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映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」を観た|ランバ・ラルの友達ですから

岩井俊二監督作品「リップヴァンウィンクルの花嫁」がYouTubeで無料公開されていたので観ました.とってもとっても良かったです.
以下感想殴り書き,ネタバレあり

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ざっくり所感

3時間ぐらいの結構長めな作品でしたが,ずっと面白かったです.シリアスなシーンの中にもコミカルさがあったりとクスっと笑えるところが散りばめられているので,全体としてほのぼのとしか気持ちの良い空気感が保たれています.かといって,ずーっと平坦な映画かと思えば,しっかり緩急はついているので,観ててダレたりしないのでずっと楽しいです.心地よくてずっと観ていたくなるのは,岩井俊二作品を観るたびに思います.

安室 行舛(あむろ ゆきます)のあやしさ

3時間の間ずっと綾野剛演じる安室 行舛がずーーーーーーーーーーーーっと怪しかったですね.主人公の七海を騙したりかと思えば仕事を紹介して助けたり,最後には引っ越しのための家具を持ってきたり,腹の底が最後の最後まで観えないのはさすがです.映画の終盤,真白の母親が自分の娘の気持ちがしりたくて,突然脱ぎだすシーンで,安室も便乗して大号泣する感動的なシーンがありますが,あのシーンですら安室はあやしい.泣き出す最初に吹いているようにしか観えないんですよね.怖さすら覚えました.でも,よく考えると怪しいってずっと感じるってことは,裏を返せば実はいいやつなのではないか?って観ている側が勝手に期待しているからこそかもしれません.

幸せの限界

コンビニの店員が自分のために買ったものを袋につめているところを見て,「自分なんかのために」と思って,申し訳なく苦しくなってしまう真白.その感情の根っこには,自尊心の問題があるのかもしれないと感じました.世の中の多くはギブアンドテイクで行われています.買い物で言えばお金と商品,なにかお世話になった時は貸し借りの概念があるように,無意識でも誰かに何を与えてもらったら自分も返さなければという感情は多くの人が抱いたことがあるでしょう.もちろん誰かにしてもらったすべてのことに対し100%の感謝をもって全身全霊で答えることはないでしょうし,「ありがとう」の一言で十分なときだってあるはずです.それなのに,真白が「自分なんかのために」と思ってしまうのは,自分がもらってばっかりで他者にお返しできるものがほぼ無いと考えているから,対価として渡せるのが「お金」や「仕事」だけだと考えているからです.本当は,ただそこにいるだけで,元気に過ごしているだけでいいはずなのに,とっても素敵な人のはずなのに,もらってばっかりだと感じてしまっているからこそ,自身にとって唯一社会との繋がりである「仕事」に熱を出しながらでも向かうし,心から通じているはずの友達を「お金」で実質雇っています.もし,母親からAV女優として働いていることを正しく受けれ入れてもらうことができていたら,真白は少しでも楽しく働くことができたのかな.

ざっくり一言

岩井俊二作品に出てくる男性って全員かっこよくて沼りそうな感じですね.
岩井俊二監督学生の頃とかくっそモテそうだな~って観るたびに思います.
あと,野田洋次郎がピアノ弾いてくれてたバーがオシャレでしたね.
撮影場所のバーは実際にあるそうです,いつか行きたいな

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