見出し画像

『おまじない』のリアリティ爆上げメソッド - おまじないを変えたらスベり知らずになった方法論。

突然ですが、『おまじない』のバリエーションっていくつ持ってますか?

・指パッチン
・息フッ

だけだとかなりヤバイです。

もしあなたがマジシャンとして観客の前で演じている場合、
"おまじないのクオリティ"があなたの「マジシャンとしてのレベル」を決める一つの基準となります。

とはいえ、多くのマジシャンがここを見落としてるのもまた事実。

ただ教わる環境もないので、"見よう見まね"だけでおまじないを行っている人も少なくないでしょう。

ぶっちゃけおまじないのクオリティを上げるだけで、マジックの演出やネタ自体を変えなくても観客からのあなたの評価は十分に爆上がりします。

「それはさすがに言い過ぎでしょ・・・」

と思うかもしれませんが事実です。

実際にぼくも「おまじないのコツ」を見つけた途端に

・何人かのマジシャンがいる中「プロは違うね!」と言われる
・最初いじわるだった観客に「お見それしました」と言われる
・「え、これ本当にマジック?」を"マジのトーン"で聞かれる

など、今までとは明らかに違う待遇をされるようにになりました。

"おまじない"というものは人の態度を変えてしまうほど、マジックを演じるにあたって強力で重要な役割を担っているのです。

そしておまじないの精度を上げることは、練習すれば誰だって簡単にできるようになります。

なんなら『初期設定』さえすれば、あとは新しく作った演目でも"自動的に"適切なおまじないを作ることができるのでめちゃくちゃ簡単です。

マジック自体は誰でもできるけど、それに見合った”おまじない”をかけられる人はなかなか少ない。

だから"おまじない"で差をつけることさえできれば、あなたにとっての強力かつ実践的な武器になるのです!

マジックや演者自身に「信憑性」を持たせたいなら"おまじない"を徹底する。

これが、マジシャンとして10年以上人前に立ってきた私の結論です。

この記事を読めば、
あなたの"おまじない"に対する洞察を深め、マジシャンとして今以上に信頼と期待をされる。

そんな変化を起こせるはずです。


✅この記事を書いた人

自己紹介は画像をクリック!


①おまじないを重要視すべき理由


まずお話ししていくべきなのは、『おまじないの重要性』について。

なぜ、"おまじない"がそんなに大事なんでしょう?

先ほども言ったように、僕は「おまじないのコツ」を発見した途端に

・最初いじわるだった観客が「お見それしました」となる
・何人かのマジシャンがいる中「プロは違うね!」と言われる
・「え、これ本当にマジック?」を"マジのトーン"で聞かれる

など、今までとは明らかに違う待遇をされるようにになりました。

これは私だけじゃありません。
私にアドバイスを求めてきた後輩にも、同様の変化があったのです。

なぜ、こんなにも明らかな変化が起こったのか?


それは、

"おまじない"がマジシャンに対する『信頼』と、
現象に対する『期待』を作っているからです。

・おまじないが作る『期待』


現象に対する『期待』とは、その名の通り
『現象が起こることに対してのワクワク感』のことです。

おまじないにリアリティがあるほど"現象への期待値"は高まり、
おまじないをうまく使うほど"現象点へのフォーカス"が強まります。

ここが確実に行えていれば、
必然的に現象のインパクトが強烈になります。

つまり、
おまじないによって期待値を高めることで、
観客に現象が『確実に刺さる』という状況を生み出すことができるのです。


・おまじないが作る『信頼』


「マジシャンはジャグラー(曲芸師)ではない。魔法使いの役を演じる俳優である」

ロベール・ウーダン氏のこの名言はみなさん知っていると思います。

めちゃくちゃ砕けた解釈をすると、

マジシャンはただの「手品できるよマン」ではなくて、
「魔法使い」らしい最低限の『ファンタジー』があるといいよね。

曲解が過ぎるかもしれませんが・・・笑

観客は、せっかく見るなら"いいマジック"が見たいに決まってます。
その"いいマジック"とは、「まるで魔法のような不思議」です。
それを演じるマジシャンは、「まるで本当に力を持っているかのような人」であって欲しい。

何が言いたいのかというと、
観客はマジックに『最低限のファンタジー』を求めているはず。
ということです。


ここで少し話が逸れますが、

本来人間は、『原因』を探りたくなる生き物。
これは原始時代を生きる上で必要だった"本能"に近いものです。

例えば、森を歩いていたら鹿が倒れていたとします。
ここで「あ、倒れてるわー。」って感じでスルーして進み続けると、
鹿を襲ったライオンに遭遇する可能性がグンと高まります。
その辺りで流行っている疫病の可能性もあります。
だから生き残るために、倒れてる鹿を見つけた時点で原因を追及する。
そんな"思考のクセ"がついたのです。

