BリーグQFアルバルク-琉球第3戦。全てを出し切った。
残り0秒、左ウィング、メインデルの右手から放たれた3Pの放物線は試合終了のブザーの音と共にリングから弾かれました。
今シーズンが、終わってしまった。
激しい死闘でした。最後まで諦めなかった。
そのハートは確かにフロアに残されました。
アルバルク東京対琉球ゴールデンキングスのCSクォーターファイナル第3試合は57-58の1点差でアルバルクは敗退しました。
試合終了後場内を1周する選手たちの表情には悔しさが滲み出ていました。
小酒部はやや上を向いてその眼には涙を浮かべていました。ロシターは歩きながらユニホームで顔を覆い、1番最後に歩いて来たメインデルは泣きながら顔をしわくちゃにしてコートを去って行きました。
お疲れ様でした。頑張ってくれてありがとう。
今シーズン最後のシーンに立ち会って感謝の気持ちで拍手を送っていました。今シーズン最後のアルバルクゲームのレビューです。選手、スタッフに感じた事を綴ります。(長くなっていますが最後なのでご容赦ください。)
戦略の潰し合い、超ロースコアゲーム。
ダブルオーバータイムを含めた2試合の消耗戦を戦って1日空けた3試合目です。お互いに疲労は溜まっていたはずです。
試合後のコメントで琉球の桶谷HCは勝因についてこう語ります。「オフェンスはお互いフィジカルな試合で、お互いやることがわかっていて消し合いになりました。それでも最後まで気持ちを切らさずにリバウンドを頑張ったところが勝利に繋がったと感じています。」
リバウンドは前の2試合はアルバルクが多く取っています。ゲーム①はアルバルク55本、琉球44本。ゲーム②はアルバルク36本、琉球28本です。
ゲーム③では逆に琉球がOR14本、DR26本、TR40本でアルバルクのOR9本、DR22本、TR31本を上回りました。OR%は琉球36.9%、アルバルク25.7%でした。リバウンドで多くのポゼッションを奪われたのは確かでした。
しかし、アルバルクはロシター、グダイティスがORを奪われても粘りを見せて何度もセカンドチャンスを阻止している印象が残ります。双方のセカンドチャンスポイント(SCP)は9点ずつで差はありませんでした。
では、ゲーム③になって「お互いにやることがわかっていて消し合いになった部分」とは何だったのでしょう。
まずは琉球のやりたかった事。
①ダーラムの1on1とインサイドアウト。
ダーラムのフィジカルの強さ、パワーでロシターを相手にポストアタックやウィングからのドライブをこのシリーズは仕掛け続けていました。さらにゲーム①のOT2の岸本の決勝3Pを演出したのも、ダーラムからのトップのシューターへのキックアウトでした。
そこでこの試合、ダーラムのポストアタックで得点されたシーンはありますが、ファウルしてでも簡単にはやらせていませんでした。また、インサイドキックアウトからの3Pはほとんど無かったように記憶しています。最小限だったはずです。
②クーリーへのペイントフィード
ゲーム①、ゲーム②ではクーリーがペイント中央に構えていたらハイローを狙われてロブを入れられて得点に結びつくことがありました。しかし、ゲーム③ではクーリーに背後を取られないように守ることで防いでいました。
③岸本の3P
岸本にはシリーズ通して小酒部がマッチアップしていました。しかし、この試合は小酒部が第1Qで2つのファウルを犯してしまったことでテーブス、橋本が付く時間帯が多くありました。第2Qには岸本のステップバックでテーブスがアンクルブレイクされて3Pを許しました。(第2Q残り5分59秒 15-21)
続けてカークのダウンスクリーンで橋本を止めて右ウィングに上がった岸本が連続3P。(第2Q残り5分17秒15-24)
わかっていても決められました。しかし、ゲームを通して岸本に決められたのはこの2本だけです。(2/9本)
アルバルクのやりたかった事も上手くいかないことがありました。
①グダイティスのポストアタック
