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♯研究開発ベンチャー「山あり谷あり」起業から今までの道のり(8)

私は2020年の初夏に2度目の資金調達のため、腹をくくって活動を始めました。自社装置の実証結果を基に、ビジネスモデルや自分の開発した装置で「誰の」「何の」課題を解決するのか?頭がちぎれるほど考えました。

私は自分が開発した装置がどこに一番ニーズがあるのか、とことん調べました。2016年に私が発明者の先生から話を伺った際に、プラズマ殺菌装置の仕組みは簡単で、薬剤も使わずに、太陽光でも稼働するという話を聞き、とても驚きました。

FAOが出しているハンガーフリーワールドの資料では、世界で生産される果物・野菜の約半数が食べられずに捨てられている現実を知りました。先進国では、消費の段階でのフードロスが問題になりますが、途上国ではサプライチェーンが脆弱なため、生産・貯蔵の段階で多くのロスが起きています。私の開発した装置は果物の「貯蔵」の段階で腐敗防止に使う装置です。もしこの装置が途上国で使われたら、どれだけの貧困を救えるだろうか?私は真剣にそう思いました。

私の目指すところは開発した装置を「途上国」で事業化することです。あまりに壮大なプランに自分自身で尻込みしてしまいます。それでも、勇気を振り絞って、福岡の投資会社に行きました。自分の考えを初めて表明した瞬間です。案の定、開発資金が必要ですと訴えるも完全に無視されて、社会起業家を育てる養成スクールがあるから、お金を払ってそこに行ったらどうかと言われました。開発を続けていくための資金が必要だという事を言っているのに、学校に行けだと、コノヤローー(怒)

勇気を振り絞って自分の考えを表明したにも関わらず、結果は惨敗。落ち込んでいると去年連絡を取っていた、東京のベンチャーコンサルの方から1本のメールが来ました。資金調達に困っていることを相談していると、ちょうど公募があっている東京都女性ベンチャー成長促進事業の応募を勧められました。

HPをみると、綺麗な女性たちが立ち並び、これは美人コンテストの形相です。さすがに引いてしまいました。今まで、女を意識してやってきていなかったため、こんな切り口に大変驚きました(笑)ところが、東京都の女性ベンチャー成長促進事業は、女性起業家の登竜門みたいな事らしく、名だたる女性起業家を多く輩出していて、手厚い支援が受けられるとのこと。今までたくさんの企業が資金調達に成功しているという事を知り、とりあえず応募してみることにしました。

書類審査を無事に通過して、2次面接です。私は自分が開発してきた装置で地球温暖化の中で一番苦しい想いをしている、途上国の農作物廃棄ロスを解決することが目標だという事を訴えました。「また否定されたらどうしよう」そんな想いの中、見事「採択」され、40社の中の1社に選ばれました。長い間、自分の想いが伝わらないもどかしさの中で、やっと自分の想いが通じる方々に出会うことが出来ました。選ばれたから嬉しいというよりも、自分の考えに共感してくれる人たちが実は東京にいた!ということでホッとしました。(続く)

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