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ショートショート広場

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一話完結〜数話完結の短編集を載せています。 あなたの息抜きのひとつに添えて頂けたら嬉しいです。
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記事一覧

【小説】 当たりが出ました 【ショートショート】

 小学校へ続く通り沿いに建つ駄菓子屋の「ひのや」は夕方になると、子供達が集まって来る。 …

大枝 岳志
11時間前
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【小説】 嘘っ子バー 【ショートショート】

 男も四十を過ぎると自然、女に興味が無くなってしまう。よほどの病的物好きでもない限り、若…

大枝 岳志
2日前
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【小説】 木になった日 【ショートショート】

 ちょうど雲が切れるように、熱を持った飴が千切れるように、繋いだ手が離れる瞬間のように、…

大枝 岳志
5日前
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【小説】 誰が為に、 【ショートショート】

 三十五歳を過ぎた頃から、人と関わりを持つことが極端に億劫に感じるようになった。  一円…

大枝 岳志
2週間前
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【小説】 よーい、どん! 【ショートショート】

 サッカーとかバスケとか、みんな憧れてやっているけど僕は苦手だ。  今は小学校六年生だか…

大枝 岳志
2週間前
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【小説】 勿忘草を探して 【ショートショート】

 庭に咲く季節の花々は、朝から気持ち良さそうに顔を並べている。  妻の趣味で我が家の庭に…

大枝 岳志
2週間前
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【小説】 父と私の土曜日 【ショートショート】 

 三ヵ月ぶりに危急の用件で実家に帰ることになった。キッカケはマネージャーを通して伝えられた番組側の「些細な」要望から。 「未来ちゃん。そんな訳だから小さい頃のお写真、五枚くらい用意してもらえない?」 「オッケー、土曜に実家に帰って取って来ます」 「うん、大事なシゴトだから。よろしくね」  バラエティ番組の「小さい頃にハマっていたもの」というコーナーアンケートと一緒に、幼少期の写真を提出することになった。どうせ画面に映るならカワイイ私がいいな~、けど、そんな写真あったっけな

【小説】 衛星が通過します 【ショートショート】

 それはふた昔も前の、初夏の出来事だった。  田代町の住民は人を絶望的な恐怖を与える「衛…

大枝 岳志
2週間前
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【小説】 子供に注意 【ショートショート】

 地方再生の一環として造られた老齢村へ取材へ行くために、私はハンドルを握っていた。  地…

大枝 岳志
3週間前
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【小説】 芥地獄の観音様 【4万字】

 歯痒い季節なんてのはよ、とっくの昔に過ぎ去っているんだ。  俺の人生はこの歯と同じよう…

大枝 岳志
3週間前
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【小説】 あたらしい生き物 【ショートショート】

 ついに、念願の茶釜を手に入れた。清水風芳作のこの茶釜を、私は長年に渡り探し求めていたの…

大枝 岳志
3週間前
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【小説】 スーサイド・トライアングル 【ショートショート】

 誕生日プレゼントに何が欲しい? って聞かれたらから、私はお母さんに念願のスマホをせがん…

大枝 岳志
1か月前
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【小説】 病名「いい人」 【ショートショート】

 浜本青年には幼い頃から決して揺るがない、とある信念があった。  それは、いつどんな状況…

大枝 岳志
1か月前
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【小説】 遠くの箱庭 【ショートショート】

 列に並ぶ人の顔はどれもこれも、杞憂を塗りたくったような蒼ざめたものだった。  コンクリート造りの市民センターには窓はないが、建物は見上げなければならないほど巨大なものだ。  その正面の入口から正門までおよそ五百メートルもの距離に、押し黙った人々が静かに並んでいる。  その一人一人の様子をじっくりと眺めながら、私は列の横を歩いている。  中央まで来ると、ある老人が私の腕章を掴んで訴えた。 「お願いです、私をどうか先に行かせてはくれませんか? ここに並ぶ誰よりも長い間この国に