恒星という自己

解体し再構築したものは、元々どういう形だったのかわからなくなるもので、それが変化です。これまでの自分が解体され失われ、再構築された自分は別の自分です。これまでの自分が死に、新しい自分が生まれたとも言え、つまり生まれ変わりです。

毎日毎晩眠ることで小さく死に、起きているときの体験は解体され、また目覚めるときに再構築されます。記憶とはそうやって形を変えていきますが、連続性は保たれています。連続性が保たれないと感じるような死と再生、解体と再構築、生まれ変わり、と言うのもあるもので、「ある日目覚めると、明らかにすべてが変わっているけれど、昨日から今日へと続いていると感じる」というようなこともあります。

「本当の自分」と言ったとき、どの自分のことを言っているのか、その人の生きる階層、生きる世界によって変わりますが、今ここで生きる私たちにとって、普遍で不変の自己とは恒星です。恒星は、何にも依存せず自ら光を放つので永遠ですが、惑星は恒星の光に依存しているので、光が当たるところと当たらないところができ、浮き沈みします。

バラバラになっているものを統合していき、つまり解体と再構築を繰り返すことでたどり着くものは、今ここで生きる私たちにとっては、恒星という自己だと考えることもできます。わざわざ生まれ変わらなくても、毎日の眠りと目覚めによって生まれ変わることができ、大きな自己にたどり着くことができるわけです。

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