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男気、男毛、SFは毛と絵だよ!

  まさかこんなことが、ということが世の中よくあります。幼少の頃、スターウォーズブームに便乗して出版された数々のSF映画ほんで、必ずと言っていいほど載っていた、巨大な人面石が空を飛んでいる強烈なインパクトの映画『未来惑星ザルドス』が、この度まさかの4Kリマスターで上映中。これは見ておこうと、学校帰りにシネマート心斎橋へ。

 

 冒頭から空を飛ぶ人面石、そしてそれを崇める赤フン軍団。『SFとは絵である』という言葉があるが、まさにそれ。赤フン、というか赤パンツたちは巨石の口から吐き出された大量の銃器で人間狩りを始める。いったいこれは何だ? 

 そんな中、赤フン軍団こと撲滅戦士の一人、ショーンコネリーが巨石の中に入ってとある場所へ。殺伐とした世界とは大違い、平和そうな男女が暮らすボルテックスという居住区だった。コネリーの目的は? ボルテックスとは? 数々の『?』が渦巻く展開である。コネリーは野蛮人であるがゆえに奴隷みたいな扱いを受けたり、種族の繁栄を拒み不老不死であるボルテックスの人たちに繁殖能力(勃起)テストを受けたり、散々な目に遭いながらも、この理想郷の謎を暴いていく……。いや、成り行き上そうなったかもしれない。指輪の水晶で土地を統べる存在からの指示を送受信するのは現代のスマホみたい。夢の理想郷であるが、死ねずにもがき、享楽的な生活を送るもの、すっかりやる気をなくした者たち等々、どこかに闇がある。ちょっと『ミッドサマー』のホルガ村を思わせる。そんな理想の世界なんかコネリーの生気と精気と性器と剛毛で破壊、解放するのだ! 生あるものはいつか死ぬという自然の摂理を取り戻す、ボルテックスの住民もそれを待っていたように見える。

 たぶんそんなお話だ。専門用語と『?』な展開が多発して、全容を把握しにくい。ひょっとしたら、これは新し過ぎたのか?『2001年宇宙の旅』の難解さと『猿の惑星』のワイルドさを掛け合わせたら奇っ怪な作品が生まれた、そんな感じである。

 もう、この作品のテーマとか思想とかは脇において、空を飛ぶ人面石のビジュアルを確立させただけでこの映画は成功しているのだ。SFは絵なのだ!

 シネマート心斎橋には脳ミソ君やマ・ドンソクさんも加わってザルドスを大いに盛り上げていたよ。顔は目パネルはもちろんはめるぞ!

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