蛸文(たこふみ)

35歳。男性。娘2人。主に読書記録(2020年3月note開始から303冊分)。たまに…

蛸文(たこふみ)

35歳。男性。娘2人。主に読書記録(2020年3月note開始から303冊分)。たまにエッセイ。ざっと書くので誤字脱字多め。 統計検定2級を目指し勉強中。 好きな著作家・作家/福田恆存、岡潔、安部公房、中島らも、カフカ、山口周 座右の銘は「健全なる知性は健全なる品性に宿る」

マガジン

  • 【小説編】蛸文(たこふみ)の読書記録

    僕の読書記録・小説編です。月に1冊ぐらいのペースで更新してます。

  • エッセイ

    読書記録ではない随筆

  • 蛸文(たこふみ)の読書記録

    僕の読書記録です。月に3〜4冊ぐらいのペースで更新してます。

  • 書評を書けなかった本たち

    エッセイとして書いていましたが、記事数が増えてきたので、ひとつのマガジンとしてまとめました。 様々な理由から書評や感想を書くに至らなかった本たちの紹介です。

  • ひとくち映画レビュー

    エッセイとして書いてた映画レビューの記事数が増えてきたので、単体のマガジンとしてまとめました。

記事一覧

固定された記事

2023年下半期(7〜12月) ベスト3冊

この半年で読んだ本は39冊。 半期ごとの恒例で、この半年に僕が読んだ本の中でベスト3冊をご紹介。 なお、今回から順位をつけるのはやめました。 異星の客「この一冊で小…

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【チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク…

オススメ度(最大☆5つ) ☆☆☆☆☆ 〜ロボット・ピカレスク〜本作を一言で言うならば、制御回路が作動しないロボットが次々と悪事に手を染める話である。 舞台は、ロボッ…

お天道様が見ている、という感覚

今日、職場の人からこんな話をされた。 「怠けるとか人に嫌なことをするっていうことは私には出来ない。お天道様が見ている、と思うと悪いことは出来ないよね」 僕はこの…

【確率を攻略する ギャンブルから未来を決める最新理論まで】がっつり数学書

オススメ度(最大☆5つ) ☆☆☆ 〜「確率」とは何なのか?〜本書はタイトルの通り、「確率」に関する本である。 「確率」は、生活の中で溢れかえっている。 天気予報、ギャ…

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【アライバル】緻密な絵に言葉の無い物語

オススメ度(最大☆5つ) ☆☆☆☆ 〜グラフィックノベル〜エドワード・ゴーリーや先日読んだ「HERE」など、グラフィックノベルが最近の小さなマイブームとなっている。 大…

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【虚無への供物】(ネタバレあり)

オススメ度(最大☆5つ) ☆☆☆☆☆ 〜日本の三大奇書のひとつ〜日本における三大奇書といえば「黒死館殺人事件」「ドグラ・マグラ」、そしてこの「虚無への供物」。 実は…

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書評を書けなかった本たち⑧

過去記事はこちらのマガジンから。 結果から原因を推理する 「超」入門ベイズ統計すいません。 この本はベイズ統計を勉強するにはオススメしません。 ミステリー仕立て…

36

「人の名前が覚えられない人」へ

突然だが、僕は人の名前を覚えるのが苦手だ。 頻繁に連絡を取ったり、よく会う友人や仕事仲間は当然覚えているのだが、ほとんど連絡を取らず数年会わない人はすぐに忘れて…

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(五月病にならないために)GWにオススメする3冊

GWが始まった。 長期で旅行に行く予定がある人や、何の予定もなくどうしようかな決めかねている人もいるだろう。 しかし、どんな人でも毎年怖いのがGWの後にくる五月病だ。…

40

【アイデアのつくり方】アイデアは天才の特権ではない

オススメ度(最大☆5つ) ☆☆☆☆ 〜アイデアは天才だけのものではない〜本当に30〜60分あれば読めてしまう薄くて短い本なのだが、「アイデアはどのように生まれるのか?」…

53

【ダメな議論】相手にする必要のない議論を見分ける法

オススメ度(最大☆5つ) ☆☆☆☆☆ 〜議論に値しない言説をスルーするための指南書〜本書は、タイトルにある"ダメな議論"を上手に避けるための技術書である。 ダメな議論…

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〜ひとくち映画レビュー〜 インフィニティ・プール(ネタバレあり)

「アンチヴァイラル」「ポゼッサー」に続き、あの変人映画監督デヴィッド・クローネンバーグの息子ブランドン・クローネンバーグ監督3作目を観てきた。 「最新作はぜひ劇…

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〜ひとくち映画レビュー〜 M3GAN ミーガン〜

子育て支援のために開発されたAI人形が子どもを守るために他人を傷つけることも厭わなくなるほど暴走していくホラー映画。 題材が面白くて、現代社会への警鐘となるような…

