たこやまたこた
メモに残した夢を集めてみました。
遊び半分に写真俳句のコンテストに応募したところ、最優秀賞をいただてしまった。 調子に乗ってその後、 写真俳句 を書き溜め、「写句鳥虫」(しゃくとりむし) と題して一冊にまとめてみた。 その中の作品を中心に、少しずつアップして行こうと思う。
採用にならなかったり、世に出す機会がなかったり、まだ発展途上だったりして、未発表のまま埋もれている作品たち…
紙切れにいたずら書きした4コマ漫画もどきを拾い集めてみました。
自作の下手くそ8コマ漫画です。
今更ですが、「たこやまたこた」というハンドルネームのもとになった「たこやま たこたくん」という作品を転載します。絵本の仕事を始めて間もないころ、月刊絵本として世…
滅多に通らない裏道だったが、意識して通るようになった。 あるお屋敷のせいだ。 メインストリートの商店街は、駅に近づくにつれてわさわさしてくるので、人混みを避けた…
僕は四角い。 何もかも四角い。 顔も胴も腕も手も指も脚も足も足の指も四角い。 あちこちに角があるからあちこちに引っかかる。 痛い。 傷が絶えない。 あちこちに角があ…
宅急便を出しに、きねやに来た。 元は酒屋だったらしいが、今は様々な食品や日用品も売っている。 万屋とコンビニの中間みたいな店だ。 きねやの坊やが先客の対応をしてい…
メーターボックスの中に、卵があったという。 駐輪場の自転車籠の中にも、あったという。 マンションのあちこちで、卵が見つかったのだ。 鶉の卵よりはちょっと大きく、鶏…
信心深い方ではないのだが、時には神頼みもしたくなる。 にっちもさちも行かなくなって、藁にも縋る思いで神頼みする。 思いつく限りのことをやってはみたけれども、糸口が…
近頃は、世の中の動きに付いていけないことがよくある。 気が付くといつの間にか、世の中のルールが変わっていたりもする。 最近も、こんなことがあった。 体調が悪い。 …
緑と黄色の幾何学模様の靴下だった。 気に入って、ちょくちょく履いていたのに、どうして今まで気が付かなかったのだろう。 ある時、突然気が付いた。 靴下の左右それぞれ…
「ヘビイチゴ、見ませんでした?」 道で突然、女性に声を掛けられた。 髪の長い、白くてスリムな女性だ。 不健康とまではいかないが、低血圧っぽい青白い顔をしている。 …
夕飯はピザで済ませることにした。 ベジタリアンなので、食事は生野菜や温野菜が中心で、大した手間はかけないのだが、材料が揃っていないことは間々ある。 きょうも、そう…
三ケ日用水では鯉が増殖していた。 誰かが放したのか、さもなければどこかから逃げ出したに違いない。 放流したという話はしかし、聞いたことが無い。 浅くて食べる餌も無…
「ナマコ好き? あたし、大好き」 Sさんは、低体温っぽいクールな美人だ。 彼女と初めて居酒屋に行った折、真っ先にオーダーしたのはナマコだった。 ナマコの酢の物が届…
美谷康煕氏に会いに行く。 耳繰町に足を運ぶのは、初めてだ。 道に迷って、出っ歯のおじさんに道を訊く。 明らかに関西人ではなさそうなのに、関西弁もどきの変なイントネ…
「ラブペットランドはどちらですか?」 永野芽郁さんを少しクールにしたような雰囲気の女性だ。 僕は妖怪めいた容貌で、おまけに挙動不審なので、人に道を訊かれたりする…
今年もこの季節がやって来た。 地蔵親子のお引越しだ。 ひと組の親子を見つけて、町内は気もそぞろだ。 石月山のお地蔵様が、どこかで石の卵を産み落とす。 それが孵るの…
家族の真相は、外からはわからない。 一見幸せそのものに見える一家が、ある日突然崩壊するという事例に、最近立て続けに遭遇して、改めてそう思った。 幸せそのものに見…
2020年7月29日 10:18
