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おばんざいと日本酒や〜香り〜

不定期開催し始めたおばんざい屋。今回は特別編で、調香師の友達と一緒に食と香りを交わらせる試みをしました。

香りのカードとおばんざいと日本酒

タイトルは”纏”

食と香りをテーマにしようと思った背景について。

食事をするときに、食べることは楽しめるけど、食の背景を知ることを楽しむことってなかなかしないなと思っていて。でも、知るべきことがあったり知ったほうが食体験も楽しくなるはず。

食べる時に、物語や情景を思い浮かべられると、より食べる体験が楽しめるんじゃないか?
香りには、情景や記憶を思い起こさせる役割があります。だったら、香りを嗅いで食事の物語を想像しながら、ごはんを食べると面白いのでは?
そう思い、情景を思い浮かべられるような香りを用意し、食事の場で同時に体験できる場を作りました。
香りを嗅いで、情景を想像しながら、食べることを楽しむ。そんな会になりました。

これまで、食事の場で香りを蒔いたり焚いたりするのは控えられてきたと思いますが、香りがあることでより食事を楽しめるかもしれない。


4種類の香りとおばんざい

今回はコース形式で、4種類の香りとおばんざいを用意しました。
まずメニューの代わりに香りを嗅いでもらう。そうすることで、香りから情景を想像できて、その後に食べる時にイメージを膨らませながら食べることができるんじゃないか。

香りと連動して、それをイメージしたイラストも作りました。そんなことから、イラストを見ながら香りを嗅いで、香りの説明をして、その後おばんざいを食べてもらいました。

1.ASANOYAMA

イラストは調香師のあさのちゃん作

一品目は旬を味わいたかった。そこでキノコをふんだんに使いました。秋の山に入った時に、いろんな種類のキノコに出会うようなイメージで、数種類のキノコを使いました。バルサミコ酢と粒マスタードとローリエで味付けをし、見た目が土壌っぽくなるようにしました。

2.AKIYASAI

2品目は、食材のルーツや生産地への情景に想いを馳せたい。そこで、秋野菜のかぼちゃやが外国からやってきたルーツや、ここで使った、ひしお(味噌と醤油の間ような調味料)が小豆島という醤油の街で作られている情景や、チーズの生産では牧場の牛たちが作っている情景をイメージした香りを用意しました。想像することで、目の前の食べ物の背景について考えるきっかけにしたいなと。

3.AKI MANKITSU

3品目は、秋の今しか食べられないもの。栗と落花生の炊き込みご飯を作りました。そこに秋刀魚の塩焼きを乗せて。栗もシーズンが終わりかけていたので手に入れるのに少し苦労したくらい。落花生は京都の農家さんより採れたて旬のものを仕入れました。栗を食べると、この季節がやってきたなあと、自然と大きな自然と共に生きていることを実感します。一瞬で過ぎ去るので儚いけれど、そうやって移ろいの感覚と共に生きるのは美しいなと感じます。

4. TOUROU

4品目はお菓子。五感で味わいリラックスできる体験にしました。夜、お寺にいてお香の香りを嗅ぎながら和菓子を嗜むイメージ。キャンドルを焚きました。お寺って瞑想することで自分の内と外に向き合う場でもあり、生と死を感じる場でもあって。「食べる」ことの後ろにある壮大な営みにも通ずるなあと。香りを嗅いで火の揺れるのを見て和菓子を嗜んで、粋な食事の空間になりました。

感想

香りがあることで、食べる前に頭の中で情景や何かイメージを想像できて、そのイメージを膨らませながら食事ができたと思います。
私たちも香りと食事をどうやって楽しめるか未知ながらも、実験的に五感をフルに働かせる食体験となりました。
四季ごとに開催しようと思ってるので次回は冬verをお楽しみに。

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date: 10.25 (Tue)
第1部19:00~20:30、第2部20:30~22:00
place: BONUS TRACK @bonustrack
下北沢駅より徒歩7分
menu:
・3種類のおばんざい, 1種類の甘味
・4種類の日本酒
 ¥3,500
contact: DM💌

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