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バケット焼きたて

バケット焼きたて

なんとも上がるポップではないか。焼きたての小麦の芳醇な香り。しかも10本ほど並んだバケットは、それぞれ焼き上がりが異なり、夏休み明けの子供たちの顔のように焦げ具合も色々で迷ってしまう。

焦げが強めのバケットを2本選んでレジへ持っていく。焼き場から女性店員が出て来て、瞬く間にレジを打ち目の前でバケットを細長い専用のビニール袋に入れてくれる。

1本目。
そして2本目。ところがビニール袋の口が開かない。店員さんの手元を見るとルーズなビニール手袋のせいか、雪道でスタックしたようにツルツルと滑って袋の口が開かない。

あ、僕がやりましょうか?
店員さんは無言で手を引いたので、素手の僕がやってみると明らかになにかがおかしい。

おいちょっとまて。

見るとやはり開口部の反対側を無意識に開けようとしていたようだ。

あ、これ多分反対ですよね!
店員さんと僕は初めてお互いに顔を見合わせた。マスクから覗いた彼女の眼がいたずらっぽく笑った。僕も思わぬ寸劇に笑った。

あと20歳僕が若かったら恋に落ちていた笑

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