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♯研究開発ベンチャー「山あり谷あり」起業から今までの道のり(7)

2018年に起業して一番困難だったのが、「お金」の問題です。私は長年事業に携わっていますので、事業のための資金調達は銀行さんの「融資」で賄っていました。今回の事業は「研究開発」です。売上げの見込みすら立たない中で「融資」は断られてしまいます。起業したころは、大学の技術だから、何とかなるだろうと甘い考えでした。

仕方がないので、自分の貯金と友人からの「借金」で回していましたが、いつまで経っても、「売上」が立ちません。「融資」がダメなら「研究開発補助金」の応募に出しますが、全敗。それがダメなら、「投資」だとVCさんやCVCさんをあたりました。

2019年の夏ごろには、「数を打てばあたる」で何社か出資のオファーが来ました。最初は某上場企業のCVCさんでした。某上場企業のCVCさんの出資が決まれば事業提携が可能になるため、他のVCさん2社もそれを条件に出資OKという事になりました。

その話に浮かれていた矢先、その話がとん挫してしまい、出資の話はすべてなくなってしまいました。この時は相当落ち込みました。「何故こんなことになるのだろう?」理由をすごく考えました。

私の「起業家としての姿勢」です。「大学の技術だから」ということに甘んじて、自分が開発した商品に絶対の自信をもってお客様に勧められるかどうか、投資家さんにもそのことが伝わっていたのではないか?そう結論づけました。

そこで、一度資金調達はやめて、とにかく開発した商品を使って、「実証データ」をとったり、新たな実験に集中して取り組みました。思うような結果が出なかったらどうしようかとも一瞬頭をよぎりましたが、資金調達と違って、実験が楽しくて面白くて仕方がないのです。実験は何が起こるか、どんな結果になるのか未知な「ギャンブル」みたいなものですが、とうとう現在までやめられません(笑)

ある日、公設試験場のTさんから「自分が信じているのは、大学の先生や技術ではなくて、一生懸命取り組んでいる田苗さんだ!」という事を言われました。とても、嬉しかったです。同時に、実証実験を繰り返す中で、運よくとても良い成績を出せたので、Tさんと「この製品が市場に出れば農家さんにとって非常に有益だから絶対に製品化する」という連帯意識が生まれました。Tさんは何千個、何万個のみかんをひとつひとつ評価してくださる、柑橘のスペシャリストです。

Tさんとの取り組みの中で私の気持ちにも変化が芽生えてきました。開発した製品に絶対の自信が持てたことと、製品の開発にあたっては、Tさんの多大な貢献があったからで、先ずは製品が生まれた「佐賀」から製品を展開していきたいということです。

「自分が開発した製品をどうしたいのか?」この問いを自分自身に問い直し、2020年の初夏、長い長い道のりになりましたが、気持ちを切り替えて、2度目の「資金調達」への挑戦するために、腹をくくりました。(続く)


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