規格外野菜の活用でフードロス削減を謳う事業を作ろうとするすべての担当者に届け【後編(ビジネスへの落とし込み)】
さて、早いもので今回のシリーズもこれで最後です。
前2本を読んでいない方はこちらからどうぞ↓!
ここまでで規格の必要性や規格外野菜は想像しているより傷物じゃないと言うことがご理解いただけたのではないかと思います。
ではここからはどうやって事業に落としていくかを、竹下のまだまだ拙い思考の中ですがお伝えしていきたいと思います。
1. 不安定供給である
よっぽどの大産地でない限り、規格外野菜とは不安定供給です。
(というかそもそも規格外野菜を作らないように農業に取り組むのが農家さんです)
#規格外野菜を作ってくださいとなるとそれはもう規格内野菜なのよ
フードロス削減事業というのは余剰したものをどう活用するかという発想が基本だと思います。余剰しなければフードロスは発生してないから別に問題でもなくて、発生した時にどう対処するかが重要なわけです。
なのである時に仕入れる前提で事業を考えていく必要があります。
規格外野菜は不安定供給。
それを前提にした仕入れ・加工・マネタイズ計画を。
例えば規格外野菜を使った飲食店を経営しよう!と思うのであれば、使う野菜が制限される料理ではなく、
・本日のおすすめサラダ
・野菜たっぷりカレー
のような、どんな野菜が来ても対応できるようなメニューを持つことをおすすめします。
2. 自社で産地リレーをしない限り特定の品目の年中供給はできない
中編で市場の仕組みの素晴らしさについてお話しましたが、その機能の1つに産地リレーがあります。
例えばじゃがいも1つとっても旬があるので、春先は九州から始まり夏にかけて北海道にまで北上しながら切れ目なくじゃがいも供給する仕組みが産地リレーです。
規格外野菜は基本的には市場を通過しないので(厳密には通過させたとて流通コストが合わないから運べない)、自社で産地と協働してリレーさせない限り、特定の品目を年中供給するということはできません。
#ダブル不安定供給
1と同じように品目にとらわれないように対応するか、もしくはシーズン中に一気に加工しておいて年中販売していけるような体制を作るかが対応策になりうると思います。
#冷凍とかも上手く使えるといいよね
品目を1つに絞らないか、旬の期間に一気に加工するか。
3. そもそも規格関係なく買うのはどうだろう
八百屋のタケシタが最終的に選んだ道はこれだったのですが、規格外だけ仕入れるのではなくて形が良いものも悪いものも関係なく仕入れる、というのがそもそもフードロスを生み出さない仕組みだと思っています。
#前提情報多すぎて消費者に伝わりにくいのはあるけれど
前編での「誰(何)のために規格外野菜のフードロス削減を行うのか」という問いに対する私の答えは、おいしい農産物を作ることに本気で向き合っている農家のため、です。
そんな農家の方々の農産物は良いものも多少形が悪いものも、おいしければ見た目なんて関係なく仕入れたいと思うようになりました。
#最初はフードロス削減のことしか見えていませんでした
なので竹下屋は規格不選別、そして来年からは契約栽培に踏み込む予定です。もちろん、出来上がった見た目は関係ない契約の形で。
フードロスをそもそも生み出さない仕組みを創ろう。
おまけ
近年のSDGsの流れから規格外野菜のフードロス削減に多くの企業が取り組み始めようとしていると感じています。
しかし、農家と直接話す際には気をつけてほしい。
こだわって良いものを作ろうとする農家ほど、規格外野菜(・訳あり野菜)があることを恥だと思う人もいます。
農家は職人、モノづくりが仕事です。
あなたはきっと陶芸家の人に対して「割れたお皿の割合ってどれくらいななんですか?」なんて質問、投げかけにくいのではないでしょうか。
農家に規格外野菜はどれくらいあるんですか?という質問をすることは、これを同じだと思っています。
しかしながら捨てているものをお金に変えられるのは嬉しく思われると思うので、関係性を一緒に築いていく際には言葉を選びながら産地を訪れるのが良いと思います。