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コーチングって何よ!?

こんにちは。カナダで現役数学教師をしている梅木卓也です。かなり久しぶりの投稿になるわけですが、それというのも色々とひと段落したからです。

まず修士号のプログラムをサイモンフレイザー大学でとっていたのですが、そのコースワークの部分が終わりました。これはつまり週に一回仕事終わりに大学に通うことがなくなったということです。週に一回といえども四時半から八時九時まで学校に行き、次の日も仕事することは今思うと結構しんどかったみたいです。

また今まで誰かの代わりにバンクーバー学区内のセカンダリースクールに派遣されていたのですが、今年から自分の教えたいコースを選べて、しかもこちらから申し出ない限り継続して働ける学校が決まりました。これからは人事部に「来年はこの学校で働いて」と言われることなく同じ学校で働き続けられることはかなり安堵です。

さてカナダに来てから早16年。9月の新学期を迎えて、教員生活も5年目に突入しました。今年からは学区内のメンターチームに参加して、新人の教員サポートに回っていきたいと思っています。

メンターチームとは教員経験5年以上の人がボランティアで各学校の新人教員のサポートをするグループのことです。1-2人の新人教員に対して1人のメンターが割り当てられ、教材や教え方などの物理的なサポートもそうですが、精神的サポートも担います。

今日はメンター育成の一環としてProD(研修日)にコーチングのワークショップを受けてきたのでそちらでの学びについて簡単に紹介したいと思います。今回はジョン・クラークさんというコーチングトレーナーの方からワークショップを受けました。

John M. Clarke (thinkingcollaborative.com)

いずれはコーチングの資格も取っていこうと思っているので、コーチングに接したばかりの僕の初々しい視点を残す意味でもnote記事として書き留めておきたいと思います。

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コーチングとは?

コーチングと一言で言っても様々な種類があるようです。今回縁があって受けることができたのはコグニティブ・コーチングと言われるもの。

まずこの種のコーチングがどういうものかということを話す前に、コーチングではないものについて話します。

メンターをやっていく上で、アドバイスをあげる(advisor)や相談に乗る(consultant)、味方になって寄り添っていく(counselor)など様々な役割を持っています。このような役割を大まかに分けると、内的なものと外的なものがあるようです。

advisorやconsultantは外的なもの。counselorやcoachは内的なもの。外的なものはその名の通り、外的な要因をもとにして相手をサポートしていく行為です。それは例えば、必要としている教材を紹介したり、相手のためになるであろう本を紹介したり、教え方や評価方法について説明指導したり、すべてメンターの方から提供される情報です。

逆にcounselorやcoachは内的なもの。相手の内にそもそもあるものを引き出していく役割をします。考え方としては現時点での相手の問題や悩みに対してより効果的な答えが既に相手自身の中にあるとみます。

コーチングに専門的知識は必要ない!?

既に存在している答えが、なんらかの理由で見えなくなっている。それを引き出すにはどうすればいいのか?

たった2時間ほどのコーチング研修でしたが、実際コーチングしているところも参加者がクライアント役になることで目の前で見ることができました。Paraphrasing(言い換え)を繰り返したり、Inquiry(質問)を繰り返すことで、相手のものの見方、そしてなぜそう見えるのかというところを深堀していきます。

はじめはぼんやりとしていた相手の悩みは、この言い換えと質問の繰り返しによってより明確になりました。より明確になる段階で、今現時点でクライアントがコントロールできる領域とコントロールできない領域もはっきりしてきました。

たった15分ほどのコーチングでしたが、参加者の方はとてもすっきりした様子で自分が今置かれた状況下で何ができるのか分かったと言っていました。

この一連の流れからもわかるようにコーチングはどうやら相手の中にあるものを相手の視点に立って、相手の中から引き出していくようです。ベースになるのは相手の考えをどれだけ理解して、クリアにしていくか。この洗練する過程がカギのようです。

なのでコーチングトレーナーのジョンさんは相手の悩んでいる分野についての専門的知識は必要ないと言われていました。これには大変驚きました。相手のことを理解しようとするのにその分野について知る必要はないというのです。

これはこれからも自分の中でより言語化していきたい内容ですが、今現時点で分かっていることは相手の内在する「考え方」を洗練する過程がコーチングなので、相手にアドバイスをあげたり(advisor)や相談に乗ったり(consultant)する過程に必要な専門的知識は必要ないということだと思います。

コーチングに”I”はない!?

ジョンさんがコーチングを参加者相手にされているときのもう一つの特徴としては、一切自分の意見を言わなかったということです。

つまり自分がどう思うかや、自分の経験ではなどといったアドバイスする場面が一切なかったのです。相手から引き出す行為がコーチングだと分かっていても、ついつい自分の意見を言ってしまいそうです。

もちろん言ってもいいのですが、その場合コーチングではなくadvisorやcounselorの役割を担っていることになります。ジョンさんは一体自分がどんな役割を担おうとしているのかはっきりと自覚することはとても大事だと言われていました。

そしてcoachが自分の意見を導入した瞬間、今まで相手の中でより洗練されていた考え方が、内に向かってより明確になっていた考え方が、急に対面するcoachに向かってしまうとも言われていました。

コーチングの最終目標は、自分で答えを見つけ出せる主体性であったり自主性のようで、基本的に考える軸が自分自身に向くようにガイドするようです。ですのでできるだけその軸が、coach自身に向いてしまってより依存する関係性を作ってしまうことは避けるようです。

まとめ

自己に内在する答えを引き出してあげる過程や最終的に誰に頼ることなく答えを見つけ出していけるようにサポートするコーチングは自分の中でとてもしっくりきました。というのも今実践している教授法の「答えのない教室」の根幹とも極めて相似性が高く、自身の教育哲学としても生徒の主体性をより高めていきたい、そしてそうすることで自身の人生をより自由に切り開けるようになってほしいと思っていたからです。

これからもメンターとして活動しながら、また数学教師として生徒と接していく中コーチングで習ったことも生かしながら、より生徒自身が自分で問題解決できるような教育を提供していけたらと思います。最後まで読んでいただいてありがとうございます。ぜひ感想やコメント書き込んでいただけると嬉しいです。


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