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MVPを吹き飛ばすAI

「AIが普及した現代だからこそ、プロダクトによってはMVP(最小限の機能を持つ検証用の製品やサービス)を省略すべき」と、ある起業家からメッセージを受け取ったので、今回はこの言葉の背景を探っていきたい。

 まず、MVPを省略すべき理由の一つ目は、MVPに要していた時間で完全版を完成させることが可能になったから。以前は、最小限の機能を実装するのにも多大な時間と労力が必要だったけれども、それは遠い昔の話に。

 例えば、みかんのゆるキャラをデザインする場合、従来は複数のラフスケッチからデザイン方向性を検討し、フィードバックを基に最終デザインを作成していたものの、AIを活用することでラフスケッチを省略して直接最終デザインを提示できるように。

 次に、MVPを省略すべき理由の二つ目は、多くの人がMVPの定義に苦労してきたから。どの機能を最初に開発すべきか、何を検証すべきかといった様々な観点からアイデアを細分化することがMVPには不可欠。けれどもこのプロセスは簡単ではなく、方向性を誤ると時間と資源の無駄遣いにつながってしまう。

 例えば、ゆるキャラコンテストアプリのMVPを考えた際、ゆるキャラへの投票機能とランキングだけが必要最小限なのか、それとも他の機能も検討すべきかという点で迷ってしまう。けれどもAIを用いれば、全機能を含んだイメージを即座に提示できるため、そのような悩みは不要に。

 最後に、MVPを省略すべき理由の三つ目は、AIのデータ分析で顧客の意見を正確に把握できるようになったから。以前はMVPを通じて一つずつ機能を検証していたものの、AIを使って顧客の反応を分析することで、もし仮にプロダクトが複数の機能を備えていたとしても、各機能を効率的に検証できるようになった。

 例えば、ゆるキャラコンテストアプリに投票機能、シェア機能、推薦機能、改善提案機能などが初めから組み込まれていても、ユーザーの操作を分析することで、どの機能の改善が必要かをAIが容易に判断してくれるように。

 AIの進化は、MVPの活用に一石を投じている。作成に費やしていた時間が短縮され、最小限の定義に悩む必要がなくなり、複数機能が同時に実装されたとしても検証が難なく行えるように。

 もちろん、この考え方が全てのアイデアに応用できるかというともちろんそうではなく、MVPの必然性は全く変わっていない。けれどもAIによって検証スピードが格段に上がり、仮説さえ立てることができればアイデアをカタチにできる確率は上がっている。AIが挑戦のハードルを下げてくれたことから、今こそ積極的にアクションを起こしていこう。

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