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つっぱり棒ハウスを徹底解説

こんにちは。つっぱり棒博士こと竹内香予子です。

すでにお知らせしましたが、4月中旬、自身の「私らしい暮らし」を体現する場であった「つっぱり棒ハウス」を出て、新しい暮らしを始めました。

みなさん、「つっぱり棒ハウス」は単に突っ張り棒だらけの家だと思っていませんか?実はそうじゃないんですよね。このお部屋、住まいの既成概念を塗り替える、いろんな要素が盛り込まれています。

今回、つっぱり棒ハウスとは何だったのか、全容を紹介したいと思います。

つっぱり棒ハウスの誕生背景

そもそも、つっぱり棒ハウスの前は、築浅の分譲賃貸マンションに住んでいました。機能的には何の問題もない家でしたが、真っ白のクロス、合板フローリング、LDKの間取り、個性のない空間に違和感を抱きはじめたんですよね。並行して、そろそろ自分たの家が欲しくなり、住まいづくりを調べ始めたんです。

中古マンションのリノベーションとの出会い

色々調べる中で、私たちは、「中古マンションのリノベーション」という選択肢を選びました。きっかけは「リノベる」という会社との出会いでした。

注文住宅は高すぎるし、そもそも大阪市内で戸建ては価格的にありえない。分譲マンションは内装の自由度がなく面白くない。中古マンションのリノベーションであれば、手に届く価格で理想の立地や内装の物件を手に入れることができる!

「中古マンションのリノベーション」という選択肢が、ちょうど私たちの条件にはまり、リノベるさんに物件探しから設計、施工まで、まるっとお任せすることにしました。

1R+WSCのちょっと変わった間取り

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これがつっぱり棒ハウスの間取りです。LDKの基準に準じて記載すると「1R+WSC」になります。え、聞いたことない?LDKがどこにも含まれていない?!そうなんです。規格外の間取りなんです。

1Rとは「ワンルーム」、WSCとは「ウォークスルークローゼット」という意味です。つまりつっぱり棒ハウスは、一部屋と収納、それだけで構成されているんです。

ライフスタイルに合わせて変化する間取り

まず、なんで1Rにしたか説明します。

つっぱり棒ハウスに越す以前に、模様替えのアドバイスを整理収納アドバイザーの井上ちえこさんに頼んだことが原体験になっています。何となく片付かない我が家に対して、2LDKの一室を丸ごとクローゼット化することを提案されたんです。その時、いかに自分がLDKで定義に縛られていたか、それが原因で不自由を強いられていたか気づいたんです。

井上さんは「ほとんどない来客のために部屋を空けておく必要あるのかな」と問いを投げかけ、更に「突っ張り棒使ったら、今収納に部屋を変えても、また必要になったら客室に戻せるよ」と、作り手が気づいていなかった突っ張り棒の可能性も教えてもらいました。

その時の衝撃が原体験になって、自社製品などを使ってライフスタイルの変化に合わせて間取りを自由に変えていけるように、あえて空間を区切らない1R(ワンルーム)にすることにしました。

大好きな物に囲まれた暮らしを実現する

次にテーマとしたのが、「大好きな物に囲まれて暮らす」ことでした。平安伸銅工業の創業者である祖父は、おもろい日用品を集めまくっていて、形見としてそれらの物を譲り受けていました。私自身も子供のころから食器などを集めていて、大好きな道具や置物、本たちを常に見えるところに置いて、愛でることができる暮らしをしたかったんですよね。

そのために、大き目のWSC(ウォークスルークローゼット)を設けて、生活用品はすべてそこで一元管理する間取りにしました。その代わり部屋の中に天井いっぱいまである飾り棚を設けることで、好きなものを常に見える場所に飾れるようにしました。

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絶対散らからない動線を考える

この家、玄関入ると扉が3つあるんです。右がリビングにつながっていて、真ん中がトイレ。一番左の扉は実はWSCにつながっていて、抜けると洗面所につながり、洗面所からキッチンに抜けられるつくりになっています。

玄関入って左側の扉を開けると

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手作りの靴箱があって

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洋服など置ける収納があって

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さらにそこを抜けると、洗面所につながっていて

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そして最後にお部屋につながります

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この部屋は、整理収納アドバイザーの中西彩子さんのご自宅を参考にさせていただきました。

各寝室で荷物を管理していると、片付ける時は各部屋を行ったり来たりしなくてはならないです。一方、一カ所で管理していると、家の中をさまよう必要がなくなります!

また、帰宅したらWSCに荷物を置き、着替えて、何ならお風呂まで終わらせて部屋に入ることになるので、鞄やコートが玄関に散らかったりすることが絶対起こらないんです。コロナのこの時期は衛生的にも◎。

中西さんの御宅を見学させていただいたときに、おったまげました。そして、このスタイルを導入させていただいたおかげで、家事負担が圧倒的に軽減されました。

経年変化を楽しめる素材を使う

多くの家では、床材は合板フローリング、壁はクロスを貼るのが一般的です。なんですが、こういった新建材は入所した時はきれいですが、経年で徐々に劣化していきます。なのであえてこの家ではできるだけ年月を重ねるごとに味が出る素材を選ぶようにしました。

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例えば、床材は無垢のフローリングにしました。キッチンカウンターは木材で造作。ガラスキューブをアクセントにはめ込みました。
また随所にタイルを張っています。特に気に入っているのが、玄関とキッチン。タイル一枚一枚の不揃いな柄行も好きですし、玄関は吸湿タイルになっています。ちなみに玄関の窓は、お風呂につながっていて換気ができます。

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自分で手を加えることで、年々愛着がわくお家

この家は「未完成」で引き渡してもらった家になります。入居した時は、壁は石膏ボードむき出し、飾り棚など一部以外収納棚がない状態でした。

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そこから、夫と一緒に壁を塗り、棚を作り、暮らしながら必要なものを自分たちで整えていきました。

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なんでわざわざこんな面倒なことをしたかというと、その方が家への愛着がわくと思ったからです。消耗したら取り壊す使い捨てから、家というものを自分たちで育てていくものに変えていきたかったんですよね。

背景には、現在の住宅産業への疑問があります。戦後復興の過程で住宅が工業化して、だれでも安全で快適な家を手に入れることができる時代になりました。一方で、住宅は使い捨てられるようになり、スクラップアンドビルドが当たり前になりました。

私は、まさにその端くれで仕事をしています。

でも、人口も減り、空き家問題が叫ばれるこの時代に、果たして今まで通りの暮らし方でいいのかな?という疑問がありました。自分なりの仮説が、「あるものを活かしながら、自分で育てていく暮らし」で、実践しながら次の暮らしとは何か、ヒントを得ようとしていました。

こんな人に住んでもらえたら嬉しいな

いかがでしたか?実はつっぱり棒だけじゃない、つっぱり棒ハウス。私が考える次の時代の「私らしい暮らし」の実験場。それがつっぱり棒ハウスでした。

是非、次に住む方には、こんな私の思いをちょっとでも受け取っていただいて、この家をその方らしく育ててくださったらうれしいです。(スケルトンにだけはしないでほしい)



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