藤沢あかり/編集・執筆

わかりやすい言葉で、わたしにしか書けない視点を紡ぎたい。たまご好き。行きたい店はだいた…

藤沢あかり/編集・執筆

わかりやすい言葉で、わたしにしか書けない視点を紡ぎたい。たまご好き。行きたい店はだいたい臨時休業。趣味は手紙を書くこと。著書に「レシート探訪 一枚にみる小さな生活史」。過去の仕事はインスタグラムにまとめています。http://akarifujisawa.com

マガジン

  • 雑談日記、記憶の記録

    SNSに書いたことば、スマホのメモ、これまで自分が書き散らした記憶の断片、思考途中のメモ書や雑談です。あとから思い出して書く文章に比べて、その瞬間の気持ちが詰まっているような気がします。写真でいうところの撮って出し、レタッチなしのことばです。

  • 藤日記

    日々のつれづれ、日記のようなエッセイです。

  • 春からはじまる冬眠日記

    2020年春に始まった家族4人のおこもり生活。小さくも豊かに暮らせるようにはじめる日々の記録です。

最近の記事

ご自愛と甘やかしのゆくえ

「自分を甘やかすってよく聞くけれど、何をしたらいいかわからない。そもそも、それってどういうことなのかな」。 同じ小学1年生の息子を持つ友人ら(つまりママ友)3人でピザを食べ、隣のコーヒーショップでお茶を飲んでいたときのことだ。冒頭の言葉は、彼女の職場で起こったあれこれをひととおり聞き、コーヒーのマグカップが空っぽになったころに飛び出したものだった。 彼女はしっかりもので皆にやさしく、年齢こそ10ほども下だけれど母親として学ぶところも多い。職場の人間トラブルに巻き込まれ、適

    • 【雑談日記】4月8日〜4月14日 あの坂をのぼれば、海が見える

      2024年4月8日(月) 小さい1年生と大きい6年生 卒園式と同じスーツを着ているのに、ランドセルを背負った途端、ぐんとお兄さんに見える。入学式は6年生が準備や進行のお手伝いをしてくれる。小さい1年生と、大きい6年生。娘は6年生なので、家族4人で一緒に出席できた貴重な入学式だった。 2024年4月9日(火) 桜の花びら 下校時間は嵐のような天気。帰宅後、傘についた桜の花びらを息子が手渡してくれた。学校も学童も、通学路の道のりも。今日はよく頑張った。しみじみと1日を思い

      • わたしが開くトーストの店

        レジは打てないし、原価計算などとんでもない。そもそも子どものころから、お店屋さんごっこよりも断然おままごとのほうが好きだった。 それなのに、いつか、いつかもし、お店を開くなら喫茶店と決めている。それも、厚切りトーストとコーヒーだけの小さな喫茶店。 トーストに使う食パンは、北千住「ふらんすや」の無添加食パンがいい。素朴で飽きないおいしさと、日常のパンにできるお値段。以前、文筆家の木村衣有子さんが北千住に住んでいたころ、食パンはここで買うと決めていると何かで読んだことがある。ち

        • 【雑談日記】4月1日〜4月8日 たまにはライターらしく考える

          2024年4月1日(月) はじまり 新章スタートの春。息子は今日から学童へ行く。 はじめての場所で、楽しくやれているだろうか。つらい思いをしていないだろうか。ごはんはちゃんと食べられただろうか。とめどなく想像し案じてしまうけれど、ぐっと飲み込み、わたしはわたしの仕事をする。息子の力を信じて、待つ。難しいけれど、とてもとても大切なこと。 2024年4月2日(火) われは草なり よそと比べて苦しくなったときは、高見順の詩「われは草なり」を読む。声に出して読む。3回くらい読

        ご自愛と甘やかしのゆくえ

        マガジン

        • 雑談日記、記憶の記録
          16本
        • 藤日記
          16本
        • 春からはじまる冬眠日記
          17本

