトップ狙い寄りになりそうですが、
下手にトップ狙ってラスのままになるよりも、
1,000点でも和了を決めて2着確保も十分視野に入っていそう(供託1の一本場)。


まさにABEMASが望んだ理想的状況で、
基本的には下3名の和了競争になりそう。
あとは誰かに高そうな手が入ってそうなら自分がアガればよい、
そんな展望になりそうです。

いよいよ白鳥p応援団もここでほっと胸をなでおろすことができそうです。


しかし配牌を見て、我々は再び白鳥劇場の深淵を目の当たりにします。


どうにもならん配牌

配牌が悪すぎる。

ドラも赤が一枚あるだけ。
字牌も1枚しか無くてベタオリするにも守備力が非常に不安。
というか、字牌一枚でよくこんな悪い配牌になるな、というくらい悪い。


悪いなら悪いでもう少し翻牌を持っていれば、
誰かの混一色役役とか混一色役ドラとかのマンガンの確率を下げられることができますし、
ドラをもう少し持っていればタンヤオドラ2赤1のマンガンとか、
役牌ドラ2赤1とかの危険を下げることもできる。

なのに今回はな~んもない。

ということは、他家に得点アップの種がたくさん残っているということです。


Mリーグルールにおいて、この状況だとマンガンをさっと作られて捲られるなんていう状況は、ザラにあります。

かといって、マトモに手を組んでいては、遅すぎて緊急避難的に自分がアガることも難しい。チャンタ目指して鳴いていくくらいか。

配牌を見た時点で、我々は一気にざわつくことになります。

ついさっきまで死線をくぐりぬけてほっとしていたのに、
20秒後にはまた「ヤバい・・・」となっている。

本当に退屈しない半荘になっています。


これは配牌オリなのか?
それともある程度手を組んでいくのか?

白鳥プロの選んだ第一打は、1sでした。

どうやら配牌オリというわけではなさそうです。


他の三者もとくに手が良いという人はおらず、
かといって悪いというわけではないので、
安心するにもアレだし、絶望するにもアレだし、
という展開。

そして元救世主松ヶ瀬プロの手牌に南が対子であったのですが、
ここにさらに自風の北が対子になり、
しかもそれを鳴けたのです。

打点が見込めない手牌だったので、
二着狙いの仕掛けでした。


ここで松ヶ瀬プロが来てくれた!


ABEMASサポーターはここで一気に沸いたとか沸かなかったとか。

いずれにしろ松ヶ瀬プロが和了に向かっていて、
おそらく2着確保で終局させるだろう、
というのが視聴者には明確になったわけです。

しかしここから全然テンパイしない松ヶ瀬プロ。


その間に、魔王の手がどんどん育つ。

道中、三色も見える非常に危険なテンパイの可能性も見えましたが、
最終的にはカン6mでリーチ、
リーチタンヤオ赤1の最低5200、
という手牌になりました。

何度不発でも蘇って攻めてくる魔王はやはり恐ろしい。
地獄モードでこれですから、
運量通常時にこれをやられたら、
同卓者心折られますよ。

ちなみにツモられたらその時点で捲られて終了です。

最後までスリリングな展開を忘れません。


待ちの6mは山に一枚しかなかったのですが、
でも一枚あるんですよ。

ここまで凌いで最後の最後に本当に最後の6mをツモられて逆転とか、
なんかありえそうじゃないですか。
もうスリル満載。

そりゃこんな姿勢にもなりますよ。

松ヶ瀬プロの「なんか白鳥大変そうだなあ」感

白鳥プロの放銃は多分無いんですが、
誰かが放銃して裏が一枚乗ってもアウトです。


放銃候補になるのは和了に向かっている松ヶ瀬プロですが、
そういえば早々に北を鳴いた松ヶ瀬プロは・・・・

まだイーシャンテンでした。

全然テンパイしない。

終盤に魔王の切ったのを鳴いてやっとテンパイしたのみ。
早期決着は夢に終わりました。


・・・なんて思っていると、
ラス回避をしたい鈴木たろうプロの手牌がこんなことに。

解説「6m切りあるねえ!」

ちなみに魔王は9mは切ってますので、
6-9m待ちはありません。

和了を見るなら3-6mのどちらかを切ることになりそうで、
もし6mを切って放銃となり、裏が一枚でも乗ると逆転されます。

南は生牌です。

珍しく、大長考になっています。


「6m切りあるなあ!」
と煽る実況解説。
我々の不安も煽られる。


なお、この時点で6mはすべて山からなくなっており、
鈴木たろうプロが6mを切らなければ魔王の和了は無い、
という状況です。


ここまで息をひそめてきた鈴木たろうプロによる「ゼウスの選択」が、
まさか最後の目玉になろうとは、さすが白鳥劇場。

「私、悩んでます」のテンプレのようなしぐさとともに。

「おい絶対6m切るなよ、切るなら3mにしろ、ていうか降りろ」
という我々の呪魂が届いたのか、
ゼウスの選択は3s切り。

実質かなりオリに近い選択です。

この危機を脱し、山には魔王のアガリ牌も残っていない。

いよいよこれにて終演です。

これだから白鳥プロ推しはやめられない

無事に流局し、29,200点という薄氷のトップを持ち帰ることに成功した白鳥プロ。

この極限のチーム状況の中、
今年初のトップを持ち帰ることができ感慨もひとしおだったことでしょう。

どういう表情かはよくわかりません。

総局数9局で和了が4回のみという大変短いゲームでしたが、
見ている方はハラハラドキドキの連続で体感もっと長い感覚でした。
打っている本人はもっと大変だったに違いありません。


正直、登板発表の時点では白鳥プロがこんな展開でトップを取れると思っていた人はほとんどいないのではないでしょうか。
大味な展開ならまだしも、

競り合いならだいたい競り負けてしまうだろう、
今シーズンパッとしなかった白鳥プロに対して、
そう評価する人が多かったはずです。

しかし下馬評を覆して見事にトップを取ってしまった。
間違いなく決め手になったのは2s切りで、
しかも前述の通り、その2s切りができたのは普段の稽古の賜物だと。
「練習してきた局が来たな」
というのはひそかな名言です。

これはもう麻雀プロとして100点といっていい回答だと思います。


結局、麻雀で盛り上がるポイントというのは、
何が積まれているかわからないところから牌をツモってくるところなのです。

リーチ後のめくり合いとか、
テンパイ時にどの牌が出る待ち取りになってそれによって放銃するかしないか、とか、

そして、理論上正しい選択をしても、
裏目を引いてしまう理不尽さや逆に不利な状況からでも勝ってしまうカタルシスもすべてここに詰まっています。

白鳥プロのように努力や勉強は十分積み重ねているというバックボーンがありながら、
運に翻弄されつつ、
時折“やらかし”みたいなことも、
逆に大金星もあげる、
といった星の下に生まれている選手を応援して観戦することは、
とてもスリリングで痺れる体験となります。


今回みたいなことがあるから、白鳥プロ推しはやめられないんだよな~、
というの、少しでもわかっていただければ幸いです。

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