池田 和正

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池田 和正

Men’s Bigi,LEGO,Amazonを経て、現在はキャリア・コンサルタント。音楽と映画を中心に書いています。

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レオス・カラックス以来、「Modern Love」で走る。~フランシス・ハ /ノア・バームバック監督(2013)

ノア・バームバックという名前は、以前より気になっていたのですが、ふとしたことから、彼の作品Netflix配信の「マリッジ・ストーリー」が作品賞など多くのアカデミー賞にノミネートされたと聞いて、まず彼の代表作「『イカとクジラ』(The Squid and the Whale)」を見ることに。映画のタイトルは、離婚を巡って争う男女のメタファーらしく、かつ監督の実体験はベースにあるそうですが、ニューヨークは、ブルックリンを舞台にしたこの映画、ピンクフロイドの「Hey you」を息子

    • ザ・スミス ヴィジュアルアーカイブ展  ロミ・モリ×音楽評論家保科好宏氏トークショー 「ザ・スミス 1984年」

      今日は神保町のギャラリーカワマツで The Smithsのライブの撮影をされていたロミさんと音楽評論家としてライブにも立ち合われた保科さんが日本人で何人もいないはずのライブの証人としてお話。   司会は「お騒がせ モリッシーの人生講座」の著者でモリッシーの自伝の翻訳という難事業を担当された上村彰子さん。  1984年当時、全く情報がない中で、The Smithsに出会った時の事を思い出しながら、楽しい時を過ごせました。 ①そこでまず僕の話。 僕の初スミスは デビュー7インチシ

      • One Love / Bob Marley

        彼の初来日を観れなかった後悔は今でも続きますが、近所のシネコンで上映していたので朝9時から行って来ました。 席に座ると予告編が流れており、ビルは崩れ、車は衝突、目の前を飛行機は通り過ぎ、衝突の都度,竜巻でも起こるのかというほど大きな音がなり、これも映画かと朝からちょっと疲れましたが、今日は音楽映画なので、音響が良い方が良いと気を取り直して。 はじめに息子さんのジギー(長男)が挨拶に出て来ます。 奥さん(正妻)のリタもよく出て来て、これはマーリー家の正統な(差し障りなく美化され

        • システム・クラッシャー/ノラ・フィングシャイト監督作品(2019)

           怒りの感情に一旦火がつくとあたり構わず暴力を振るい手を付けられられなくなる主人公の9歳の少女ペニーが映画が始まると同時大暴れします。もちろんそれは幼少の頃に受けた幼児虐待のトラウマであり、いつまで経っても引き取ってくれない最愛の母への希求の表現であり、周りの養護施設の職員たちは、何とか彼女を更生させようとするがどうにもならないというシリアスな状況な訳ですが、そんな彼女の大暴れがそのテンポの良さと着用するキュートなピンクのアウターのイメージもあり、なぜか爽快に見えて来てしまう

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        レオス・カラックス以来、「Modern Love」で走る。~フランシス・ハ /ノア・バームバック監督(2013)

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          フーリガン(Hoologans Stand Your Ground)/レクシー・アレキサンダー(Lexi Alexander)(2005)

          ロンドンを舞台にフットボール(サッカーではない)の熱狂的で時には暴徒と化すファン フーリガンを描いた映画。 と言っても、イギリスのローワー・クラスのドキュメンタリーからキャリアをスタートして、ケン・ローチや「This is England」で自らが属した集団、スキンヘッズを描いたショーン・メドウスのように、話す言葉も態度もそして身なりも徹底して、そして自然にローワー・クラスのリアリティが出ているという印象を受けるわけではありません。 この映画に出てくるフーリガンが着用するのは

          フーリガン(Hoologans Stand Your Ground)/レクシー・アレキサンダー(Lexi Alexander)(2005)

          夜空に星のあるように(Poor Cow)/ケン・ローチ(Ken Loach)(1967)