もしそこで原因が特定できなかったら、
生き残れる可能性が下がるので"ストレス"を感じるようになります。

そういう意味で、
マジックという芸能はどうしても観客に"ストレス"を与えてしまう。

でも人間には、『割り切る』というスキルがあります。
この"割り切り"の後押しをしてあげるためにも、やっぱり最低限の『ファンタジー性』が必要なんです。

タネが分からないモヤモヤを解消するためにも、
そしてマジックというエンタメを楽しむためにも、
観客は目の前にいる人が魔法使いだと信じたい。

そして、この『ファンタジー性』は"おまじないのクオリティ"で作ることが可能です。

どんな不思議レベルの現象に対しても同じおまじないをかけていると、
一貫性を失い、おまじないがとってつけただけのハリボテになってしまいます。

そこからファンタジーが崩れていき、
ただの「手品できるマン」になってしまうのです。


さて、"おまじない"というものがマジックを演じるにあたって
どれだけ大事なものなのか理解していただけましたか?

それではここからは、
【おまじないの作り方】をお話ししていきます。



②おまじないの作り方


「おまじない = 力 × 複雑さ × 時間」

これがおまじないの公式です。

私はこれに当てはめることで、おまじないを作っています。
意外とシンプルなので使いやすいですよ。

それぞれの要素を説明していきます。

・力

力とは、「その現象を起こすのに必要な力」のことです。

ここでおまじないの"一貫性"を作っていきます。

とはいえ筋肉とかの力ではなく、
魔力とか超能力と同じジャンルの「力」です。

非常にスピリチュアルっぽい感じですが、
マジックを演じるにあたって、それこそが大事なんです。

おまじないが異常にうまいマジシャンは、共通して
「マジで目に見えない力が見えてる系の人なんじゃないか?」
ってレベルでおまじないに一貫性があります。

例を言うならMr.マリックさんはめちゃくちゃ参考になります。
もはやタネいらないんじゃないかってレベルでおまじないがリアルです。笑

たぶん本当に自分が超能力者だったとき、その現象を起こすのに必要な力が完全に見えてるんでしょうね。

冒頭で言った『初期設定』は、この"力"のフェーズで行います。

現象に応じて、自分に必要な「力の量」を考えてみてください。

「え、どうやって?」
って感じですよね。笑

ここでは、
・自分が最も得意とするマジック
・一番依頼の多いジャンルのマジック

の現象を基準に初期設定していくのがオススメです。

もしあなたのレパートリーの中に、
何かしらの事情でおまじないが変更できないものがるならそれを基準にしても大丈夫です。

考えるべきポイント


考えるべきポイントは以下の3点。

1、基準のマジックではどんなおまじないをしているか?
2、つまりその現象を起こすのにどういった力を使っているか?
3、その力のあるマジシャンが他の現象を起こすとしたら、どんなおまじないになるか?

例えば、以下のように考えてください。

・基準のマジック「人体浮遊」
 →やってるおまじない「両手を大きくかざす」
 →つまり人を浮かせるのに必要な力は、手を大きくかざすことで賄える
 →ではフローティングローズは?
 →浮かせるものが軽いので、人差し指一本で良さそう

・基準のマジック「トライアンフ」
 →やってるおまじない「指パッチン」
 →つまり"表裏もバラバラのデックの中からサインカードだけ見つけ出して、それ以外のカードを全部表に揃える"という現象を指パッチンで起こせる
 →ではアンビシャスカードは?
 →1cmほどのシンプルな移動ならおまじない無しでもいいかも

いかがですか?
『基準の現象』を決めさえすれば、自動的に他の現象に必要なおまじないが見えてきます。

全然難しいことじゃないのです!

これで現象ごとに"力"の一貫性が生まれました。

次は想像力のフェーズです!


・複雑さ

複雑さとは、

「現象の複雑さに連動している、おまじないの『動き』の複雑さ」

のことを表します。

先ほどのトライアンフの例で気付いた方も多いと思います。
あの現象って、結果はシンプルでも起きてる現象はとんでもなく複雑なんです。

"表裏バラバラのデックの中からサインカードだけ見つけ出して、それ以外のカードを全部表に揃える"

エグいですよね。笑
でも観客の中ではこれが起きているテイのはずなんです。

さっきはおまじないの例として"指パッチン"を挙げましたが、
この現象の複雑さ。
指パッチンじゃ無理がある気がしませんか??

