見出し画像

ここにあるはずだったんだけど

とある一冊の本を読みました。
それがこちら。

かわいい装丁に目を惹かれて、手に取ったことがきっかけ。
今回は、この本を読んで感じたことについて語っていきます


コンプレックスと生きづらさ

この小説を読んでいて、感じたこと。

それは「あなたは自分が好きですか?」ということ。

この問いを突きつけられた感覚がありました。

この本は4つの短編集からできているのだけれど、どの作品も表面上の共通テーマとなっているのは「おっぱい」。

推しがFカップのグラビアアイドルとグラビアアイドルと結婚したことにショックをうけている貧乳の女性
下着姿でうろうろしている不審者だと名乗り自首してきた女性
授乳室荒らしとして生きる郵便局員の女性
吹奏楽部でオーボエを吹く女子部員

それぞれが、心の中に黒い闇を持っており
コンプレックスや生きづらさを感じ、悩みながらも懸命に生きています。

その世界の見え方や視点、独特の空気感に読み始めは驚きもあるかもしれません。
けれど、誰しもが誰しもが経験した事があると思うのです。

コンプレックスや生きづらさを感じたこと。

この本は、そんな生きづらさを感じたことが一度でもある人へ
「あなただけじゃないよ」
と寄り添ってくれるような優しい一冊でした。

本当の素敵、美しさとは?

また「美しい」とは何なのかということも考えさせられました。

知らず知らずのうちに
「美しい」とか「魅力的なもの」
って勝手に思い込んで根付いてはいないか?ということです。

女性誌に、流行りの服をきて写っているのは細身の女性たち。

その女性たちを
「素敵だな〜」「綺麗だな〜」
と思って見ていたけれど
それはいつからどうしてそう感じるようになったのでしょうか?

グラビアアイドルはみんな爆乳だけれど、それがどうして魅力的に見えるのでしょうか?


「そういうものなんだ!」
って無意識に、習慣的に染み込んでしまってはいないでしょうか?

そんな疑問が、この本を読んでいた私の中に湧いてきました。

自分のこの感覚は、自分の意思や感性ではなく
これまでの環境や経験に基づいてできたものではないか?という気持ちになりました。

生きにくさとは何だろう?

この書籍内の主人公たちは、どこかしらで言葉にならない生きづらさを感じています。


世間の流れに乗れない感覚や「みんな」が当たり前にやっていることができない。

そして、自分自身がそれを最も感じているしわかっている。
でもどうすればいいのかわからない。

そんな風に感じていることがヒシヒシと伝わってきます。
それは私が同じように感じてきたからかもしれません。

「思春期」や「反抗期」「厨二病」とかそういう言葉もあるけれど、結局年齢なんてただの数字。

いくつになっても悩みは尽きないし、悩んでもいいと今は感じています。

この本の中に答えは書かれてはいません。
だからこそ、考えさせられるきっかけをもらえた気がしています。

自分と向き合うことを諦めないで

誰かの役に立っていてもいなくても
どうであろうとあなたはあなたのままでいい

そんなメッセージを私はこの本から受け取った気がしています。

もっと美人だったら・・・
もっとこんなことが出来たら・・・

などと感じることは、誰にでもあるのではないでしょうか?

そこに目を向け続けるのか
それとも今あるものに目を向けるのか

その少しずつの選択で未来は変化していくのかもしれません。

明日の自分の笑顔が増えるような今日を私は選び続けたい。
今はそんな気分。

独特な世界観が魅力の小説です。
よかったら読んでみてくださいね!


この記事が参加している募集

#読書感想文

187,619件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?