          オックスフォード大学卒業後、BBCで演出家として、社会問題を扱い注目された彼の映画監督デビュー作。この映画が公開されたのは、1967年 つまりピーコック革命のカラフルで華やかかりしスウィギング・ロンドン真っただ中の時期。 ロンドン南西部と中心部に近い地域フラム(フルハム)で撮影されたこの映画に写るファッションはアメリカ的なテイストやビビットな色目はあるもの概して締めで、当時の庶民のファッションと言えますし、好景気やユース・カルチャーで湧く決してきらびやかな生活ではありません。

          夜空に星のあるように(Poor Cow)/ケン・ローチ(Ken Loach)(1967)

          エリックを探して(Looking For Eric)/ケン・ローチ(Ken Loach)(2009)

          サッカー界のレジェンドの一人、エリック・カントナが直接、ケン・ローチに持ち込んだ企画からこの映画が始まったとか。 エリック・カントナと言えば、フランス出身で若くして頭角を表すも、その”悪童“ぶりから、フランスでは居場所を無くし、イギリスのプレミア・リーグで流れてきて、その後、サーの称号をもらうことになるアレックス・ファーガソンの元マンチャスター・ユナイテッドの黄金時代を築くとともに、外国人に関わらずキングとして今なおスタジアムでは、サポーターが彼の歌を歌うという。 フランスで

          エリックを探して(Looking For Eric)/ケン・ローチ(Ken Loach)(2009)

          ハズバンズ(Husbands)/ジョン・カサヴェテス(John Cassavetes)1970

           昨年、日本で現在見ることのできるカサヴェテスの作品を見なおした後に、イメージ・フォーラムで「ジョン・カサヴェテス レトロスペクティブ リプリーズ」が開催されましたが、一つの会社が版権のある作品だけを集めたためか、残念ながらすべて観たことがあり映画がでしたが、 それから、少し経ってからStranger映画館でThe Other Side of John Cassavetes『カサヴェテス特集』は、彼のハリウッド時代(結局、プロデューサーと揉めて、業界から干されてしまったり、

          ハズバンズ(Husbands)/ジョン・カサヴェテス(John Cassavetes)1970

          ファスビンダーのケレル/ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー(1982)

          ファスビンダーの遺作。 70年代後半にヴェルナー・ヘルツォーク、ヴィム・ヴェンダースとともにジャーマン・ニューシネマの旗手として日本に紹介されました時には、人間を超えたディモニッシュなものを描いたヘルツォーク、ロードムービーのイメージのヴェンダースに比べファスビンダーをいまいち掴めなかったのですが、少なくとももっとアンダーグランドでロックな感触を感じていました。 この映画を観たのは新宿歌舞伎町に会った今はなき、とうきゅうシネマスクエア。 黄色と夕焼けのオレンジの砂糖が解けで、

          ファスビンダーのケレル/ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー(1982)

          「マイネーム・イズ・ジョー」/ケン・ローチ(1998)

          アルコール依存症だった男が断酒会で自分の体験を話すシーンから始まる映画。 主人公は37歳で失業中。回復して今は飲酒していないといえども、若くして無職であることの恥辱や不安、まだ完治していないのではないかと思われる落ち着きのなさ、そしてそもそもの気質としての直情性、世間知らず、過剰なまでの面倒見の良さというローワークラス的なキャラクターを主演のピーター・ミュランが演じます。 音楽の扱いもポイントで、仲良くなったケースワーカーの女性との食事の会話は「アーティスト当てクイズ」

          「マイネーム・イズ・ジョー」/ケン・ローチ(1998)

          ハッピー・アワー/濱口竜介(2015)

           世界三大映画祭受賞は黒澤明監督以来と騒がれていますが、まだ一般的に彼の名前がメデイアによく出るようになったのは、アカデミー賞受賞の「ドライブ・マイ・カー」からですが、現在公開中の「悪は存在しない」の美しさと凄みを考えるとどうしても観たかったのが、演技未経験の4人の女性遠主役に据えた5時間17分の長尺作品「ハッピー・アワー」  映画が始まると突然、ゴダールの映画に出て来そうな抜けた青空、リヴェットやロメールを思わせるぎこちなさ、恥じらい、即興的演技や素人ぽさ、トンネルという異

