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すばらしき世界を見た

「日常が好きやんな。」

わたしの読む本、わたしの選ぶ映画のそれらをさして、
14歳の長女から言われた一言。

わたし日常が好きだったの?!

言われるまで気が付いていなかった…。

でも振り替えると確かに納得の一言。

最近はめっきり洋画を見なくなった。邦画の身近な感じが心地いい。

昔は映画と言えば洋画しか見なかったぐらいだったのに…。
この数年で俄然、邦画派に転向を果たしている。

きっかけは単純なもので、字幕が疲れる…。
なんとも老化を促すようなさもしい理由だけど。
抗えない。
体は心以上に時に正直だ。

生きているだけでいつからかこんなに疲れやすくなってしまったんだろうね…?

んんん…いや…。違う。

十分頑張ってるから! ということにしよう。う、うん。

今夜は子どもは冬休みスペシャル!おばあちゃん宅にお泊り。

主人は中学生のころからのお友達と夜遊び。おじさんやけど遊び方がまぁお若いこと。
と、いうわけで一人きりの夜。

年末年始用に図書館でかりた平積みの途中の本を読もうか?
ちなみにこれ

寺地さんブーム

それともあれこれを雑記手帳に書き込もうか? 映画をみようか?

三択の中から~
今夜は映画!に決定。

そしてこれ

【すばらしき世界】


役所さん。あかんって。
演技力がとんでもないことになっている。
彼は日本映画界の宝で間違いない。

脇を固める俳優陣もこれまたすばらしい。それが映画の良さをさらに引き立てている。

役所さん演じる三上正夫は、その人生のほとんどを刑務所で過ごした中年の男性。

映画は三上が出所してからの彼の挫折と更生を描いている。

まるですばらしくない彼の生きる世界が、少しづつ人との出会いからすばらしい世界へと変わる様に感動する。

まさに映画のサブタイトル
この世は生きづらく、あたたかい
を体現してくれる演技にポタポタ泣けた。

敷かれたレールの上を最初から生きれなかった人はどこから始めたらいいのか…。


誰も教えくれなかった無知からくる悲劇とも言える人生。

世間の無常が心にギシギシ響く。

わたしは大きく世間からドロップアウトした人生を生きてきたわけではない。

むしろノーマルバージョンといっていいほど。
その年代別に経験しておくと人生を謳歌できるでしょ!を手順通りにそれなりに面白おかしく呑気に過ごしてきた。


青春を連想さえる色が水色とするならばその時代には水色の世界に住んでいたし、
その時々が放つ色に都度、染まってきた。

レールが引かれている自覚もないほど、自然過ぎて、当たり前過ぎて、見えない透明なレールが既に合ったのだ。

それはそうお膳立てしてくれた親の愛だとかであって、それは平凡というなの幸せなのだ。

この映画を見たあとは尚更、思うわけで。

「まっすぐ過ぎる人は生きづらいのよ。」

作中で三上を思う人からの言葉に唸る。

上手く自分を曲げれる人はしなやかだ。

ガラス同士はぶつかるとすぐに割れてしまうけど、プラスチックは簡単には割れない。

でもガラスは確かにプラスックより美しいわけで…。

人生にはその美しさこそが必要であったり魅力だあったりもする。

合理的に割れないプラスチックや紙皿とか、その類の素材だけで配膳された食卓が侘しいのと一緒。

世間をたくましく生き抜くには、ガラスとプラスチックのハイブリット型が必要なのかもしれない。

どの家でもあるある?
お気に入りのコップはいとも呆気なくすぐに割れたり、かけたりするのに…。

ミスドで貰ったコップとか弁当箱だどかは平気で20年選手ぐらいの勢いて実家に存在してたりする。

誰も居ない、ほの暗いリビングでエンドロールを眺めながら、自分の生きてる世界は、はてどんな世界か…。考えてみる。

まぶしい何かがふんだんに散りばめられているわけではない。

今日だって、仕事であるまじき失敗をやらかした。
帰宅してからの副社長からの指摘のlineでそれが発覚。

年末ぎりぎりの失態はなんとなく後味がわるい…。

丁度、畳んでいた洗濯物みたいに心臓が小さくたたまれたような気分になった。

だけど、家族と生きている。それなりに人とも関わっている。

その日常こそが、わたしにとってのすばらしき世界だということを思い出す。

そう。つまり、わたしはこの日常を愛しているのだ。

だから日常を描いた映画や本が好きなのだ。

まだ始めて少しだけどnoteが好きで楽しい理由もどこかのだれかの愛しき日常を知れるからかもしれない。

一人の夜は長い…そんな非日常もまたよし。






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