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フォトグラメトリのアプリ(web)を使った緊急災害時の迅速な地域情報の可視化について

能登半島地震に際し、アプリ(polycamのweb)を使って国土地理院空中写真を元にフォトグラメトリで3Dデータを30分程で生成し、Cesiumへ持って行ってみました。その過程で感じたことなど、主にアプリ(web)を使ったフォトグラメトリ処理について備忘録的に書いておこうと思います。

実際に投稿した内容は以下の通りです。①メリット等、②作成フローなどについて目次以下に書いています。


1 メリット等

アプリ(web)経由によるフォトグラメトリ処理のメリットは次の通りです。(どちらかというと災害対応する職員のことを想定しています(大分昔の経験上、ですが))

(1)モデル生成が早い(30分程)

・写真をアプリ(polycam:web)にアップすると30分程で出来上がる
(無料でも150枚、サブスクだと2000枚まで一度に処理できる。他にも同様のサービスを提供しているアプリはあるが、今のところpolycamが頭一つ抜けている)
※1度に150枚処理できれば、今回のような空中写真は3D化可能
・一旦は処理にかけておくだけでもよい(他の対応を優先)
・出来上がったらタブレットやPC等でデータを共有して参照
・総合的な対応は詳しい各種地図や状況を踏まえて考える、という感じ(cesiumに持っていかず、ひとまずモデル共有だけでもいい)

polycam無料版

(2)誰でもできる

空中写真をアプリ(web)にアップするだけでモデル生成してくれるので、手間が少なく誰でもできる。

(3)高性能PCでなくてもよい

webでモデル処理するので、ローカルPCのスペックはある程度高性能でなくてもいい(でも高性能に越したことは無い)。

(4)webで処理が完結する

国土地理院の写真をダウンロードし、webサービスにアップするだけでモデル処理が取り急ぎ終わるというweb完結型のフロー。

 ※留意点

〇高解像度ではなく、あくまで参考
・イメージとして参照しつつ、実際には平面地図での確認等を中心にすることになるかと思います(写真データは権利元の規約に従う)。出来上がったモデルは空中写真に照らし合わせて要確認。
〇通信インフラが必要
・災害対応拠点は一定の通信は担保されているという前提
〇災害の種類によって適宜対応を考える
・津波・広範囲・起伏の大きい地形のため、より3Dによる情報が分かりやすかったように思います(都市部や平野を中心とした災害であれば、また違ったアプローチが必要となるかもしれない)

2 作成フロー

(1)国土地理院空中写真からデータを取得

国土地理院空中写真の各写真のデータをHPから取得

(2)取得した写真データをwebへアップ

・取得した空中写真をpolycamのwebへアップ(DetailsはFullまたはRaw)
・30分程で生成される(200枚ぐらいだと生成はもっと早い)

polycamのデータアップロード画面
(写真処理は無料だと一度に180枚、サブスクだと2000枚まで)

(3)生成されたモデルをエクスポートし、共有

※無料版だとGLTFだけのようですが、リンクで共有も可

polycamのエクスポート画面

(参考:Cesiumにアセットをアップロードしストーリーを作成)

※以前Cesiumを触っていた時期がありましたが、まだまだ地理情報システムについては勉強中…

cesiumの画面

3 おわりに

・総論としては、最初のメリット等で書いた通り、緊急時に同時並行的に情報を俯瞰する目的としては有用かなと思う。
・時間が経つに連れ専門の知見を有する方や機関の情報発信が増えていくので、一旦は緊急対応の補助という感じかな。(特に防災、土木、測量等はプロの知見の重要性を改めて感じるところばかり。災害対応で重要なのは現場で、やはり情報技術は現場の役に立つものでないといけない)
・防災は人命に関わる重大な分野だけど、情報技術もここ十年ぐらいで大分普及・浸透して状況が変わってきているので、用途に応じてグラデーション的に、臨機応変に技術を活用していったらいいように感じた。


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