          ハッピー・アワー/濱口竜介(2015)

          悪は存在しない(Evil Does Not Exist)         /濱口竜介監督作(2024)

          「ドライブ・マイ・カー」で実現されたコラボレーション。この作品でも音楽を担当する石橋英子さんによるライブ時に流す映像の依頼から始まったと言われる作品。 「ワン・プラス・ワン」を想起させる配色のタイトルにジャズのドラムロールと60年代のジャン・リュック・ゴダールを感じるのも束の間、カメラは森に深く入りアンドレイ・タルコフスキー監督の「ノスタルジア」や北欧の冬やECMレーベルのジャケットくらいしか見た事もないほど美しい自然が映し出されます。  コロナ禍のあおりで経営難に陥った企業

          悪は存在しない(Evil Does Not Exist)         /濱口竜介監督作(2024)

          Live At WCOZ ‘77 /Talking Heads

          RSDに45回転2枚組仕様で出たライブ。 元々「実況録音盤The Name Of The Band Is Talking Heads 」の中で一部が聴かれたものの完全版。 彼らのデビューアルバムを発表した後の時期ライブだと思われ、収録曲もセカンドアルバムで発表されるものまで。Davidの変な歌とJerryの変な音をChrisとTinaのリズム隊が支えるという構造で、無名時代なので、曲名の紹介から演奏が始まります。 最近公開された4K版「Stop Making Sense 」

          Live At WCOZ ‘77 /Talking Heads

          悪魔のシスター/ブライアン・デ・パルマ(1972)

          今日は早く目が覚めたので朝からスリラー。 デ・パルマってどうしてもヒッチコックの話が出てくるわけで、リアルタイムで観た「殺しのドレス」もヒッチコックを意識して観てしまったわけですが、今回はその辺は忘れて観るようにしました。如何わしさの極みのような医師役のウィリアム・フィンレイ。カナダはケベック州出身のフランス語訛りの英語を話すモデルで双子役のマーゴット・キダー。血糊や精神を保つためにヒロインが服用するピルの「赤」、怪しいアフリカン・クラブ、美しくも屠殺用のように家庭用としては

          悪魔のシスター/ブライアン・デ・パルマ(1972)

          Lost Angels ~The Genius Of Judee Sill

          アメリカ各地で限定公開されていたJudee Sillのドキュメンタリー。ずっと観たかったのですが、ついにDVD化という事でRecord Store Day に出るとの告知を見つけたもの日本では入荷予定はなさそうなので、USから。国内DVDプレーヤーでは視聴できないので、仕入れなかったんだと思います。  バーを経営していた最愛父の死(彼女は子供の頃からバーのピアノを弾いていた)、継父との不仲、ドラック中毒、逮捕を経て、アサイラムの第一弾アーティストとして契約。レーベルメイトであ

          Lost Angels ~The Genius Of Judee Sill

          「やさしくキスをして Ae Fond Kiss」 / ケン・ローチ Ken Loach(2004)

          主人公の男性であるパキスタンからの移民2世がDJとしてクラブでバングラビート(パキスタンの民族音楽”バングラ(パーティ音楽)“からとられた)をかけるシーンに続き、その妹が学校で同級生たちを前にして、話すシーンから始まります。 「私がブッシュ大統領も法王も道路掃除人も一緒くたにしたら笑われるでしょう。 ありえませんから。 でも西欧は同じ事をしています。50ヵ国10億人のイスラム教徒を一緒くたにしているんです。私の姉は敬虔なイスラム教徒ですが、肌が黒いから黒人だと言います。

          「やさしくキスをして Ae Fond Kiss」 / ケン・ローチ Ken Loach(2004)