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〜今月の映画(2023年6月〜 LOOK

読書以外の僕の趣味の記事です。日曜更新。
毎月オススメの○○をご紹介していきます。

第1日曜 映画
第3日曜 ウイスキー

全編監視カメラからの映像で描かれる本作。当然、実際の監視カメラ映像ではなく、台本もちゃんとある群像劇であり、モキュメンタリーという形式をとっている作品である。

映画の冒頭に「平均的アメリカ人が監視カメラに録画される回数は1日200回」というテロップが流れるほか、DVDのジャケットには「アメリカ人は安全のためにプライバシーを捨てた」と記されているところからわかるように、本作は街中にある監視カメラの是非を問う社会的なメッセージが込められた作品である。

本作が公開されたのは2007年。9.11以降、アメリカでは3000万台のカメラが設置され、毎週40億時間の映像が録画されていたそうだ(現在はさらに増えている?)。
当時のアメリカ人の約71%が監視カメラの設置に賛成していたそうだが、果たして、本当に監視カメラは人々の安全を守るのに意味を成しているのか?

本作は、"監視カメラの無力さ"をこれでもかと見せつけて、皮肉っている。
監視カメラは「見ているだけ」なのだ。カメラの前で何が起こっても、ただそれを記録し続けるだけなのである。
そんな監視カメラに自分たちのプライバシーを捨てるほどの価値があるのか?

全編監視カメラというアイデアもさることながら、そこに込められたメッセージの巧みさも光るなかなかの良作である。

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