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#研究開発ベンチャー「山あり谷あり」起業から今までの道のり(1)

皆さん、初めまして。株式会社タベテク 代表取締役 田苗(たなえ)です。 今まで、ブログもおろか、自分の事をSNSで書くのはほどんどなかったのですが、起業をしてやがて3年が経ち、上手くいっているのか、いってないのか、事業自体は何とか前進していることは事実なので、起業前からのことを書くことにしました。

3年前までは、私は医療従事者として働いておりました。主人が歯科医師で11年前に福岡県小郡市で歯科医院を開業しましたので、その傍らで歯科医院の運営や受付、歯科衛生士としての勤務など、自分の出来ることを精いっぱいやってきました。

ところが40歳を過ぎた頃から、「私はこのままここで仕事をして一生が終わるのか?」と思うようになりました。結婚してからは主人の人生のお手伝いに一生懸命で、もっと主体性を持った生き方をしてみたい、自分で選び取った仕事をしてみたい、色んな欲望が沸々と湧き上がってきたことを覚えています。自分の現状に不満を抱えながら生きていたように思います。

とはいっても、起業するなんて夢のまた夢。診療室で勤務しながら、色んな妄想を繰り返していました(笑)。例えば診療室に置いてある様々な医療機器、作り手の都合で作られている場合が多く、医療従事者の都合は考えられていないものが多いのです。「こんなのあったら・・・」を何時も考えていて、漠然とですが、研究開発の仕事って面白そうだなぁー、と思っていました。

そんな中、本当に偶然なのですが、大学の先生が薬剤を使わない歯科用滅菌装置を開発して、事業化の話があるので、医療従事者である私のお話を聞かせていただけないか、という1本の連絡がありました。

話を伺うと、薬剤を一切使わずに歯科で使う器具を滅菌できる装置との事。医療現場で働く身としては、夢のような装置です。というのは、医療器具は口の中に入るので基本、耐熱性のものはオートクレーブ(蒸気)で滅菌しますが、非耐熱性のものは毒ガスや猛毒の薬剤で滅菌します。現場で使っている薬剤は菌を死滅させますので、患者さんにとっては安全ですが、私たち医療従事者にとっては、揮発性があり危険極まりないのです。環境にも悪影響を及ぼします。

大学の先生とご縁を頂いて、チームを組んで研究開発スタートアップの大会NEDOTCP2016に出場しました。予選を勝ち抜き、結果はファイナリストに選出されました。

これがきっかけとなり、1年半ほどは診療室勤務の傍ら、大学の先生の研究室に通うようになりました。当時、技術のことは全くの素人です。とはいえ、先生はとてもお忙しいため、手取り足取り指導してもらえるわけではありません。キーワードをメモして、持ち帰り、ひたすら勉強する、関連する論文を読むという日々が続きました。

そんなある日、大学の先生からメールが届きました。「自分の技術を事業化するための会社を作らないか?」という内容です。正直、何をどうすれば良いのかも全くわかりません。この時はすぐに決心がつかないというか、迷いがあるというか、夢のまた夢としか思っていなかった研究開発の仕事のチャンスが来ているのに、いざとなったら「はい、やります!!」なんか簡単に言えないわけです。

それから、数週間が経った頃、私は診療室でやらかしてしまいました。誤って、歯科滅菌用の猛毒の薬剤を床にバァーっとこぼしてしまったのです。慌てて床を拭いていると、猛毒ガスをもろに吸ってしまい、気分が悪くなってしまいました。

「医療従事者の方もきっと同じ経験をしている方はたくさんいらっしゃるはず」「もし、薬剤を使わない滅菌装置が世の中に出れば、きっと多くの医療従事者の方に喜んでもらえるはず」「それが出来るのは、私しかいないのではないか?」「これが出来れば、世の中がどれだけ良くなるだろう?」そんな、気持ちが私の中に芽生えてきて、「よし、とりあえず起業をしよう」となりました。2017年の終わりか2018年の初め頃、今からちょうど3年前です。

こうして2018年2月にタベテクの前身(ステリフル)を設立しました。(続く)

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