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教育移住の母、現地採用への道⑤

前回までの様子はこちら。


7月7日、七夕の夜、私たちはマレーシアに入国する予定だった。
数日前に住んできた団地を明け渡し、車も売り、実家の一部屋を間借りして出発まで残り少ない家族との時間を過ごそうとしていた時に、神様がいたずらを仕掛けてきた。

それは出発4日前・・・いや、福岡で前泊の予定だったから正確には3日前だった。お世話になったあの会社から「あなたの希望する勤務地のポジションが空いたよ」と連絡が来た。

なぜ・・・なぜこのタイミング・・・。

返事をどうするか悩んでいたら。翌日What'sApp(日本のLINEみたいなアプリ)でやり取りしていた採用担当からも同じ案件の連絡が来た。
詳細を聞けば、勤務地は息子の希望するサマースクールとその近くに拠点を置いても通勤にも問題の出ない地域。勤務時間は8時から17時のコールセンター。日本人相手。もうこんな求人は出ないかもしれない!でも出発が迫ってる。

そこで担当者に「もう数日後にマレーシア入りするので、それから面接でもいいですか?ビザの切り替えは可能ですか?」と聞いてみた。
私の詰めの甘さが、というか半分見て見ぬフリをしていた、言い訳すればネットで探してもエージェントさん数名に聞いても明確な返答がなくて分からなかった事実がようやく明らかになった。

マレーシアに一旦入国してしまうと、観光ビザから就労ビザに切り替えるためには2か月ほどマレーシアを離れなければいけない。と。

いやいや、聞いてない。誰も教えてくんなかった。
いや、今となれば大使館でもどこでも質問したら返答くれただろうに、臭いものにふたをし続けていた自分への天罰。

どうする?どうする???
もう出発は迫ってる。ホテルも、サマースクール代も返金不可の航空券も手配済。

でも、もしここで面接が受かったら、入国後の収入は安定。最終的には取り戻せる。そんな事より一度マレーシアに足を踏み入れたら2か月国外へ・・・って必然的に息子も一緒になる。2か月学費が無駄になる。しかも2か月明けて確実にまた仕事がゲットできるとは限らない。ならば少しドブに捨てても、今できる事をやって、安定を手に入れてから入ったほうが絶対いい。

・・・ということで、18万の航空代と引き換えに、私は面接を受けることに決めた。返事はすぐ来て、明日のお昼からになった。

実家の2Fの使っていない部屋にPCをセッティングして臨んだ面接。まさかのボスが外国人で、英語での面接だった。もうパニック。何を言ってるから分からず、分かっても語彙力がなさ過ぎて返事ができない。
前回のレベル上げはいくらでもチートを使えたが、今回はもう逃げ場はない。幸い日本人のリーダーも同席していて、その方とは日本語で面接ができた。コールセンター経験者でクレーム好き、たまに一人で「お客様~?」とコールセンターごっこをしてしまうほど好きな仕事である・・・ということはしっかり伝わったようで、日本で仕事をするならおそらく採用されたと思う。コールセンターで大切とされていることが何かも分かってるしスキルも充分的なことを言っていただきウキウキだったのだが、続けて英語力のなさを指摘され、落ちたと察した。

案の定、落ちた。

本当にこの会社は神ですか!??と思うのだが、採用担当がこんな私にもう一つ求人があるからアプライしない?と言ってきてくれた。
ただ、そこは顧客が一般ユーザーではなかった。企業が顧客、IT系。会社のネット担当者が困ってかけてきた先に自分がいることになる。研修は英語だとのこと。ハードルが一段、まだ一段と上がっていき、絶対受からないと思った。それ以前に、万が一色々をその場しのぎで突破したとしても、最終的に会社とお客様に多大なる迷惑が掛かることが目に見えていた。
ただ、やってもいないことに勝手に自分で結果を決めてわだかまりを残したまま出国するのは気が引けた。
「あの時受けていれば・・・」と後になって後悔することだけは避けたかった。もう一度面接を受けたいと返事をした。また今度も英語の面接だとのこと。「少し面接の対策をされて挑むといいですよ」そう言われたが、ただでさえ市役所への手続きだなんだかんだで出国までぎゅうぎゅう詰めのスケジュールだったところに無理やり入れた面接。
とても対策できる状況ではなかった。

落ちたと確信していたものの、数日たっても返事が来ず、確認を取ったところ不合格とのことだった。

こんな分かり切った面接に時間を割いていただいて本当に申し訳ない、そんな気持ちだった。
ただ、問題は英語力のみだということがはっきりと分かった。


現地採用に限らず、海外関連の情報やブログで「英語力ゼロでも〇〇!」というフレーズをよく目にする。でも英語力ゼロって、いったいどのレベルで英語力ゼロなんだろうか。私が参考にした人たちの英語力ゼロは少なくとも私のレベルよりは上だった。魔法の言葉を鵜呑みにしすぎてしまった。もちろん現地採用されるためにきちんと努力もしていたはずだから、その点でもう私はなめまくっていたのだが・・・。

入国したらもう最後。収入は経たれる。
でも英語力がコレじゃ面接があっても受からない。
やることはやった。



というわけで無職の母、現地採用は諦めて無職のままマレーシアに乗り込みました!

英語力とか期間とか、タイミングが合ったらまた再チャレンジしようと思います。


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