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なぜアップルパイはアメリカを象徴するお菓子になったのか

1902年、ニューヨーク・タイムズ紙に以下のような文章が掲載されました。

(アップル)パイは我が国の強さと優れた産業創設、我が国の繁栄の秘訣である。英雄の食べ物である。食わないヤツは永久に負け犬である。 Pie is...the secret of our strength as a nation and the foundation of our industrial supremacy. Pie is the American synonym of prosperity. Pie is the food of the heroic. No pie-eating people can be permanently vanquished.

かなり強烈な文章ですが、アメリカ人の愛国心と素朴な感情をよく言い表しています。
アップルパイを上手に焼ける女性は良き妻とされるし、アップルパイの香りがしてこそアメリカの台所であるとされます。

ノリ的には日本人が「米を食わねえヤツぁ、日本人じゃねえ!」と言うのに似ています。上記の文のアップルパイの箇所を米に置き換えたら、気持ちが少し理解できるかもしれません。

「アップルパイのようにアメリカ的な」という慣用句すらあります。今回はなぜアップルパイがアメリカのシンボル的存在になったのかを見ていきたいと思います。 

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