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「かわいい江戸絵画」府中市美術館編

はじめに

2021年4月の日経新聞に「ゆる〜い江戸絵画 十選」というコラムが掲載されていました。執筆は府中市美術館学芸員の金子信久さんです。

先日、たまたま図書館でみつけた「かわいい江戸絵画」こちらの本も、府中市美術館の刊行でした。興味が湧いたので早速借りてみました。

「かわいい」の歴史

「かわいい」は、古代中世の「かはゆし」が語源で、恥ずかしいという自身の気持ちを表すものだったのが、やがて、他者を気の毒に思う気持ちも表すようになった。更に江戸時代になって「かわいい」は「いとおしい」という意味へと広がった。としています。

江戸時代のかわいい絵には、円山応挙の子犬や歌川国芳の猫がよく知られています。

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円山応挙 狗児図…この表情、たまらないですよね😊

この本には、「かわいい」にともなう感情や「かわいい」形などで分類した、江戸絵画の「かわいい」がたくさん紹介されています。

その中でも、私のお気に入りをメモしておこうと思います。

与謝蕪村 火桶図

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化け物になった火桶が怪談にこうじる人間を見ているところ。にやりとした火桶が、怖いというより可愛くみえてしまいます。

伊藤若冲 河豚と蛙の相撲図

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丸い河豚のフォルムとカエルの表情が可愛いらしいです。

毒のある河豚とガマの油として薬用とされたガマカエルの相撲って、盾と矛みたいなことなのかしら?


仙厓義梵 猫に紙袋図

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猫にいたずらをして大喜びしている子どもの表情が微笑ましいですね。ゆる〜い線と紙袋をかぶせられた猫がユーモラスです。

「猫に紙袋」は後退を意味することわざらしいですが、禅僧である仙厓義梵はどんな意味を込めたのかしら?


中村芳中 托鉢図

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托鉢僧の行列なのですが、なんだか全員が笑顔で、さながら某ランドのパレードのようです😆

伊藤若冲 親子鶏図

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三匹の雛の表情がなんともかわいいです。親鶏は見事な筆技で描かれているだけに、目が点のみの雛とギャプが絶妙です。


ほかにもたくさんの「かわいい」が紹介されています。みなさんのお気に入り「かわいい」を探してみてはいかがでしょうか。

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