ステージショーで注目度を引き上げるための構成とセリフの作り方
こんにちはTAKKiです。
今回はステージショーで観客の注目度を高める方法を、実際に行ったショーの事例とともに解説していきます。
先日の仕事は観客360人のステージショー。
ビュッフェ形式のため観客は縦横無尽に立ち歩き、グループ内の結束が強いためパーティー中は多くの人が挨拶回り。
そんな中始まったステージショー。
最初は前方の20人ほど+後ろの数名が見ている程度。
正直いってアウェー。笑
しかしトリの演目は、会場のほとんどが着席して見てくれていた。
終わった時の拍手は社交辞令じゃない心からの拍手。
着席していなかったのは後方ドリンクコーナーに並ぶ3人だけ。
とはいえこの3人も、ショーを見て拍手してくれていた。
所要時間は20分。
その間に300人以上の“興味のない人”をショーに引き込んだ。
そのためにやったのは、
たったこの3つ。
観客を引き込むためにどう調整したのか?
1、引き込むためのショー構成と人選
このショーの演目の流れは、
てんこ盛りに見えるが、時間の短い演目もいくつかあるのでこれで大体20分。
以下解説↓
大前提として、
“カメラ+スクリーン”がある環境だった。
しかも話を聞く限り、マジックショーにしか使わないという事らしい。
演目を見て、小さい手品が入ってる事に驚かれたかもしれない。
これは”カメラ越しにしか見えない手品”を盛り込むことで、そこにかけた予算を「無駄だった」と思わせないため。
こういった配慮も案外大事だったりする。
依頼としては20〜30分だったため、巻きすぎる事がないように演目を詰め込む形で構成した。
この流れの目的は、主に『観客を引き込み続けること』。
そこに焦点を絞って解説をしていく。
演目を詰め込んだ理由のもう1つが、ステージ上に並べる道具を増やすため。
ショーの15分前から、全ての道具を置いておくことで、”この後のプログラム“を気にならせておく。
これによって、ショーが始まった時点での注目度を上げることができる。
このために道具を多くしたかった。
とはいえ思ったよりアウェーだったため最初の段階では20人ほどしか巻き込めなかったが、これがなかったら10人いるかどうかだったと思う。
他の現場でも試しているが、よほどアウェーでない限りかなりの効果がある。
①ロープ復活→ボディースルーロープ
この演目を見て、「オープニングにしては地味」と思われたかもしれない。
しかしパーティーなどの、いわゆる“営業”と呼ばれる現場でのショーは基本的に最初から全員が見ていることは少ない。
特に今回はビュッフェ形式だったため、その傾向が強い事を予想。
そのため、オープニングで大事になってくるは
『現象の分かりやすさ』と『なんかやってる感』。
とにかく”ステージ上が気になる“を作る事が先決。
この目的であれば、アラカルトのオープニングでも悪くなさそう。
確かに悪くはない。
ただ今回重要視したのは、以下の2点。
考えたのは『見ていない人の一貫性』。
見たくない訳じゃないけど、ビュッフェに並んでる間にショーが始まっちゃった。
という人も少なくない。
ビュッフェを取りながらでも周りの”拍手“は聞こえてくる。
つまり「自分が見逃したマジックの数」が分かるわけだ。
見逃した数が増えるほど、「もう見なくていいや」という感情が強くなる。
これを避けるために、オープニングはあえて
・現象の数を少なく
・現象までの時間を長く
したというわけだ。
オープニングを通して、「今から見ても楽しめるよ!」と伝えているのだ。
②ビールの復活
”缶のやつ“ではないが、不思議さは同等かそれ以上のものを演じる。
ここで大事なのは『現象のインパクト』と『プレゼント性』。
1つ前のボディースルーロープもそうだが、現象の強いマジックは観客の"拍手以外の"リアクションを引き出すことができる。
などがそれに当たる。
さっきまでとは違うリアクションを引き出す。
それによって、見てない人の中に
・「期待してるより凄い事をしてるかもしれない」
・「一体何が起きたんだ・・・?」
という”見る理由“を生み出す。
さらに大きなリアクションは、瞬間的な注目度を引き上げる。
そのタイミングで、『より影響力の高い人』にビールをプレゼントする。
企業パーティーにおいて「影響力の高い人」は役員だったりする。
皆が知っている人。
座席でいうと前の方。
席の位置としても影響力がある。
ここを味方に引き込むことで、ショーの注目度をさらに引き上げる。
③12本リング
この演目の強みは、『7人に調べてもらう事が出来る』という点。
これをそれぞれ別のテーブルの人に調べてもらうことで、その人の周り。
すなわち7テーブル+その近くの人を味方につける事ができる。
さぁこれによって、”前方の観客はほぼ全員“引き込んだ。
そしてこの演目の他の強みとして、
がある。
音で瞬発的に注目を引き上げ、そこに見応えのある作品を突きつけることで、
「なんか凄いことやってるじゃん」
と継続的な注目に切り替える。
この段階で、ぶっちゃけ”会場の70%ほど“は引き込んだ。
④首ギロチン
客上げ型の首ギロチン。
めちゃくちゃコメディ演目で、客席からは笑いと手拍子が巻き起こる。
この時点ですでに十分に引き込みやすい演目。
ただここで大事なのは『客上げの人選』。
影響力が高く、さらには”リアクションのいい“人を選ぶ必要がある。
