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現実を直視できない。 めもあてられない状態というわけではない。 レンズ一枚分くらい現実とは違う世界を見ているのだろう。 たとえば雨。 肩を水滴がしとど濡らす感覚や傘を鳴らす雨粒で雨を認識するのは苦手だ。 水撒きの水との違いを明確に分ける感覚が私にはない。 ではどんな時に雨を感じることができるのか。 雨の降る中過ごした布類の抱擁だろうか。 布の中の雨に抱かれながら、鼓動を感じている。 沈みこんだ雨を嗅ぎ分けて胸に染み込ませる時、私は自分の中に雨を降らせることができる。
