日本人老婆vsイギリスギャル
ワーキングホリデー、無職生活真っ只中だ。
8月はケアンズに1ヶ月住み、9月に入ってからはゴールドコーストに移ってきた。こちらで家を探すのは簡単だ。日本みたいに不動産屋を通さずに、個人間のやり取りで全て完結する。僕がいつも使うのは「日豪プレス」。このホームページは仕事も探せるので、日豪プレスさえあればワーホリ生活はどうにかなる。
今回のゴールドコーストの家も写真と紹介文を見ただけで即決で決めた。下見も一切せずに、ゴールドコースト空港から直行で新しい家に入居したのだ。分かっていた事前情報はこれだけ。
・日本人のおばあちゃんがオーナー。一緒に住むことになる。
・家が散らかっている。
・もう一人ハウスメイトがいる。
・シティから少し離れている。
家に到着した時、イメージ通りに優しそうなおばあちゃんが僕を出迎えてくれた。名前はK子という。普通なら入居時にハウスルールやら家賃の説明やらをするのだがK子は違う。
「とりあえずカレー食べてください!!」
まともに挨拶もせずに僕は食卓に並べられたカレーを食べ始めた。家に到着してから10秒後の出来事である。
K子さんも、もう一人の同居人も良い人そうで、とりあえずは安心したのだが、
家はむっちゃ汚い。ほんまに汚い。
僕の勝手なイメージだが、おばあちゃんの家って大体片付いてるもんだろ?「家散らかってるんですよー」って言いつつも、実際はそこまで大したことないっていうのがオチじゃないか。日本人らしい謙遜じゃないか。
しかしK子は違う。75歳豪国にて一人暮らし、Facebookを使って出会いを求め恋愛はバリバリ現役生のK子は違う。
洗い物は基本的に次の日まで放置。湯船はなぜか絵の具の跡がついている。床掃除は汁物などを溢してしまった時だけ。
ここまで堂々と散らかっているとむしろ清々しい。
そんなレベルだ。まあ、僕もガサツなタイプなので散らかっているくらいが落ち着くから全く問題ない。
先日はブリスベンに旅行。
ブリスベンというのは、シドニー、メルボルンに次ぐオーストラリア第3都市で、ゴールドコーストから電車で1時間程度で行ける。ゴールドコーストからブリスベン、というのは日本で言うところの姫路から神戸の移動だと思ってもらえればイメージしやすいかと思う(姫路とゴールドコーストを比べるのはゴールドコーストに失礼な話だが)。
友達がブリスベンに住んでいるので、彼とブリスベンをむしゃぶり尽くした。彼の名前はここでは髭モジャとしておこうか。
ゴールドコーストへ戻る前夜、泊まっていたバックパッカーで出会ったアメリカ人のニックと髭モジャのペースに乗せられ、僕はクラブに来てしまった。
「コロナなんていつの時代の話っすか?」と言わんばかりに満員状態のそのナイトクラブは若者で賑わっていた。僕たちが到着した頃にはニックの友達10人くらいがすでに着いており、奥のテーブルを陣取っていた。
この時期に日本人はやはり珍しかったのか「よく来た!」と祝福される僕と髭モジャ。すると団体の中に混じっていたイギリス人のセクシーなギャルがこちらへやってきた。そして彼女は僕の方を見てこう言った。
「セクシーボーイ」
え?俺?日本人がモテるにしても僕ではなく髭モジャの方だろ?彼女は僕の太腿の上に座り、何をするかと思ったら指を舐めてきたのだ。しかも、普通に舐めるのではなく、ポールダンサーのように官能的な感じで、だ。
この前は入居して10秒でカレーライスだったが、今回は目が合って10秒でフィンガープレイである。オーストラリアはスピーディに物事が進んでいるのだ。
そんなイギリスガールからの誘惑のようなものが、クラブにいる間に2回ほどあった。髭モジャとニックは「二人で外に行けよ!」と僕の背中を押したが(実際に蹴られたような気もする)、僕はどうしても一歩踏み出せなかった。しかし、そこに全くの後悔はない。キスくらいで留めておくのが大人の遊びというものだ。強がってないよ?
現にクラブ帰りの我々の清々しい顔を見てくれたまえ。
酔いを冷ましながら、クラブからバックパッカーへと帰る道中、髭モジャがつぶやいた。
「あのイギリスの子、ちょっとオカマっぽかったな」
謎は、深まるばかり。
サポートしていただいたお金を使って何かしら体験し、ここに書きたいと思います。