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♯研究開発ベンチャー「山あり谷あり」起業から今までの道のり(3)

やっと、ここからが本題です。2018年の2月に大学で開発された薬剤を一切使わない歯科用小型滅菌機の事業化を目的に「株式会社ステリフル」を設立して、少しづつですが事業を開始しました。ところが、私は研究開発なんて何もわからず全くの素人です。先ずは、リサーチです。色んな事を調べまくりました。

経営は「人」「もの」「金」「情報」で成り立つものです。例えば「人」、研究開発を行うためには、それなりの経験のある「人」が必要です。人は私と大学の先生しかいません。「もの」知財はあるけれど、作ってくれる企業が必要ですが、どこに声掛けしても断られてしまいます。「金」ベンチャーキャピタルに連絡しても、返事さえもらえません。「情報」ネットで色んな情報は得られるものの、「人」「もの」「金」に結び付くものがどれなのかもわかりません。4か月くらいは頑張って動きましたが、狭く閉ざされた空間に閉じ込められて堂々巡りをしている感覚になりました。

医療機器を開発するというのは、薬事申請を通さないといけないですから、開発にものすごいコストがかかることくらいはわかりました。ゼロから始めるベンチャーとしては、とてつもなくハードルが高いわけです。それでも、強い想いや理想のある方はやってのける人ももしかしたらいるのかもしれませんが、私の力では到底無理です。私の理想はたった数か月で崩れ去りました。(笑)

そんな中、大学の先生から呼び出され、「みかんの鮮度保持装置の実証が終わっているので、こちらを先に事業化しないか?」という話をもらい、「医療機器に比べるとずーーっと簡単じゃないか?」と軽い気持ちで「ピボット」することに。今から考えると、私は世間知らずで、世の中を相当舐めていたと思います。痛い想いをするのは当たり前です。

その時期に、日本に在住している韓国人の友人と会う機会があり、医療機器から、みかんの鮮度保持装置に切り替えることを話しました。すると、社名の「ステリフル」の「ステリ」は農業では「荒廃」の意味になるからよろしくないという鋭い指摘をもらいました。

起業したころから「自分は何のために起業をするのだろう?」という事を相当考えました。思えば、結婚してから、家業のことや主人の事業の事、子育てで自分の気持ちをかなり犠牲にして頑張ってきました。自分を押し殺して生きていくのはとても辛かったし、何となく自分の人生ではなく、他人の人生を生きているような感覚でもありました。はっきり言って人生が面白くないのです。自分は何をしたいのか、精神的にも経済的にも「自立」して、自分自身の人生を楽しみたい。2018年の9月に社名を「タベテク」に変更して事業を再出発させました。タベテクは「食べるテクノロジー」の意味もありますが、「食べていく=自立」の意味も込められています。(続く)

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