今更ですが、「たこやまたこた」というハンドルネームのもとになった「たこやま たこたくん」という作品を転載します。絵本の仕事を始めて間もないころ、月刊絵本として世に出ました。雑誌扱いなので1回限りの発行となります。自分でも最も好きな作品の一つなので、できれば市販本にしてもらえないものかと願ってやまないのですが、いまだ実現していません…1999年フレーベル館発行ころころえほん9月号
2024年6月1日 07:45
滅多に通らない裏道だったが、意識して通るようになった。あるお屋敷のせいだ。メインストリートの商店街は、駅に近づくにつれてわさわさしてくるので、人混みを避けたい時は裏道を通る。裏道を行くと、駅まで目と鼻の先の、線路際に程近い所に、そのお屋敷はあった。大邸宅ではないが、すぐ近くの住之江神社に負けないくらい古びている。塀沿いの細い道を通ると、広い庭を隔てて庭木越しに、縁側のある部屋が見える
2024年5月30日 08:03
僕は四角い。何もかも四角い。顔も胴も腕も手も指も脚も足も足の指も四角い。あちこちに角があるからあちこちに引っかかる。痛い。傷が絶えない。あちこちに角があるからあちこちを傷つける。そんなつもりは全く無いのに。頑張って生きてぶつかったり打たれたりしていればそのうち角が取れて丸くなると人は言う。そうだろうか。きっとそうなのだろう。でも取れない角もあるかもしれないしどこ
2024年5月28日 08:34
宅急便を出しに、きねやに来た。元は酒屋だったらしいが、今は様々な食品や日用品も売っている。万屋とコンビニの中間みたいな店だ。きねやの坊やが先客の対応をしている。坊やとはいっても、もういい歳だが、先代が亡くなる前からのお客さんは皆、そう呼び慣らしていた。先客は、ほぼ90度に腰の曲がったおばあさんだ。見かけは、絵に描いたような婆さんだが、声も口調も若者以上に若々しい。買い物ついでに、
2024年5月26日 08:03
メーターボックスの中に、卵があったという。駐輪場の自転車籠の中にも、あったという。マンションのあちこちで、卵が見つかったのだ。鶉の卵よりはちょっと大きく、鶏の卵よりはずっと小さい。最初は鳩の卵ではと思われた。ベランダや手すりや屋根に、よく鳩が止まっていたり、あちこちに糞があったりした。時にはメーターボックスに侵入したりもしていたからだ。見つかった卵はしかし、鳩のものではなさそうだ
2024年5月24日 07:56
信心深い方ではないのだが、時には神頼みもしたくなる。にっちもさちも行かなくなって、藁にも縋る思いで神頼みする。思いつく限りのことをやってはみたけれども、糸口が見えなくて、天命を待ちながら神頼みする。今はそのどちらなのか、よくわからないのだが、とにかくまさにその真っ只中なのだ。池の壺神社は、地元の小さな神社だ。霊験あらたかなパワースポットで、全国から参拝客が押し寄せる…なんてことは全くな
2024年5月21日 07:43
近頃は、世の中の動きに付いていけないことがよくある。気が付くといつの間にか、世の中のルールが変わっていたりもする。最近も、こんなことがあった。体調が悪い。不順な気候のせいだろうか。吐き気や倦怠感があるなと思っていたら、なんだか息苦しくなってきた。呼吸がうまくいかない。気管支に異常があったり、咳や痰が出たり、喉や肺が痛かったりするわけではないのだが、呼吸が苦しいのだ。熱は無いようだ
2024年5月19日 07:58
緑と黄色の幾何学模様の靴下だった。気に入って、ちょくちょく履いていたのに、どうして今まで気が付かなかったのだろう。ある時、突然気が付いた。靴下の左右それぞれに、アルファベットのLとRが小さく縫い付けてあったのだ。つまりこの靴下には、右左があったのだ。左寄りにLの付いた方が左足用、右寄りにRの付いた方が右足用らしい。ただ、長い間愛用していながら、違和感を感じたことは一度もなかったので
2024年5月17日 07:57
