街クジラのうた #シロクマ文芸部(2075字)
「街クジラに遭ったら逃げること」と言ったのは誰だっただろうか。
信じられないかもしれないけど、今オレの前にクジラがいる。2階の部屋の窓からデッカイ目だけを出して、こちらを覗いている。オレの家は、海辺にあるわけでも、ましてや海中にあるわけでもない。普通の住宅街に建っている普通の一軒家だ。
クジラは半分透明でふわふわしていて、体が日の光をうつして虹色にゆらめいている。オレが知っている海のクジラとは全然違っていた。
「もしかして、おまえが街クジラ?」
オレがそう言うと、クジ