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#研究開発ベンチャー「山あり谷あり」起業から今までの道のり(5)

量産型の装置は何とか完成したのですが、今も昔も本当に困っているのが、開発に要する資金です。装置はすでに完成しているのに、銀行に融資を申し込みに行っても、断られてしまうのです。

最初に自分は何のために起業したのかを社名にしたと書きましたが、精神的にも経済的にも「自立」したかったからです。よく、人から主人に所得があってこそ出来ることと言われます。悔しいですが、あながち間違っていません。食べる糧があってこそ、出来ることなのです。この事業を始めるときに、主人と税理士さんとで、医院で稼いだお金を事業に回さないことを申し合わせました。私は別のことで事業所得がありますので、その範囲でさせてもらっています。

私のブログを読んでいただいている方に申し上げますが、大学の技術だからとか、そんなことは全く通用しません。今の職場が嫌なので辞めたい、起業したいと相談されることもありますが、起業してもお給料は上から降ってこないので、絶対やめた方がいいです。もし起業したいのであれば、片足を食っていくための仕事、片足を起業のための活動にされると良いと思います。そうしていくと、最初は食っていくための片足に比重がありますが、自分で稼げるようになると、起業の方に比重がシフトしていきます。自分も3年間で実行して、今では自身の事業にエネルギーを集中させることが出来ています。事業化するまでにすごく時間がかかっていますが、破綻はしていないので、やってきた方法は間違ってないと思います。

事業資金の事に話を戻します。装置を開発するうえで開発資金が必要です。開業したころはクリニックの事業も非常に苦しく、開発に要する最低限の手持ち資金すらありませんでした。幸い、私の大切な友人たち4人が、少しずつ貸してくれました。人生を通じて友人からお金を借りたのは初めてです。

もちろん、資金がないので人も雇えません。友人の1人の技術者がしばらく無償で手伝ってくれました。去年、国の補助事業などに採択されたため、今は開発にかかるお金が出せるようになりました。お金を借りたのは、私が装置を作る前、その装置がどんな効果を及ぼすのかなんて全く分からない時です。私を信じてくれて、本当にありがとうございます。

出来た装置を評価してもらおうと、佐賀県や福岡県のJA選果場に営業に行ってみました。この時はまだ診療室でも仕事をしていたので、午前中医療従事者午後装置の営業マンです。自分自身の行動が面白かったです(笑)。当時は佐賀県のJA選果場につてなんてありませんでしたので、飛込営業です。すごく勇気がいりました。門前払いもありましたが、JAの方はとても親切でした。その中でも、その後の私の運命を左右した佐賀県のJA選果場のOさんとの出会いです。とても気さくな方で、私の話をよく聞いてくれました。2,3回お邪魔させて頂いたと思うのですが、ある日、「この装置の効果がよーとわからん、佐賀の公設試験場で評価してもろたら俺たちも導入したい。試験場のTさんとかに頼んで。」とおっしゃるのです。そのTさん、私も面識があり、まさかこんなところで共通の知人の話が出るとは思いませんでした。

早速、佐賀の公設試験場のTさんにアポイントを取り、ここで装置の評価をしていただけないか、という事をお願いしてみました。そうすると、すんなりOKを頂けて、製作した装置を持ち込んでの開発が始まりました。2019年の夏から秋の話です。(続く)





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