Takuya Iwasaki

昭和大医学部出身。40代医師 総合内科専門医・呼吸器内科専門医。昭和大藤が丘病院、亀田…

Takuya Iwasaki

昭和大医学部出身。40代医師 総合内科専門医・呼吸器内科専門医。昭和大藤が丘病院、亀田総合病院、小田原市立病院等での臨床経験を経て、23年12月1日 相模原で上鶴間内科クリニックを開業。 資格:総合内科専門医・呼吸器内科専門医・医学博士

最近の記事

「日本の大規模調査で検証 mRNAワクチン追加接種は安全? 最新研究結果を解説」

 新型コロナウイルス感染症の流行以降、私たちの生活は大きく変化しました。ワクチン接種もその一つです。日本では、mRNAワクチンが広く接種されていますが、その安全性については様々な議論がなされています。特に、ブースター接種後の死亡リスクについては関心の高いテーマと言えるでしょう。この度、日本の研究チームが、mRNAワクチンブースター接種後の死亡リスクに関する研究結果を発表しました。  この研究は、日本の2つの自治体から得られた大規模なデータに基づいて行われました。18歳から6

    • 「運動習慣をつけよう。運動で健康を手に入れる方法」糖尿病ガイドラインより

      糖尿病管理のための運動療法:効果と実践方法  糖尿病は多くの人々に影響を与える慢性的な病気ですが、適切な管理方法を取ることで、生活の質を大きく向上させることができます。その中でも、運動療法は非常に効果的な方法の一つです。今回は、糖尿病管理における運動療法の効果と具体的な実践方法について詳しく解説します。  糖尿病ガイドラインから引用してますが運動に関してはあらゆる人にとって有用なものとなっています。 現時点での運動に関して必要な事が網羅的に書かれていて大変有用です。 運

      •  糖尿病管理のための10の食事法:最新の研究から学ぶ

         糖尿病は、世界中で急速に増加している病気であり、その管理には食事療法が重要な役割を果たします。最近の3つの研究論文を基に、糖尿病管理に効果的な10の食事アプローチについて詳しく見ていきましょう。 1. 低脂肪食 特徴と具体的な内容 低脂肪食は、脂肪の摂取量を制限し、主に炭水化物とタンパク質からカロリーを摂取する食事法です。通常、全カロリーの30%未満を脂肪から摂取することが推奨されます。 具体的な食事内容 朝食: 玄米ご飯、納豆、味噌汁(具にわかめと豆腐) 昼食

        • COVID-19ワクチンの効果と有効性

          はじめに  COVID-19パンデミックが始まって以来、多くの人々が感染し、健康に長期的な影響を受けています。ワクチン接種は感染予防に有効ですが、感染後の健康リスクや長期的な影響についても効果があるのでしょうか?今回は、3つの最新研究をもとに、COVID-19ワクチンの効果と有効性、そして有害事象について分かりやすく解説します。 COVID-19ワクチンの効果  最初の論文は、ドイツの研究者たちがCOVID-19感染者と非感染者を比較し、1年後の健康状態を調査したもので

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          「運動はどのようにして私たちの体を変えるのか?最新科学研究が解き明かす」

           運動が健康に良いというのはよく知られていますが、科学的にはどのようなメカニズムで健康が向上するのでしょうか?最近の研究では、耐久トレーニングが体の各組織に与える具体的な影響が詳しく分析されています。この研究では、ラットを用いて肝臓、心臓、肺などの組織で運動がどのように細胞レベルで変化を引き起こすかを広範囲に渡って調査しました。具体的には、研究チームが先端的な科学技術を活用して、これらの組織での化学的変化や細胞の働きを詳細に調べ上げました。  この研究により、運動が細胞のミ

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          メトホルミンの抗ウィルス活性:糖尿病以外での新たな可能性

           メトホルミンは長年にわたって2型糖尿病の治療に使用されてきましたが、最近の研究により、その利用可能性が大幅に広がりつつあることが示されています。特に注目されているのは、メトホルミンが持つ抗ウイルス活性です。これらの効果は、世界中で発生している様々な感染症に対する新たな治療法としての可能性を秘めています。  COVID-19パンデミック中、研究者たちはウイルスの蔓延を抑えるために様々な治療法を試しています。その中で、メトホルミンはその安全性プロファイルと広範な利用可能性から

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          “日本における貧血の実態:医療、生活の質、そして経済への影響”

          https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37849298/  貧血、これは多くの日本人が抱える問題でありながら、その影響はしばしば見過ごされがちです。最近の研究により、日本国内で約15.1%の成人が貧血に悩まされており、その多くが(約50%)適切な治療を受けていないことが明らかになりました。これが、ただの健康問題ではなく、医療経済にも大きな影響を与えているのです。  この研究は、50万人以上のデータを基にして貧血の有病率、治療状況、医療費、生活の質