        記事

          つま先にラズベリー色のご機嫌

          娘の友だち一家が遊びにきたときのこと。みなでたこ焼きをつくり、ピザを焼き、ワインの空瓶が並びだしたころ、娘が突然「ネイル塗る!」と、わたしのネイルが入った箱を引っ張り出してきた。 「えー、明日から新学期やのに?」「足だから見えないし、だいじょうぶだよ!」 「◯○ちゃん遊びにきてるのに、いまじゃなくて良くない?」「えっなんでダメなの?」 娘はやりたい!と思ったら止まれないふしがある。この日も、みんなのおしゃべりをよそに、がちゃがちゃと物色したあと、わたしがいちばんお気に入り

          つま先にラズベリー色のご機嫌

          【雑談日記】3月25日〜3月31日 北海道でナックルウォーク

          2024年3月25日(月) お灸をすえる ひさしぶりにお灸を手に取った。最近は煙が少ないもの、いい香りがするものなど種類もうんと増えているらしい。わたしが買ったのは、オーソドックスなせんねん灸。お灸と言うと、昔は台座もなく、もっと熱くて痛いものだったのだろう。いまや「お灸をすえる」と言われたら「ありがとうございます」と言いかねない。 からだじゅうのあらゆるものがサラサラと流れ、巡る様子を想像しながら、揺らぐ煙をじっと観察する。 2024年3月26日(火) 一人ひとり

          【雑談日記】3月25日〜3月31日 北海道でナックルウォーク

          春の嵐と、母の気持ち

          息子が小学生になった。ランドセルを背負って学校へ行き、終わったら学童に行く。はじめて下校後に学童へ向かう昨日は大雨で、子どもでも歩くのがやっとの天気だった。 文章に書けば、たったこれだけだ。どこにでもある、当たり前の成長のはなし。でも、わたしは心臓がつぶれそうになっていた。雨粒と桜の花びらが一緒くたに横殴りでぶつかってくる春の嵐のなか、傘の盾をえいやと構え歩く息子。後ろから見るその姿は、想像以上に小さい。 保育園では年長さんとして「あぁ大きくなったなあ」としみじみ思っていた

          春の嵐と、母の気持ち

          【雑談日記】3月18日〜3月24日 わたしは数字を覚えられない

          2024年3月18日(月) すべてのことはメッセージ 「情報」ではなく「あなたへのメッセージ」として伝えられることばを、いつも探している。 2024年3月19日(火) 夢の話ほどつまらないものはない 親友と大げんかして、ぷりぷり起こりながら彼女を残してひとり電車を降りたら、ものすごい山奥に迷い込み戻れなくて、焦りと悲しみと怒りがごちゃまぜになったところで目が覚めた。今日は親友の誕生日。けんかはしていない。 2024年3月20日(水) シオラレオネのひと 息子と一緒

          【雑談日記】3月18日〜3月24日 わたしは数字を覚えられない

          日々の名もなき料理に

          スレッズでふと流れてきた投稿に、料理家にレシピ制作を依頼する際の編集者の胸の内が吐露されていた。 「もっと手軽に」「家にあるもので代用するなら」。読者の役に立つ記事にするためには、そんな要素が欲しいし、どうしてもリクエストに加えてしまう。しかしプロに対してそれを伝える心苦しさ。 その気持ちは、痛いほどわかる。 到達点は同じ「読者においしいものを食べてもらいたい」かもしれないけれど、その山は意外なほど高く険しい。高い山ほど、登山ルートは数多く存在する。ゆっくり登るなだらかな道

          日々の名もなき料理に

          【雑談日記】3月11日〜3月17日 息子はフレディになり、わたしは子どもに戻ってしまう

          2024年3月11日(月) フレディになる日 息子がロックグループのクイーンにはまり、youtubeを見ながらエアダンスをしている。独創的な、キレッキレの即興ダンス。 彼はすごく人見知りで、かつ写真や動画を撮られることを極端に嫌う。こちらがスマホをちょっと動かそうとでもすれば途端にダンスは途切れてしまうし、もうぜったいに見せてくれない。だから毎回、脳裏にまぶたに、わたしの記憶をつかさどる器官すべてに刻みつけるような気持ちで、息子のダンスを見ている。 ちなみにわが家では、息