ゲーム②グダイティスがローポストでカークとマッチアップするとバックダウンからフックシュートで得点していました。ここからの打開はゲーム②では有効でした。ゲーム③ではグダイティスで来るとわかられていましたがヘルプには来ていませんでした。琉球はヘルプでクローズアウトをしてフリーを作ったところに出されて3Pを打たれる事よりもカークの個の力の攻防を選択して、結果互角にやりあっていました。
②左サイドからのPnR
左サイドからのPnRやスペインPnRはアルバルクがレギュラーシーズンから多く使っていましたが、ゲーム①ではメインデルが左サイドからのPnRでドライブして直接得点したり、ダイブしたグダイティスに合わせるなどの戦術で得点をしていましたが、ゲーム③では左からの崩しでの得点シーンは見られなくなりなりました。
③安藤の3Pセット
このシリーズ安藤のシューターセットは不発に終わりました。フロッピー、エレベータスクリーンもほとんど使われていません。安藤の存在は今村、松脇に消されてしまいました。(安藤の3P 0/4本)
消耗戦のゲーム展開。すべてを出しきった。
そうなると自然とロースコアゲームとなります。
こうなると1点の重みが違います。
琉球は第1Qからゲームの主導権を握ります。ロー、ダーラム、カークのビッグオンスリーがいることでローとダーラムでPnRしました。(第1Q残り3分50秒 9-8) また、カーク、クーリーのツインタワーとローがいることでタイムアウト後のアルバルクのオフェンス時にビッグラインアップの2-3ゾーンを組んでアルバルクの機先を制するなどしてこの試合の先手は常に琉球が握っていました。
第2Qから第3Qアルバルクはリードを許しながらフィールドゴールは不調ながらも、テーブスとロシターの連続PnRからロシターのフローターで得点します。
また、ファウルをもらってフリースローで繋いで2ポゼッションの点差を維持します。琉球にしても後ろから粘り強く追従されるのは嫌なものです。
45-48と3点差で始まった第4Qはなかなか点数が入らず互いに我慢の展開でした。アルバルクは3日間の疲れからテーブスやメインデルのプルアップジャンパーがショートする場面が目につきます。
流れをつかみたいところでミスが出てターンオーバーを犯してしまうなどなかなか4点の差が詰まりません。
ところが、この日の小酒部はディフェンダーとしてだけでなくオフェンスクリエーターとして輝いていました。その総決算がこのプレー。
残り1分22秒からでした。
右サイド、テーブスとメインデルのドリブルハンドオフ→メインデルとグダイティスとのゴーストスクリーン。ダメ。
次、メインデル→ロシター。左サイド小酒部とロシターがハンドオフ。
小酒部→右グダイティスに展開。右下からメインデルが上がってグダイティスとハンドオフ。これも打てない。
トップの小酒部に返す。
トップで小酒部と岸本が1ON1。クロックが少ない、4秒。
小酒部、強気の3Pシュート。
バスケットカウントです。
凄いショットでした。56-57(残り1分4秒)
FT 1本 決まって 57-57 同点。 この勢いで勝てると思っていました。
琉球のポゼッション。残り29秒でダーラムのアイソレーションドライブ。
テーブスのファウルとなってダーラムのFTは1本メイク。57-58
残り22秒
アルバルクのオフェンスはテーブスとロシターの右からPnR ロシターに渡ったボールをテーブスに返して2回目、左からPnR。ポケットパス→ロシターへ 左ペイント後方からフローター。
こぼれた。 ローがDR。 メインデルファウルで時間を止める。
残り4.9秒
ローのFTは1本目失敗。 2本目も落としてメインデルがDR。速攻。
諦めない。
最後の3Pは実りませんでしたがアルバルクメンズは全てを出し切りました。
素晴らしかったです。
ありがとう。23-24シーズン。
#0 竜馬 ベテランガードとしてチームに気持ちの注入と落ち着いたプレーで貢献してくれました。茨城戦スリー6本の大爆発は忘れられません。