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【はじめての統計学】統計学の腕力を身につける

オススメ度(最大☆5つ) ☆☆☆☆☆ さて、以前このnoteにおいて「統計検定2級合格を目指す」と宣言した。 本格的に統計学を勉強するためにまず手に取ったのが本書である…

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【四色問題】難問をめぐる数学ドラマ

オススメ度(最大☆5つ) ☆☆☆☆ 〜四色問題とは?〜本書は、「四色問題」が解かれるまでの、数学者たちの苦悩の歴史を通じた数学ドラマが描かれている。 まず、「四色問…

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【HERE ヒア】画期的な読書体験

オススメ度(最大☆5つ) ☆☆☆☆☆ 〜新しい読書体験〜グラフィックノベル、というものを今回初めて読んでみたのだが、グラフィックノベルの中でも本作はかなり異質な作品…

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2023年下半期(7〜12月) ベスト3冊

2023年下半期(7〜12月) ベスト3冊

この半年で読んだ本は39冊。

半期ごとの恒例で、この半年に僕が読んだ本の中でベスト3冊をご紹介。
なお、今回から順位をつけるのはやめました。

異星の客「この一冊で小説何冊分のテーマがあんのよ!?」って思うぐらいの超大作。分厚い本だけど、じっくりと時間をかけて読む価値のある名作SF。

検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?本書はナチスがどうこうというよりも、"ある事実に対する考え方"についてす

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【チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク】ロボット悪ざんまい

【チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク】ロボット悪ざんまい

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜ロボット・ピカレスク〜本作を一言で言うならば、制御回路が作動しないロボットが次々と悪事に手を染める話である。

舞台は、ロボットが当たり前のようにいる近未来。家事から製造、医療まであらゆる分野でロボットが使役されている。人間の安全を守るために全てのロボットには「アシモフ回路」(詳しくは「われはロボット」の「ロボット三原則」を参照のこと)が組み込まれているが

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お天道様が見ている、という感覚

お天道様が見ている、という感覚

今日、職場の人からこんな話をされた。

「怠けるとか人に嫌なことをするっていうことは私には出来ない。お天道様が見ている、と思うと悪いことは出来ないよね」

僕はこの考え方に大いに共感した。僕は何かしら神様を信じているわけではないが、遥か高いところから何か"大きな存在"が自分を見ている、という感覚で生きている。たとえ、その場に自分1人しかいなくても、その行動は全て"大きな存在"から見られている、と思

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【確率を攻略する ギャンブルから未来を決める最新理論まで】がっつり数学書

【確率を攻略する ギャンブルから未来を決める最新理論まで】がっつり数学書

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆

〜「確率」とは何なのか?〜本書はタイトルの通り、「確率」に関する本である。
「確率」は、生活の中で溢れかえっている。
天気予報、ギャンブル、投資、生命保険などなど、確率に触れずに生活することはもはやあり得ない世の中になっている。

しかし、これだけ身の回りに多くある確率について、果たして正しく理解しているのだろうか?
そもそも「確率」とは何なのか?

本書は「確

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【アライバル】緻密な絵に言葉の無い物語

【アライバル】緻密な絵に言葉の無い物語

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜グラフィックノベル〜エドワード・ゴーリーや先日読んだ「HERE」など、グラフィックノベルが最近の小さなマイブームとなっている。

大人向けの絵本、マンガとも言えるグラフィックノベルというジャンルは、実際のところ明確にジャンル分けしようとするとかなり曖昧な立ち位置にある。
それだけに、個性的で独特な作品が多く、想像をめぐらせて様々な解釈が出来るのが面白い。

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【虚無への供物】(ネタバレあり)

【虚無への供物】(ネタバレあり)

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜日本の三大奇書のひとつ〜日本における三大奇書といえば「黒死館殺人事件」「ドグラ・マグラ」、そしてこの「虚無への供物」。

実は大学生の頃に、ふと「三大奇書を制覇してやろう!」と思い立ち、「ドグラ・マグラ」を読んだことがある。「ドグラ・マグラ」はかなり難解で文章も奇妙で独特だったため、読了後は頭も精神も疲れ果ててしまい、その後残りの2つに手を出すのを諦めてい

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書評を書けなかった本たち⑧

書評を書けなかった本たち⑧

過去記事はこちらのマガジンから。

結果から原因を推理する 「超」入門ベイズ統計すいません。
この本はベイズ統計を勉強するにはオススメしません。

ミステリー仕立ての愉快なストーリーを読みながら、「ベイズの定理」を中心に学んでいきます。
と書いていながら、ミステリー部分はそんなに面白くないし、統計の解説も早足簡潔過ぎて、「今、何でこれをやってんの?」という繋がりがわかりにくい。

非常に辛口で申し

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「人の名前が覚えられない人」へ

「人の名前が覚えられない人」へ

突然だが、僕は人の名前を覚えるのが苦手だ。
頻繁に連絡を取ったり、よく会う友人や仕事仲間は当然覚えているのだが、ほとんど連絡を取らず数年会わない人はすぐに忘れてしまう。
高校のクラスメイトや大学のサークル仲間など、ある程度密に過ごしてたような人も数年経てば忘れてしまう。

