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ゴールデンウィークの憂鬱

もともと冬のBBQ場が暇すぎたことがきっかけで始めたnoteですが、私が働くBBQ場のタマリバーは、暖かくなると一気に忙しくなります。

特にゴールデンウィークは繁忙期で、タマリバーは毎年たくさんのお客様で賑わいます。

大型連休の前はなんとなく世間が浮き足立つというか、ワクワクした雰囲気が街中を覆うもの。しかし、タマリバーのメンバーは、それぞれに「憂鬱」を抱えていました

それは別に「忙しくなるから」ではありません。

むしろ、GWが忙しくないと弊社は冬を越せないのでありがたい限りなのですが、忙しさとは関係ないところで、それぞれに憂鬱を抱えていたのです。


1人目:ナミキの憂鬱

タマリバーの現場対応は夫とよっしーが担当することが多いのですが、GW期間のある日、二人がとあるイベントに出店するため、私がタマリバーを担当することになりました。

私が憂鬱だったのは、その日に「強風の予報が出ていたから」です。

「たかが風でなぜ憂鬱?」と思われるかもしれません。

いやいや、河川敷の風をなめてもらっては困ります

キャンプをされる方なら分かると思いますが、風はアウトドアの大敵です。しかも河川敷には遮蔽物がないので、風を避ける術がありません。過去には突風が吹き、その一瞬でシェードの布(1枚約2.5万円)がビリビリにちぎれたこともあります。

私が担当した日はGWの真っ只中。
たくさんのお客様がいらしているということは、つまりたくさんのシェードを張っているということ。

もしシェードが風で全てちぎれたら・・・その日の利益が吹っ飛ぶどころか、完全なる赤字です。

夫からも強風には注意するよう散々釘を刺され、

「危険だと思ったら即、取り外しの判断をするんだ。風を読むんだ

と言われました。

いや、風を読めと言われても・・・私はナウシカじゃない・・・。

風ってどう読むんだろうと考えながら、電車に乗ってタマリバーに到着し、急いで設営をします。

お客様がBBQを楽しんでいる間、基本的にスタッフはキャンピングカーで待機し、予約メールの返信や電話対応、備品の補充を行っています。

しかしこの日、私には備品補充をする精神的余裕がありませんでした。

待機スペースのキャンピングカーから常に空の様子を確認し、5分ごとにウェザーニュースのアプリを更新し続け、とにかく風を読もうと必死でした。

人生でこんなに空を見上げたのは初めてでした。

常時起動するアプリはインスタでもtiktokでもなく、ウェザーニューズ

そんなとき、ピコン!と監視カメラの人感センサー通知が。

「人物を感知しました」

あれ?

監視カメラはオフにしていたはずなのに。
設定を間違えちゃったかな、と再度監視カメラをオフにします。

それから数十分後。

また、ピコン!と監視カメラの通知が。

なぜ・・・?そこでハッとします。

もしかして私・・・監視されてる・・・?

後から分かったのですが、実は夫が遠隔で監視カメラをオンにし、タマリバーの風の状況を確認していたのでした。

彼は、私の「風を読む力」を信じてくれなかったようです。

それにしても、自分からは見えないのに、周りからは見られているってこんなに怖いんですね。
私、完全にパノプティコンの囚人じゃん。

その後、ヒヤッとする場面は何度かあったものの、なんとかシェードを外すことなく無事に営業終了。

ほっと一息つきながらシェードを片付けているとその日一番の突風が吹き、取れかけたシェードが私の全身に巻きつき大パニックに陥りました。

私はやっぱり風が読めません。

2人目:夫の憂鬱

GWは毎日仕事なので、子どもから夫への風当たりはどうしても強くなります。

「おとうさん、ぜんぜんあそんでくれないじゃん!」

ブーブー言う子どもに対し、ごめんねと言い続ける夫。忙しい時期は、夫も子どものイライラに付き合うのにちょっと憂鬱そうです。

GWに入る直前のことです。

子どもの目が充血したので眼科に行くと、花粉やハウスダストのアレルギーだと診断されました。

点眼薬や飲み薬を試すも、なかなか治りません。

すると子どもから「お友達のXXちゃんがアレルギーでサングラスをしているの。同じのがほしいな」と言われました。

いわゆる小児用の花粉対策メガネですね。

なるほど!と思い、ちょうどその時Amazon画面を見ていた夫に「子ども用のサングラスも一緒に買ってくれる?」と頼みました。

夫は即購入してくれたのですが、届いたサングラスを見てびっくり。

いやこれ、普通にファッショングラスじゃん。

「え、これだと花粉遮れなくない?」と聞くと、

「えっ?サングラスが欲しいって言ってたから買ったんだけど」

1つのティーバッグで紅茶を2回淹れるくらいにはケチな私が、必需品でもないファッションサングラスを買うとでも?

結果、花粉やハウスダストは一切除去できませんでしたが「イケてるサングラスを買ってくれるお父さん」として子どもからは大いに喜ばれました。

そして子どもはウェイウェイした感じのファッションに身を包み、十二分にGWを満喫したようです。

キャップは後ろ前にするのがイケてるらしい

私は・・・ファミリアとかミキハウスとかさ・・・そういう系のお洋服に憧れがあるんだが・・・(買う金はない)。

3人目:よっしーの憂鬱

私がタマリバーで働いていた日、夫とよっしーは三浦海岸に向かっていました。

「三浦海岸ビールまつり」というイベントに、横浜銀行アイスアリーナの製氷中にできる廃棄氷を使った「氷のひろば」を出店することになったのです。

よっしーは、イベント前から明らかに憂鬱でした。
全身から醸し出される彼の気だるさオーラは、普段の数倍はあったように思います。

なぜかというと、

氷を大量に積んだトラックを運転しなければならなかったからです。

よっしーは免許は持っているものの、セルフのガソリンスタンドに行くのにちゃんと緊張するくらいの、立派なペーパードライバーです。

ペーパードライバーにとっては普通車を運転するだけでも辛いのに、オンテンバーの場合、運転する車はキャンピングカーや大型SUVばかり。

そして今回、とうとう2tトラックを運転(しかも氷の補充で横浜と三浦を2往復)することになりました。

レンタカー屋さんにトラックを借りにいった時も、よっしーは迷わず

「初心者マークを2枚貸してください」

と言い、2tトラックの前後にしっかり初心者マークをつけていました。

氷、トラック、初心者マークという謎すぎる組み合わせ

苦労のかいあってイベントは大盛況。はじめから終わりまで、お客様が絶えなかったそうです。

その日の夜、大丈夫だった?とLINEで聞いたところ、

とのことでした。
誠にお疲れ様でした。

そんなこんなで満身創痍の3名は、GW明けはまさに抜け殻です。

なお、3日分の精神力を使い切ったはずのよっしーは、今週末アドベンチャーレースに出るそうです。

どうかしてる。


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