#1 飛竜 なかなかプレータイムに恵まれない中、オフコート、ベンチでムードメーカーを務めてくれました。それでも腐らないガッツが大好きです。
#3 海くん アルバルクのメインガードとして1シーズン。チームを勝ちに導くPGとして成長しました。代表パリでの活躍を期待しています。
#8 吉井 代表選手のプライドと出場機会の挟間で苦悩したシーズンだったかもしれません。3Pシュートが上手くなっています。努力はいつも見ていました。
#9 周人 アドHCの戦術には不可欠な選手です。3Pシューターという稀有な才能と努力でアルバルクだけでなく代表復帰も目指してほしい。
#10 ザック 要所で必ず渋い良い働きをするキャプテン。モメンタルチェンジャーという言葉がぴったりくるチームの要です。1シーズンありがとう。
#11 セバス アルバルカーズにはファンサの神です。CSではコンディション辛そうでした。それでもひたむきにチームに貢献する姿に感動を覚えました。
#21 玄 すごいビッグマンたちに挟まれてプレータイムが少ない中結果を出すことは容易なことではないと思います。宇都宮戦、素晴らしかった。
#22ライアン QFでは47分、37分、最後も37分。出ずっぱりで強い気持ちでチームを引っ張りました。あのフローターはほかの誰かでは打てなかったショットです。
#23 レオ様 ビッグマンオン3に対してピースが足りなかったアルバルクに来てくれた救世主。パワー、華麗な技術、ルックスすべてを兼ね備えていました。
#25 晃平 晃平の出場時間にはいつもザックから特別なパスが飛んでくることを見逃していません。その関係性に熱い思いを感じています。
#75 オサ QFでのパフォーマンスはオフェンスで一段階の成長を感じます。どこから飛んでくるのかわからない跳躍力と柔らかいシュートタッチでエース呼ばれる存在になって欲しい。
#77 グダ パワー系ビッグマンを苦手としていたアルバルクに現れたベビーフェイスのビッグガイ。そのプレーの大胆さと少しの不器用さがたまりません。
アドHC 戦術の四次元ポケットを持つ指揮官。あれだけ毎回違う引き出しを見せられたらファンも信頼します。おかげで随分バスケを知りました。
森TAC、ウーヴィスAC HC一人ではあの戦術四次元ポケットの中身は作れないし選手への落とし込みもできないと思うのです。1シーズンありがとうございます。
田中AC、山口AC ウォームアップの時や試合後にいつもお二人が飛竜、吉井、玄ちゃんの練習に付き合っています。タイムが少ない選手の結果が出るとアルバルカーズもうれしいのです。
岩部AC、池端AC、平良AC 週3試合のスカウティングってどれだけ大変なのでしょうか?スカウティングが戦略の要です。1シーズン疲れ様でした。
荒尾SPD、古谷SCC、五十嵐MT、佐藤AT 今シーズン大きな怪我人がありませんでした。皆様のおかげです。選手のコンディションの維持がどれだけ大切かは昨シーズン学びました。いつもありがとうございます。
ココさん、武さん チームのSNS見ました。夜遅くまでのマネージャー業務とても大変なのですね。これからもよい環境を整えてください。
大司GM いつも会場でお見掛けしています。ファンサも有難うございます。ストーブリーグが大司さんのお力を発揮する場所ですね。素晴らしい編成お願いします。
JUBIさん、アルバルクチアリーダー アルバルクチアのダンスは別格です。皆さんのお出迎え、お見送りもバスケ観戦の楽しみの一つです。今年のチームも最高でした
全てのアルバルカーズの皆さんへ
シーズンお疲れさまでした。
今年のバスケはオフシーズンもいろいろありそうですから10月まで飽きないと思います。また、つたないブログお読みいただきありがとうございます。
また、来シーズン!
photos by kii
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