社会人になって間もない頃、この人の名前を覚えられないことがコンプレックスになり、人間関係に悩んだこともある。
初めて会った人を

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(五月病にならないために)GWにオススメする3冊

(五月病にならないために)GWにオススメする3冊

GWが始まった。
長期で旅行に行く予定がある人や、何の予定もなくどうしようかな決めかねている人もいるだろう。
しかし、どんな人でも毎年怖いのがGWの後にくる五月病だ。楽しい休みを過ごした人も、ダラダラ過ごしていた人も、連休明けというのはなんとなく仕事がかったるくなるものだ。ひどいケースでは、このGWをきっかけに鬱になる人もいるそうだ。

休みの日まで仕事モードになる必要はないが、連休明けから快調に

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【アイデアのつくり方】アイデアは天才の特権ではない

【アイデアのつくり方】アイデアは天才の特権ではない

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜アイデアは天才だけのものではない〜本当に30〜60分あれば読めてしまう薄くて短い本なのだが、「アイデアはどのように生まれるのか?」という疑問に対して、無駄なく簡潔に書かれている。

著者は名の知れた広告マンであり、主に広告のアイデアを生み出すためのプロセスとして書かれているのだが、その方法論はどんな分野にも当てはまるだろう。

まずそもそも「アイデア」とは何

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【ダメな議論】相手にする必要のない議論を見分ける法

【ダメな議論】相手にする必要のない議論を見分ける法

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜議論に値しない言説をスルーするための指南書〜本書は、タイトルにある"ダメな議論"を上手に避けるための技術書である。
ダメな議論、とは「誤ったもの」「無用なもの」「有害なもの」を含む言説のことを指し、本書ではそれらを見抜く手法をポイントを絞って指南してくれる。

本書の著者はエコノミストであり、メディアで経済や社会について言及する時に、自分の処理能力を超える

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〜ひとくち映画レビュー〜 インフィニティ・プール(ネタバレあり)

〜ひとくち映画レビュー〜 インフィニティ・プール(ネタバレあり)

「アンチヴァイラル」「ポゼッサー」に続き、あの変人映画監督デヴィッド・クローネンバーグの息子ブランドン・クローネンバーグ監督3作目を観てきた。

「最新作はぜひ劇場で観たい!」と最新作を待ち侘びてしまうほどハマってしまってるブランドン・クローネンバーグ。親父の変態性をきっちり受け継いでいて、本当に待望の新作であった。

個人的には、奇妙さ不気味さ満載のかなり自分好み映画で大満足だった。ただ、僕が満

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〜ひとくち映画レビュー〜 M3GAN ミーガン〜

〜ひとくち映画レビュー〜 M3GAN ミーガン〜

子育て支援のために開発されたAI人形が子どもを守るために他人を傷つけることも厭わなくなるほど暴走していくホラー映画。

題材が面白くて、現代社会への警鐘となるようなエピソードが散りばめられているのに、ラストは結局そうなるのか…という感想になる。

AIに対してペア登録された子どもの言葉しか通用しなくなる、という設定を考えると、違うエンディング案もあったのではないかと勘繰ってしまう。映画ではよく聞く

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【はじめての統計学】統計学の腕力を身につける

【はじめての統計学】統計学の腕力を身につける

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

さて、以前このnoteにおいて「統計検定2級合格を目指す」と宣言した。

本格的に統計学を勉強するためにまず手に取ったのが本書である。
これまで統計学関連の書籍はいろいろと読んできて、なんとなく理論は理解していたものの、実際に手を動かすことをしていなかった。

本書の著者はまずその点について「実際に平均や標準偏差や相関係数や回帰係数がらくらく計算できるように

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【四色問題】難問をめぐる数学ドラマ

【四色問題】難問をめぐる数学ドラマ

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜四色問題とは?〜本書は、「四色問題」が解かれるまでの、数学者たちの苦悩の歴史を通じた数学ドラマが描かれている。

まず、「四色問題」とは何か?
最大でも四色あればどんな地図でも隣り合う国々が違う色になるように塗り分けられるのか?という問題である。

一見簡単そうなこの問題に、多くの数学者が挑戦し、問題が解かれるまで124年の歳月を費やすこととなった。
数学の

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【HERE ヒア】画期的な読書体験

【HERE ヒア】画期的な読書体験

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜新しい読書体験〜グラフィックノベル、というものを今回初めて読んでみたのだが、グラフィックノベルの中でも本作はかなり異質な作品であるようだ。

あるひとつの部屋を定点とし、様々な時代を行き来する本作。その部屋では様々な人が暮らし、様々な光景があった。ページを捲るたびに、時代が入れ替わり、また、ひとつのページの中に窓のようにいくつもの時代が同時に表示されて、時

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