          【雑談日記】3月11日〜3月17日 息子はフレディになり、わたしは子どもに戻ってしまう

          【雑談日記】3月4日〜3月10日 カフェラテ一杯分のおしゃべり

          2024年3月4日(月) 続かないのではなく、続けていない ほおらね、やっぱりね。そうなのだ、やっぱりわたしは続かない。いや、続けていないのはわたしなんだけど。何の話って、この日記のことです。 できないのではなく、やっていないだけなんだろうけど。そう書くのは簡単で、実行は難しい。やれやれ。 2024年3月5日(火) 三者三様 ライターと名のつく3人で集い。喫茶店でチョコレートタルトやチーズケーキを分け合いながら、アジアン料理屋でヤムウンセンやパッタイをつつきながら。

          【雑談日記】3月4日〜3月10日 カフェラテ一杯分のおしゃべり

          熱い風呂と、雑談と

          家族内でトラブル。朝からささくれだった気持ちをなだめようと、子どもを保育園へ送ったあと、湯船に熱めの湯を張った。 自分のせいとも、子どものせいともいえる。夫がもっと役に立っていればともいえる。誰かのせいにできるような、でも実際のところ誰も悪くないような、それぞれの正義を貫きあいながら、ボタンを掛け違っていく。家族はいちばん小さな国であり、世界は家族の集まりである。 さまざまな思いを熱い湯に溶かしきり、ほかほかのからだでパソコンに向かう。途中、夫からLINE。親戚への所用の連

          熱い風呂と、雑談と

          桃カステラの春

          桃の節句は、2月のうちの桃カステラの注文から始まる。一昨年はすっかり忘れて間に合わず、都内にある長崎の物産館やデパートの銘菓コーナーを探し回り、結果買えずに終わるという苦い思いをした。 桃カステラは長崎の銘菓で、春を招く縁起菓子として愛されている。春先になると、長崎にいくつもあるカステラ屋の店先は、愛らしいカステラで桃色に染まるという。いつかその光景を見てみたいとずっと思っている。 大阪で育ったわたしにはまったく縁のないものだったけれど、長崎出身のひとたちが教えてくれ、さら

          【雑談日記】1月22日〜1月28日 蛸足ノートの妻

          2024年1月22日(月) 5時、誤字 5時、終業ギリギリのタイミングで、原稿を編集者に送る。原稿をどのタイミングで完成とするか、いつも迷うし、なかなか踏ん切りがつかない。いつも何度も読み返し、ちまちまと修正を重ねている。送った直後に誤字が見つかるのも、いつものことだ。 2024年1月23日(火) noteのタブー noteでうまくやっていくためには、読み手にメリットがあることを、「読みたい!」と思うタイトルで書くのがなにより大事だそうだ。ああ、なにもできていない。

          【雑談日記】1月22日〜1月28日 蛸足ノートの妻

          なんでもない1月29日のこと

          月曜日の夜は、あわただしい。 保育園に息子を、さらにそこから自転車で15分先の学童まで娘を迎えに行く。行って戻って、1時間。夕飯づくりは時間勝負になる。今日は、土曜日につくったトマト煮込みのミートボールを荒くつぶし、少し濃いめの味に整え直したあとパスタを入れて絡めた。生活クラブで売っているニューオークボの生フェットチーネは、むっちりと食べ応えがあるうえ、茹で時間も3分で済む。 副菜には、切り昆布を甘辛く炒め合わせたもの。魚売り場を歩いていたら、以前取材で「黄魚(きお)」の店

          なんでもない1月29日のこと

          【雑談日記】1月15日〜1月21日 後ろ歩きで進む

          2024年1月15日(月) 日常に溶けてしまう 吃音が日常にあると、どもったり詰まったりしていることに、あまり気づかない。一緒にいるひとに、何度も聞き返されたり、聞き間違えたりされている様子を見て、そうか、そうなのかと考え込んでしまった。 2024年1月16日(火) 後ろ歩きで進む わたしは過去を見つめながら、後ろ歩きの状態で前に進むような生き方をしている。視線はいつも過去にあり、背にある未来は見えていない。だから、おそるおそるすべらすように足を動かす。ひとに比べて進

          【雑談日記】1月15日〜1月21日 後ろ歩きで進む