客上げした方がリアクションが悪いと、ショーの価値が下がって「見る理由」がなくなってしまう。
それゆえに客上げしたのは、『みんなから人気のある可愛がられキャラの社員さん』。
こういったタイプの方は、ステージに上がるだけで注目度をぐんと引き上げてくれる。
そしてかいわいがられてる人にリアクションの薄い人なんていない!笑
ここで人選さえ間違えなければ、演目の強さも相まって最強の”引き付け力“を生む。
実際にこの段階で”90%近くの観客“を引き込んだ。
⑤カメレオンシルク
これを僕は「せっかくだからマジック教えるよ!」という”テイ“で行う。
まぁ最後はあり得ない現象起こして「できるか!」となるんだが…笑
この「マジック教室」的な”テイ“のおかげで、
といった事ができるようになる。
皆がときには笑って、ときには驚き、各々が「素のリアクション」を取ってくれることで、見ていない観客の興味がより惹きつけられる。
結果としてこの時点で、立ってる座ってるを問わなければ”会場の全員“がショーに注目している状況を作り出した。
ここまで来れば、会場全体の共通認識として「ショーを見よう」という状態になっている。
その状態で「次が最後のマジックです」とでも言えば、
「最後くらいしっかり見よう」となって着席し始める。
今回最後まで立っていた3人は、この時点でドリンクコーナーに並んでいた最後尾の3人。
シンプルにトリの3分の間に順番が回ってこなかった感じ。笑
つまり、最後の演目は注目を集めるのには使っていないということだ。
これが、先日の仕事で300人以上を20分で引き込んだ
『ショー構成』と『客上げの人選』の全貌。
次は『セリフ』の話に移る。
2、注目度を引き上げる"セリフ"と"間の調整"
注目度の引き上げは構成と人選が8割を占めているので、こちらはサクッと解説。
①間の調整
をそれぞれ意識。
会場の70%を引き込むまでに意識すべきなのは、『既に見ている観客の“当事者意識”の強化』。
そのために観客に相槌・拍手・笑いなどのリアクションをしやすいように待つようにする。
演者から見ると「対大勢」だが、観客から見ると「1対1のコミュニケーション」。
なので観客1人ひとりがリアクションを確実に取れる間を作る。
そうすると観客の中にコミュニケーション感が生まれ、自分が「ショーの参加者」であるという感覚を作る。
これによって、
既に見ている観客の意識がショーから脱落するのを防ぐとともに、周りの人が“楽しそうに見ている人”を見せることで連鎖的にショーへの興味を引く状態を作る。
会場の70%をその状態に出来れば、あとは連鎖的にその空気が広がる。
ゆえに残りはショー構成や人選の工夫残りを引き込むことが十分に可能。
以降は“ショーとして最適な間”で話していくフェーズに入る。
最適な間で話すことで、後半は『ショーの質』を高める段階に入る。
ショーが終わったときに「良いものを見た!」という満足感を作るのが目的。
②声の高さ
基本的に語尾を下げて落ち着いた雰囲気を作る。
これがマジシャンに対する信頼や安心に繋がる。
しかし手品の前提など、確実に観客の中に植え付けておきたいような大事なところは高い声で話す。
高い声は、人間に「恐怖」や「危機感」といった感情を与える効果がある。
そのため瞬間的な注目度が上がる。
その時に前提を植え付けることで『続きが気になる』という状態を作り、ショーへの興味を引く。
こちらは注目度が80%くらいになるまで継続。
以降は徐々に全体を落ち着かせていく。
③具体的なセリフの例
・ビール復活
「せっかくスクリーンがあるというこの環境。普段大人数相手にはお見せできないマジックを一つお楽しみいただきましょう。」
環境を生かした興味を引くセリフ。
“普段はできない”などの特別感で、見なきゃ損という“損失回避”の感情を引き出す。
・12本リング
「シンプルな道具をお持ちしました。マジックが好きな方なら見たことがあるかも知れません。」
過去に見たマジックの中からシンプルかつ有名な道具を思い出させるトリガーとなる一言。
マジシャンの言葉に対して“能動的に思考した”という既成事実と作る。
すると観客の中に「自分はショーを見ている」という自己イメージが確立。
一貫性に従って、引き続きショーを見るようになる。
・首ギロチン
「次に行うのは少し特殊なマジックでして……」と気まずそうに話す。
舞台に立ってる人間が気まずそうにするというノイズとともに、「特殊」というワードで“正体が分かるまで気になってしまう”という状態を作る。
ちなみに「特殊」の正体がギロチンであることは、演目が始まって1分半後に分かる構成になっている。
1分半見続けた観客には一貫性が働いて最後まで見てくれる。
・カメレオンシルク
「せっかくのマジックショーじゃないですか。マジックを一つ覚えて帰っていただこうと思いまして…」
言わずもがなビール復活と同じ”損失回避“。
セリフは、マジックの”枕詞“。
演じるマジックを「気にならせる」「興味を持たせる」という役割を担っている。
ただの説明では興味が引けないし、それが長いほど観客の興味は薄れてビュッフェに負ける。笑
【いかに観客をワクワクさせるか?】
これがセリフを考える際に最も考えるべきポイントだったりする。
以上が、20分で注目度をほぼ100%まで引き上げるために行ったことの全貌です。
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