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美味で妙味な読書

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読書って、本当に、いいものですね。僕が味わった、妙味な本の美味しさを書き溜めています。140字で、付箋を貼った箇所を紹介したり、その本の思い出を語ります。たまに長文で深掘りしたも… もっと読む
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記事一覧

「ファンタジーというのは生やさしいものではない。それは逃避どころか、現実への挑戦を意味することさえある」・冒頭から持ってかれます。13作のファンタジーをそれぞれ「たましいの現れ」として深く読み解いていく。「たましい」と密に対話し続けてきた筆者だからこそ汲み取れる心の世界。絶品です

たくまる
2か月前
125

あっ「ジェノサイド」の人だ。100円?買いでしょ。一気読み。自殺した4人の主人公一行は、あの世の狭間で神様に「幽霊として自殺志願者100人を救出すれば天国に行かせてやる」と。緻密に取材された自殺の原因がリアルに踏まえられているし、幽霊ヤクザの活躍が笑えるし泣けるし自分も救われる。

たくまる
2か月前
76

恐ろしく巧い。「死への憧れ」という底抜けの闇みたいなテーマを偶然再会した中学の同級生同士の恋愛に絡めて語る。生命力溢れるリア充との対比が極端すぎて笑いを誘うほどのコメディ要素もあり、切れ味と重厚さ含むサスペンスあり、純文学並みの文章の美しさもあり。全部が鮮やかにまとまっててお見事

たくまる
3か月前
111

西尾維新、今まで本の表紙から食わず嫌いしてました。こんな天才がいたんだあ。相互フォローのnoterさんより紹介されて古本で手に入れた本書はまた妙味な読書体験をくれた。すいすい読み進められるドライブ感と、急にぶつけてくる重厚な言い回し。自由な文体の中でのびのび遊ばされる感覚。すげえ

たくまる
3か月前
90

あの開高健がSF!?と思って買ったけど全然違った。むしろ最高。大蔵官僚が予算を使い切るために全国の美味いものを食べ尽くすグルメ紀行小説でした。地方に隠れる生産者の美味への狂気的な追求を圧倒的な描写力でお届け。全体が巨大な風刺にもなっていてラストのタイトル回収がまた絶品。職人芸だ。

たくまる
3か月前
111

空海の言葉を関西弁で訳してみたら、こんなに楽しく心に残りやすい④

ご好評いただき、4つめの記事となりました。 お読みくださってありがとうございます。 空海…

たくまる
4か月前
175

元旦の鉄板はブックオフ。全品20%オフは至高。開店15分前に到着も同志達が列を作っていた。そう、年末に大量の本が買い取られた為この日は1年で最も充実した品揃えが期待できるのだ。見逃す手はない。文庫新書を吟味して今日のところは引き上げる。収穫はこちら。節約というより多読を望むのだ

「読まんでもええので買っておいてください。物凄くいい本です」と大学時、先生に勧められて買ったものの文章が重すぎたし内容が実感できなかったので、断念して長らく本棚に眠っていたのを今読み返してみると物凄い。自分の不機嫌の理由が明治文学を通してありありとわかる。漱石と繋がった気がした。

たくまる
5か月前
90

六人の男が同じ日に同じ夢を見た。12歳から62歳まで10個ずつ歳を隔てた六人が主人公。他は〇〇の父という風に間柄で書かれていて、全員の家族の目を通して日本の現代史を世代毎にリアルに体感できる。すげえ。戦前、戦後、学生運動、高度成長、バブル、オウム、震災。巨大な何かが見えた気がする

たくまる
5か月前
80

仏様と自分はすでにとっくに一緒なんだ。即身成仏。難解な空海の思想をあまり気張らずに深く味わいながらおさらいするのに重宝してる本です。「私が密教に魅かれるのは世界の差異というものに好意的だからである」著者のこの言葉に超共感。「密教は精神の一元論で世界を塗り潰すことをしない」現世最高

たくまる
5か月前
74

「お菓子の家」は母の過保護が生みうる危うさの表現だった!有名な昔話をユング心理学の視点から精妙に検討して、人間が本能的に欲求する物語の原型を露わにする。鶴の恩返しの「見てはならない部屋」が頻出するのはなぜか?現代日本の父性弱体の原因は「王様」を深く見ればわかってくる。すげえ本です

たくまる
5か月前
78

自分を奮い立たせるもの『読書案内』

折に触れて、 繰り返し振り返る、大学時代のレジュメ。 「日本政治史」「日本の政治」の授業…

たくまる
1年前
160

空海が関西弁で語ってくれたらこんな感じと思って超訳しました③

難しい空海の言葉でも 関西弁に訳してみたら すっと入ってくる。 ありがたいことに 前回、前…

たくまる
6か月前
163

空海の言葉を関西弁で超訳するのでご一緒にどうぞ。②

空海の言葉を本で読むと 内側に響くお大師様の声は 僕には関西弁で聞こえてくるのです。 この記事では、 そんな「内なるお大師様」を そのままの言葉で表してみました。 前回の記事でも 僕が空海の言葉を腹に落とす過程を ご紹介しました。 有難いことに、お楽しみ頂けた方も 多くいらっしゃったようなので、 まだまだある空海のお言葉、 引き続きご紹介していきます。 恐れ多くも、素人による超訳ですので 正確な訳語ではない可能性をご承知おきください。 ただ、僕にとっての純な表し方で