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ケニアで1か月過ごしました

今更ですが9月の約1ヶ月間、アフリカ大陸のケニアにて食にまつわる活動をしていました。そのきっかけと現地の様子を綴っていたので載せておこうと思います。

なぜ行こうと思ったのか。

アフリカに行くの?と良く驚かれましたが、そもそもなぜ秘境の地・アフリカに行こうと思ったのか。色々な要因がありましたが、一番の理由は、世の中で起きている「問題」を自分の目で見て体感したかったからでした。社会で起きている問題っていったい何なんだろう。果たしてそれは社会に悪い影響を与えるものなのか。そんな疑問にジレンマを感じ、頭がいっぱいになっていました。というのも、わたしの関心のひとつに環境問題があるのですが、環境問題にはあらゆるステークホルダーが複雑に関わっているからこそ本質的な「問題」が何であるのかが分からなかったことに対して疑問を感じていました。実際に環境問題が深刻とされている世の中で、気候変動によって困っている人たちは居るのだろうか。どんな影響を受けているのだろうか。テレビやネットのようなメディア媒体は、情報は知れますがそれが本当に起きているのかはわからない表面的なもの。そんなことを自分の目で見たくてアフリカへ行くことを決めました。

ドイツの環境先進都市で生まれた願いと疑問

きっかけについてもう少しだけ紐解くと、以前にドイツの環境先進都市を見に行ったことも挙げられます。人と自然がうまく共生していた理想的なモデルを見てきて沢山感じ学んだことがあったけれど、腑に落ちない部分がありました。それは、「問題」は何かということ。どんな問題があるから、それを解決する先進都市ができてきたのか。ドイツの環境先進都市のような町づくりを進めたい!と思ったのですが、ふと立ち止まって考えると、どうして環境に優しい都市である必要があるのか、ということが頭の中をぐるぐると回り始めて止まらなくなったのです。CO2排出量が増加し続けているみたいですが、CO2は目に見えないから本当に増加しているなんてどうしたらわかるのだろうか?だからこそ、課題を抱えていると言われている世界を体験して理解したいと思いました。
環境問題の中でも、私がアプローチしたいのはやはり好きな食分野から。以前から入り込んでいたスローフードという哲学の世界があり関心を持っていました。美味しい食を未来へと繋いでいく。そのために伝統食を守り、持続可能な食のシステムを作っているのがスローフードです。
そんなとき有り難いことにご縁に巡り会い、スローフードケニアに受け入れてもらえることになりました。スローフードという、現代の食の在り方を一度立ち止まって見直そうとする運動を進める活動です。まさに関心のあったところへ関われることになりました。

ケニアのNGOで動き廻る日々。


主な活動内容は様々な学校や農家を訪れてガーデンを作ることでした。毎日ぎゅうぎゅう詰めの車で数十分かけてフィールドへ向かいました。時には、「日本とは違って、ケニアではこれも道路と言うんだよ」と冗談交じりに、草原の道なき道を進みながら。

ガーデンを作っているのも、スローフードがアフリカ大陸に10,000個のガーデンをつくるというプロジェクトを行っており主な活動軸になっているためです。ガーデンを作ると言っても、ただ耕すことではなく、食材と触れあう場所を作ることとして捉えられていました。
それも、活動の目的は伝統食材を残すことであり、それによって食に関心を持つ人を増やすことにあります。

例えば、近年ファストフードなどのジャンクな食べ物を食べる機会がケニアでも増えてきました。当たり前のように食べているけれど、どのような食材が使われているのかということや栄養を取ることについて考えるべきではないか。このような現状に対して、栄養がありかつローカルな伝統食材をガーデンで育てることで、生産消費する人を増やして今の食生活を見直してもらおうと促しています。

また、小学校や中学校といった身近な所にガーデンを作ることは、「普段自分が食べている食べ物」について子どもの時から関心を持ってもらうことを狙いとしています。普段食べている野菜はどうやって作られているのか?それを知ることは、ものを育てる手間や健康、引いては社会について知ることでもあります。

知って考えてもらうためには、五感を使いながら楽しく学べる環境があることが大事だと思っており、実際子どもたちは、「楽しい」とわくわくしながら参加していました。楽しく野菜を育てることを通して、彼らの学びと気づきが積もってほしいと願っていました。
他にも、マーケットやカンファレンスがある際には参加していました。例えば、種の交換会という名のマーケットがありました。あるエリア近辺で仕事をする組織や農家が集まり、各々が持つ種を販売し合うものでした。持ち寄った種は、土地土地に適していて自家栽培されたもので色や模様が様々でした。

カンファレンスでは、Sustainable Dietをテーマに話とディスカッションがなされました。アフリカ全土の今の食事を見直し、健康により関心を持つべきだという話が多かったです。例えば、もともとのケニアの食習慣として炭水化物を多く食べる習慣があったり、ジャンクな食べ物を食べる機会が多くなってきたりしていることにより、栄養不足の人がいることが課題と見なされていました。健康や持続可能性についてはあらゆる国が取り組んでいる中、ケニアの地方都市でも大切な話題だと捉えられていることを実感しました。

ローカルな草の根運動


スローフードケニアでの活動は草の根の運動でした。この強みは、地域の人に寄り添いながら一歩一歩確実に歩んでいけることだと感じました。例えば、日々ローカルの人たちを訪れて話ができたのも日々彼らのもとへ足を運んだからでした。ここで冒頭に書いた、アフリカに行くきっかけとなった「問題を知りたい」ことについても農家の方からお話を聞くことができました。印象に残っているのは、「気候が変わることで天候を予測することが難しくなった。」と、今までは昔から伝わる知恵や感覚を使って育てていたけれど、例年通りには育ちにくくなっているため天候の変化を読むことに苦戦していると言っていました。気候変動という大きくて漠然とした課題が、ローカルなレベルで影響を受ける人たちがいるのだということを知りました。一方で、日本であれば高度な技術を持っているため影響を受けていないのだろうか?そうならばケニアでも彼らが発展した技術を扱えるようになると対応できるようになるのではないか。様々な思考は発展するばかりで止まりません。

様々な角度からインパクトを。


小さな活動の積み重ねは、大きなムーブメントを作るのだと感じました。実際に目で見て知った様々な大きな問題が在っても、一歩一歩取り組めば世の中は変わると思います。実際にスローフード運動自体がイタリア・ブラの町のグルメな人たちから始まった運動で、今では世界各国にまで広がり大きなムーブメントになっているように。そのような草の根からの運動で影響を生んでいく傍ら、大きなインパクトを与える動きや技術を活用できるとより社会が動いていくのだ、と思いました。

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