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【スペイン北の道⑧】サンティアゴだよおっかさん

前回は夫婦で歩いている方たちのお話を紹介しましたが、家族で歩く方たちもいました。

サンティアゴ・デ・コンポステラまで残り60キロの地点にある修道院 
ここに巡礼者用の宿泊所があります。
修道院の中庭。宿泊エリアから塔を見ています。

この写真の修道院は残り残り3日の地点。巡礼者たちもほとんどが体のどこかに故障があったりします。見知らぬ人たちの集まりですが、お互いここまでよく来たねの労りの気持ちがあってなんだか優しい気持ちになります。

ここで同じ部屋になったお母さんと息子二人のグループを思い出します。息子さんたちは20代の後半の年頃でとても長身。2段ベッドの上の段を床に立ったまま見ることができる。サッカー選手のようなシュっとした息子二人です。お母さんは70歳くらいかな。小さな小さなお母さんです。このお母さんからこの大きい二人の息子が生まれたのか~よく育ったなあ。

お母さんは小さなリュック。息子たちはお母さんの荷物も入った箪笥のように大きいリュックを背負ってそれぞれ歩いてきたようです。お母さんが「私のあの荷物どちらに入ってるの?あら、この中少し整理なさいよ」など言っていて、かわいらしい家族です。

私が、下手な英語で、お母さん息子さんたちにたくさんご飯をたべさせてたいへんでしたね、と質問したら息子さんが英語をお母さんに通訳してくれました。お母さんは「シリアルは箱で買ってたわよ」と段ボールの大きさを手で示します。
お母さんが巡礼路を歩いてみたい、という希望にそって息子たちは荷物を背負ったり、案内もするため一緒に歩いてきたそうなのです。お母さん、たくさんご飯を食べさせてこんなに立派な息子たちが育って、よかったですね。

この修道院の巡礼者用の通用口。まだ暗い朝7時前にこの鉄扉を自分で開けて、
巡礼者は次の街まで歩きます。

この翌日には、ヨーロッパで働いているインド出身の若者が、インドのご両親と叔母さんが巡礼をするのでついてきた、と言ってる家族にも会いました。父上様は、白い立派なヒゲでいかにも「年配のインド人」という方で、ゆっくりゆっくり歩いていきます。息子さんは父上の荷物も背負って坂の上で父上が上がってくるのを待っている。母上と叔母様はとっとと歩いていく。ふたりともインドの方の色彩豊かな服装で楽しそう。

うまいこと整理できないのですが、高齢になっても健康で、暑い昼間に1日に何キロも歩けてそれをサポートしてくれる子供がいる、というのはそれだけでその人は聖ヤコブさんの祝福を受けてる存在に思います。いろいろあった日々だったでしょうが、大正解のゴールを大聖堂が待っている。
この2組の家族連れはそんな風に思わせてくれました。

このお話は拙著の5巻にあたる期間中に起こったことですが、このエピーソードは入れていません。


5巻はこちら↓
4巻はこちら↓




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