そう、”複雑さ”のフェーズで必要なのは『想像力』です。


『どのように』力をかければその現象が起きるのか?

この問いを徹底的に自分に投げかけてみてください。

考えるべきポイントは、
・工程数
・動き
この2点です。

複雑な現象ほど工程の数が増えていきます。

例えばトライアンフなら、

・デックからサインカードを見つける
・デック内の裏向きカードを全部把握
・サインカードを除いて全部を裏返す

どれだけ削っても、最低3工程は必要なことがわかります。

このように、現象を起こすのに必要な"工程数"を数えます。
その数だけのおまじないが必要になるわけです。

またそれぞれの工程で行う"作業"が違うので、
それぞれが違う『動き』のおまじないが必要になってきます。

実際に私もトライアンフを演じる際は、「複数工程」「複数のおまじない」で行っています。

ネタも手順も一切変えてませんが、
これだけで観客が息を飲むようになりました。

複雑な現象は、その工程を分解することで
適したおまじないを作りやすくなります。


・時間

時間とは、『間』のことです。
一概に『間』と言ってもいろいろあります。

・おまじないに必要な『力』をチャージする間
・おまじないをかけるための集中の間
・現象の各工程に要する間
・現象が確実に完了したかどうかをスキャンして確認する間 
などなど

こちらも私のトライアンフを例に見ていきましょう。

1、「表裏バラバラのデックの中からサインカードだけ見つけ出して、
それ以外のカードを全部表に揃える」のに必要なパワーを溜める
2、現象を起こすための手の感覚調整
3、デックをスキャンしてサインカードを探す
4、サインカードだけ裏返らないように固定
5、その他裏向きカードを全部把握
6、裏向きカードを全部表返す(一番パワーが必要)
7、成功したかどうかを確かめるスキャン

このような感じで細かく分かれています。
そして、それぞれで必要な時間配分が違います。

「流石にやりすぎだろ」と思った方もいるかもしれません。
でもそうでもないんです。

このおまじないにかかる所要時間は約10秒ですが、
その間に集中を切らす観客は今までいません。
なんなら息を飲んで集中しています。

それだけ徹底した
『別々の』だけど『一連の流れた』おまじないを行っているからです。

当然、おまじないの最中はデックから一切目を離しませんし喋りません。
息も止めています。

こんな複雑な現象を起こすには、相当の集中力が必要だからです。

大事なのは、
・力をかけてから工程が完了するまでのタイムラグ
・成功したかどうかの確認

の時間を考慮することです。

これがあるのとないのとでは、リアルさに雲泥の差が出ます。

おまじないのクオリティを追及するには、"中で何が起こっているか"を『徹底的に想像』してください。

以上がおまじないの作り方になります。


終わりに

いかがでしたでしょうか? 
『おまじない』にリアリティを出すには、

「おまじない = 力 × 複雑さ × 時間」

この公式を存分に活用していただければと思っています!

おまじないを作るにあたって必要なのは、それぞれの『想像力』だということがわかっていただけたかと思います。
そして想像力は人それぞれ。

つまり、変に過剰演出しなくても、変にキャラをつけなくても、
おまじないさえしっかり考えればあなたの個性は十分に発揮されるということです。

たかがおまじない、されどおまじない。
おまじないを徹底するだけで、観客のあなたの見方が変わるはずです。

この知識を活用して、さらに素敵なマジックライフを送ってください。



そして「良い記事だった!」と感じましたら、Twitterの方で感想をシェア&僕のアカウントのタグ付けをして下さいませ。
ランダムにリツイートします!
↓     ↓     ↓
TAKKi@マジシャンの"裏"参考書

なお、他にもマジックを"演じること"に関する知識が知りたい方は、
他の記事もどうぞ!

✅オススメ記事 ↓↓
キッズショー経験300回以上、文化庁ワークショップ講師200件以上
の僕がたどり着いた、
・キッズショーの作り方
・マジック教室の作り方と教え方
の関する記事です!
無料部分だけでも十分役に立つ内容ですので、
「今のままでいいのだろうか・・・?」と思っている方は、
今後の活動の参考にしてみてください。


まとめてお得に購入できるマガジンもあります!
応援してくれる人は別々に買ってください。笑

それではまたお会いしましょう!

TAKKi


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?