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          ワクチンの感染予防以外の効果

          ワクチンの抗炎症効果と慢性疾患予防 ワクチン接種の利点: ワクチンは感染症の予防だけでなく、炎症の抑制にも効果があることが知られています。これにより、炎症が原因で起こる慢性疾患の発症リスクを減少させることが可能です。 心血管疾患への影響: 特にインフルエンザワクチンは、心血管疾患のリスクを減少させる効果があるとされています。感染を防ぐことで心臓への負担を軽減し、炎症反応を抑制することがこの効果に寄与しています。 https://academic.oup.com/eurhe

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          なぜ咳が止まらない?日本全国の研究が明かす慢性咳の真実

          https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38522360/ はじめに  慢性咳は多くの人々の生活の質を大きく損なう可能性があります。日本では、特にこの問題に対する認識が高まっており、最新の研究がその原因と治療法に光を当てています。今回は、日本全国の医療機関が参加した大規模な研究により明らかになった、慢性咳の主な原因と有効な治療法についてお伝えします。 慢性咳の一般的な原因  慢性咳は、8週間以上続く咳のことを指し、さまざまな健康問題の兆候となる

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          カロリー制限に役立つ薬の話

          カロリー制限について食べる量を減らす 薬でカロリーを減らす  体重管理や老化に対してカロリー制限が有効な可能性があるとされています。とは言っても、食べる量をコントロールするのは大変です。  私のダイエットの経験も踏まえて、自分が現在行っているカロリー制限の自費診療についても書いてます。

          有料
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          遺伝子で決まる?ダイエット成功の科学

           ダイエットと聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?炭水化物を控える?それとも高脂肪の食事?今日はある興味深い研究、「Personalized Nutrition Study (POINTS)」に基づいて、ダイエットと遺伝子の関係について考察してみましょう。  この研究では、参加者が高脂肪ダイエットと高炭水化物ダイエットを試し、その効果を遺伝的型と比較しました。意外なことに、遺伝的型によるダイエットの効果に差は見られませんでした。これは、ダイエットに関しては、遺伝的要素だけ

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          イメグリミン:未来の糖尿病治療とアンチエイジングの可能性

           糖尿病治療薬「イメグリミン」という言葉を聞いたことがありますか?これは2型糖尿病を治療するための新しいタイプの薬で、独特な作用機序が話題を集めています。今回はイメグリミンの様々な側面について、わかりやすくご紹介します。  イメグリミンは、膵臓でインスリン分泌を促進し、肝臓の糖新生を抑制するという、従来の糖尿病治療薬とは異なるアプローチを取ります。この特徴が、インスリン感受性を高め、高血糖を効果的に管理するのに寄与しています。  特筆すべきは、イメグリミンの持つAMPK活

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          老化を遅らせる革新的アプローチ:カロリー制限とカロリー制限模倣薬とミトコンドリア活性化の組み合わせ

          未来へのステップ:カロリー制限と抗老化戦略  私たちは常に健康で若々しい体を求めています。しかし、老化は避けられない現象であり、私たちの体と心に変化をもたらします。最近の科学的研究は、老化過程を遅らせる方法を見つけようとしています。その中心にあるのが、カロリー制限です。 カロリー制限が老化を遅らせる可能性  カロリー制限は、長寿に関連する最も注目されるトピックの一つです。多くの研究が、カロリー制限が動物モデルで寿命を延ばし、さまざまな老化マーカーを減少させることを示して

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          痛みに打ち勝つ:運動がもたらす驚きの効果とは?

          はじめに 皆さん、運動が健康に良いというのはよく知られていますが、最新の研究によると、運動が痛みを和らげる可能性もあることが示されています。特にがん患者さんにとって、この発見は希望の光となるかもしれません。 研究の概要 最近の「Cancer - 2024 - Swain」の研究は、がん患者と非がん患者を含む大規模なコホートを対象に、運動習慣と痛みの関係を調査しました。研究では、中等度から激しい身体活動(MVPA)と痛みの強度、および鎮痛薬の使用に焦点を当てました。 主な発

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          カロリー制限とNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド):加齢に伴う健康リスクを減少させる新たな可能性

           緒言 加齢に伴う健康問題への対策として、カロリー制限(CR:Caloric restriction)が有効であることが知られています。しかし、長期間の厳格なカロリー制限は実践が困難です。そこで注目されているのがカロリー制限模倣物質(CRMs:Caloric restriction mimetics agent)です。これらは、カロリー制限によって生じる生理的な効果を、食事量を減らすことなく模倣することを目指しています。 NMNとは? NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド

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          APOE遺伝子:私たちの脂質代謝と認知機能に及ぼす影響

           私たちの健康に深く関わる要素の一つに、遺伝子があります。その中でも、APOE遺伝子は特に重要な役割を果たしています。この遺伝子は、主にコレステロール代謝、認知機能、そしてアルツハイマー病やレビー小体型認知症との関連で知られています。  APOE遺伝子には、ε2、ε3、ε4の3つの主要なアレルが存在します。ε2は保護的な変異であり、低い総コレステロール(TC)と低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)、そして高い高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)と関連

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