「ヘビイチゴ、見ませんでした?」道で突然、女性に声を掛けられた。髪の長い、白くてスリムな女性だ。不健康とまではいかないが、低血圧っぽい青白い顔をしている。なんとなく怖いので、逃げもせず、余計なことも言わず、誠実に対応することにする。「今年はまだ、見ていません。この辺では、結構よく見かけるんですけどね」「では、見つけたら知らせてください」「はい、承知しました」とは言ったも
2024年5月15日 08:08
夕飯はピザで済ませることにした。ベジタリアンなので、食事は生野菜や温野菜が中心で、大した手間はかけないのだが、材料が揃っていないことは間々ある。きょうも、そうだった。帰りがけに、ドレミピザに寄る。通常は肉を使ってないメニューを選ぶのだが、面倒臭い場合は適当に選んで、食べる時に肉を取り除く。今回は、マルゲリータにサブメニューでサラダを頼もうかと思ったのだが、店長風のお兄さんがおススメがあ
2024年5月13日 07:27
三ケ日用水では鯉が増殖していた。誰かが放したのか、さもなければどこかから逃げ出したに違いない。放流したという話はしかし、聞いたことが無い。浅くて食べる餌も無さそうな用水路なのに、鯉は増える一方だった。…と思っていたのだが、鯉の群れの中に異物が混じっていることもあった。亀だ。よそ者という感じではなく、異形なれど仲間なりという風情で、ごくごく自然に鯉の群れに馴染んでいる。そんな事実に気
2024年5月11日 07:50
「ナマコ好き?あたし、大好き」Sさんは、低体温っぽいクールな美人だ。彼女と初めて居酒屋に行った折、真っ先にオーダーしたのはナマコだった。ナマコの酢の物が届くなり、ぱくぱく口に放り込む。少し酒が回ると、「あたし、口が大きいの。ほら」いきなり握りこぶしを、がばっと口に入れてみせた。大きな口に恵まれたお陰だろうか、彼女は食べるのが早かった。それも、いかにも大食らいう感じでは
2024年5月8日 07:59
美谷康煕氏に会いに行く。耳繰町に足を運ぶのは、初めてだ。道に迷って、出っ歯のおじさんに道を訊く。明らかに関西人ではなさそうなのに、関西弁もどきの変なイントネーションで、懇切丁寧に教えてくれた。「よくわかりました。ご丁寧にありがとうございます。助かりました」「ほんまでっか?そらよかった」話すうちに、はっと気が付いた。この人は、明石家さんまさんの真似をしているつもりなのだ。
2024年5月6日 08:07
「ラブペットランドはどちらですか?」永野芽郁さんを少しクールにしたような雰囲気の女性だ。僕は妖怪めいた容貌で、おまけに挙動不審なので、人に道を訊かれたりすることは滅多に無い。そんな僕に声を掛けるなんて、よほど勇敢か、よほど変人なのに違いない。「ラブペットランド?店名に自信は無いのですが、できたばかりのペットショップですよね?すぐそこのショッピングモールにあった気がしますけど…」
2024年5月4日 07:57
今年もこの季節がやって来た。地蔵親子のお引越しだ。ひと組の親子を見つけて、町内は気もそぞろだ。石月山のお地蔵様が、どこかで石の卵を産み落とす。それが孵るのが、今頃なのだ。親地蔵が、よちよち歩きの子地蔵を連れて歩く行列が、この季節の風物詩となっていた。今回は、幸福公園のブッシュで孵ったものと思われる。子地蔵は8体を数えることができた。親地蔵の後に付いて、覚束ない足取りで、保育園の
2024年5月2日 08:04
家族の真相は、外からはわからない。一見幸せそのものに見える一家が、ある日突然崩壊するという事例に、最近立て続けに遭遇して、改めてそう思った。幸せそのものに見える一家が実は壊れていることもあれば、その逆もまた珍しくはない。どう見てもぶっ壊れているとしか思えないのに、実はそれなりにうまく行っていたりもするのだ。隣室の南部谷さんは、4人家族と聞いている。ところが、四十代と思しき奥さんのほか