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誤謬

遠方からの客人との一席で、名古屋の飲食店の予約で電話した。

「自動音声AIによる予約システムです…」

瞬時にバグる自分。キーボード入力なのか。

「ご予約ですか ーー沈黙ーー 」

「あ、はい」

「ご希望の日時を…」

「(すげ音声認識だよ)あ、本日19時から2名で」

スムーズに予約完了でき食事もできた。すごいシステムだ。AIなら瞬時に予約可否の判断もできるし感情のブレや不正もない。もうひとつ気がついたのは、そのお店は外国人観光客のお客さんが多かった。しかも他民族。なるほどAIだから他言語対応だ。素晴らしい。

もうひとつ真逆ともいえる出来事もあった。

帰り道。

東海道本線名古屋駅の2番ホームへの階段を登っていると切羽詰まった女の子が僕を目掛けて階段を下りてきた。

すみません!助けてください!

2302

僕は2328の列車に乗る予定だ。
その女の子。20代前半だろうか。辿々しい日本語。おそらく台湾人だ。

スマホを僕に見せながら。

〇〇駅にはどうやって行けばいいのですか?

画面には聞いた事がない駅名と案内が英語で表示してある。23時である。彼女が思っている以上に緊急事態であるのは分かった。

僕は大急ぎで自分のスマホを取り出しその駅名を平仮名で行先案内させる。

ぎり間に合うな。しかし名鉄線の謎駅のようだ。これは詰んだぞ!かわい子ちゃん!

名詞は英語、助動詞は日本語を駆使して概要を伝えながら、彼女を改札まで連れて行き名鉄名古屋駅の方向を示す。念の為JR駅員にも尋ねるがそんな名鉄の駅までは知らないと。

しかしもうひとりの自分が強いアラートをずっと発している。

そもそもなぜ彼女はJRのホームにいたのだ?乗り換えアプリに導かれてきたはずだ。

しかし時間はない。

彼女はダンジョンとして名高い名鉄名古屋駅にたどり着き目的の列車に乗れるだろうか?



本来は自分の責任として彼女を名鉄名古屋駅のホームまで連れて行くべきだった。だが僕は改札の向こう側を指差して急いで行って誰かに聞いてと投げた。

無責任であった。とても反省している。

そしてもうひとつの誤謬があった。

僕が急いで開いた乗り換えアプリには出なかったのだが、彼女のアプリではそのままJRの異なるホームの関西線に乗り名鉄に乗り換えて行けたのであろう。だが迷っているうちに時間をロストし実現不可能になってしまい、そのため僕のアプリには名鉄ルートが表示されたのだ。

その経緯も汲んで説明して、彼女の不安を解いて名鉄名古屋駅までエスコートすべきだったのだ。

本当に申し訳ない事をした。反省している。

そうなのだ。

主要駅ではAI自動音声による乗り換え案内機を置き、また時刻と位置表示と連動したAI自動音声による乗り換えアプリが必要だと感じました。

そして彼女の無事を祈るしかない。

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