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「人の名前が覚えられない人」へ

突然だが、僕は人の名前を覚えるのが苦手だ。
頻繁に連絡を取ったり、よく会う友人や仕事仲間は当然覚えているのだが、ほとんど連絡を取らず数年会わない人はすぐに忘れてしまう。
高校のクラスメイトや大学のサークル仲間など、ある程度密に過ごしてたような人も数年経てば忘れてしまう。

社会人になって間もない頃、この人の名前を覚えられないことがコンプレックスになり、人間関係に悩んだこともある。
初めて会った人を覚えていようと努力してみても、会ったその日一日はなんとか覚えていられるものの、一晩寝て朝起きるともう思い出せなくなっている。

そして、散々悩んで、30歳を過ぎても克服できなかった僕は、開き直ってしまい、「人の名前を覚えられない」キャラとして生きることにした。

開き直ると、僕の心はスッと晴れた。
そして、良いことも多いことに気付けた。

まず、付き合える人を選ぶ基準に出来ること。
「人の名前を覚えられないなんて、社会人としてダメだ」なんて考える人からはあまりよく思われていないが、そもそも「名前を覚えられていない」くらいのことで嫌味を言ったりする人はもともと僕自身仲良くなりたいような人間ではない。
2回目会った時に、「すいません、僕、名前覚えるの苦手で…」と言って、嫌な顔せずもう一度名乗ってくれる人は基本的に器が大きい。そういう人は付き合っていても気を使わずに気持ちのいい付き合い方が出来る。

そして、無駄に知り合いを増やさなくて良くなること
友人や知り合いはいるに越したことはないが、多すぎる人間関係はストレスやトラブルの原因になる。人間関係は厳選した方が良い。
覚えられる名前のキャパシティが少ない僕は、友人や知り合いを頭の中で自動的に淘汰出来る。忘れてしまうような疎遠な人とは付き合いを切れば良いのだから(というより、忘れてしまっているので、僕から連絡は取らないようになる)。

実は後輩から「僕、人の名前を覚えられないんです」と悩みを打ち明けられて、このような話をしたのだ。僕も人の名前を覚えるのが苦手だから、彼の気持ちはよくわかる。
英語が苦手、数学が苦手、と同じように、人の名前を覚えるのが苦手、というのも個々人の得意不得意のひとつに過ぎないよ、と僕は彼に伝えた(皮肉まじりに「英語ぐらい話せないの?」とか言ってくるやつ、嫌いでしょ?とも言った)。

彼や僕のように、社会に出ると「人の名前を覚えるのは大人としてのマナーだ」という慣習で、苦しめられる人は少なくないと思う。
そんな中で、僕は「出来ないもんは仕方ないじゃん」と開き直ることを選んだ。
同じ悩みを持っている人に言いたいことは、出来ないことに悩み続けて、自分が出来るパフォーマンスを落とすくらいなら、そんなものは無視してしまえばいい。自分の大切な人に「人の名前を覚えるのが苦手だ」と打ち上げればそれで十分だ、ということだ。

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