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#研究開発ベンチャー「山あり谷あり」起業から今までの道のり(10)

研究開発と言えば「特許」今回は特許について書こうと思います。私は今の技術に2016年に出会いました。その時は技術について全くの素人でした。

よく「特許」=「権利」不動産のようなもの、お金を払えば得ることが出来る「もの」のように思っていらっしゃる方も多いですが、大きな誤解です。私は「特許」=「発明者そのもの」と思っていて、「お金を払うから特許ください」と言っている人たちにとても違和感を感じています。

私は大学で先生方の研究されている内容を知った時、薬剤を一切使わずに常温で鮮度保持ができる技術なので、冷蔵技術が整った先進国よりも、サプライチェーンが脆弱な途上国で大きく展開できるのでは、と考えました。

世の中には「特許」=「お金」と考える人が多いため、私は発明者の先生方から結構長い間無視をされ続けました。私も研究者でなく経営者なので、最初はそのような見方をされていたのではと思います。

この技術を途上国で生かせれば、どんなに良いだろう。技術を使って途上国の人が倉庫ビジネスを営むことだってあり得ます。雇用も生まれます。夢は膨らむばかりです。

いくら美辞麗句を並べても、綺麗なプレゼンを使って言葉で伝えても、「特許」=「お金」と思っている人が多い以上、先生方にそんなもんでは伝わりません。伝わることというのは、長い年月をかけた日々の「行動」です。行動することで私が何を考え、どうしたいと思っているのかが伝えることができます。その結果、色んな方々の「信頼」を得ることが出来るのです。

私が20歳の頃、事業を営んでいた父から、「世の中で一番大事なことは信頼だ」という事を教わりました。私は今その時の父の年齢になっています。長い年月がかかりましたが、今になって初めて「信頼」という事がどのようなことか少しだけわかった気がします。

最初に戻りますが、「特許」=「発明者そのもの」発明者ではない私が特許を持っているということは、発明した人からの「信頼」を得たという事になります。私は事業に有利な男性でもないし、もうすぐ50のおばちゃんです。大企業の社員の経験もありませんし、優れた功績があるわけでもありません。ベンチャー企業ですので、会社の看板に信用もありません、お金もありません、ないないだらけです。相変わらず「信用」はないですが、「信頼」は本人の考え方次第で積み上げられるものだと信じています。

特許があるからといって事業が上手くいくわけでも当然ありませんので、特許はあくまでも事業の「パーツ」一部です。「特許」=「お金」と考える人よりも、特許がさほど重要なこととは思っていません。(続く)



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