たけなが

絵や文章を描きます。 子どもの頃から夢見ていたファンタジーの世界と、日常との境界線が混…

たけなが

絵や文章を描きます。 子どもの頃から夢見ていたファンタジーの世界と、日常との境界線が混ざり合うような世界観が作れたらと思います。 よろしくお願いします。石川県のひと。 X(旧Twitter)はこちら→ https://twitter.com/takenaga_draw

マガジン

  • イラストまとめ

    今までに描いてきたイラストをまとめています。

  • 紫陽花と水機関(ショートショート)

    紫陽花や水に関わる話をまとめてあります。 水機関(みずからくり)を自由に操る少年が、語り部のように不思議な話をします。

  • 明けない夜の喫茶店(ショートショート)

    森の奥に佇む、疲れを癒したい人たちがやってくる喫茶店のお話です。

  • がらくた入れ

    まだ空想段階みたいなお話を入れたりします。 他にもいろいろ入れます。

  • 空想星座製作所(ショートショート)

    空想で作った星座のショートショートなどを集めます。

最近の記事

フィラメント電球

    • レインオールドファッション(ショートショート)

       久しぶりにドーナツ屋さんに来た。  普段はコンビニやスーパーなんかで買っているため、こうして専門店にやってくるのはかなり久しぶりだ。  当たり前だけれど、改めてその品揃えの多さに驚く。同時に、今日はどれを頼もうかと、ワクワクする。  チョコクランチ、クリンクルドーナツにクリームポシェ。いろんな味のドーナツがところ狭しと並んでいる。  どれにしようか悩んでいると、一つ、気になるドーナツを発見した。  レインオールドファッション。商品名の欄にはそんなふうに書いてあった。  見た

        • 雨粒羊羹(ショートショート)

           名前から勘違いされることも多いですが、雨をそのまま羊羹にしているわけではないので、安心してくださいね。  この羊羹は、雨が降る時の気候を人工的に再現した施設で作られているんです。  まず初めに、羊羹原料の液があって、それが雲になり、やがて雨粒のように降り注ぎます。  そして地面。ここでは羊羹を受け止めるパッドですが、そこにその液が落ちることで、羊羹になるんです。  ちょうど、雨粒と同じくらいの高さから落として衝撃を与えると、固形になる、特殊な羊羹の原料を使っているんですよ。

        フィラメント電球

        マガジン

        • イラストまとめ
          48本
        • 紫陽花と水機関(ショートショート)
          8本
        • 明けない夜の喫茶店(ショートショート)
          32本
        • がらくた入れ
          17本
        • 空想星座製作所(ショートショート)
          16本
        • チョコレート(ショートショート)
          11本

        記事

          傘(ショートショート)

           世界の半分に雨が降らなくなって、かなりの時間が過ぎた。  どうやらその理由は、星の半分を覆ってしまうくらいの大きさの傘を開いている誰かがいることによるらしい。  その傘の内側は青空が映し出され、時間の経過で夜も来るらしい。それならあまり違和感を感じないのも頷ける。  その傘を開いて持っている人を見かけたという話をよく聞くけれど、実際にそれを証明できる映像や記録があるわけではないので、あくまで都市伝説程度にしか信じられていない。  また、それほどの大きさの傘なので、見た目は巨

          傘(ショートショート)

          空想と呼吸(ショートショート)

           いつだったか読んだ漫画で、”今自分がいる街が水没する空想”をしている少女の話があった。  もしそうなったらどうするか。彼女は確か、できるだけ顔を上げて、水面から呼吸ができるように背伸びをしていた気がする。  そしてその話には、もう一人登場人物がいた。バイト先で、彼女と知り合った青年。二人は女子高生と大学生くらいの年齢差だった。  街が水没する空想と、そこから生き残るために、水面から呼吸をする対処法を聞いた青年は、彼女の真似をしてみる。  隣でそれを見ていた少女は、青年を羨ま

          空想と呼吸(ショートショート)

          水たまり(ショートショート)

           雨が降ると水たまりができる。  子供の頃の僕は、その中に映る景色に、別の世界を夢見ていた。  どうにかして、何か特別な方法を使えば、水面に映る“もう一つの世界”に行けるのではないかと本気で思っていた。  水たまりの向こうの世界では、地面が空で空が地面。空の上を歩くのが普通。  空を歩ける靴を履いて、階段を下るようにどこまでも空を散歩する。ずっと下っていくと、やがて宇宙にたどり着いて、その宇宙の中では魚みたいに星たちが泳いでいる。  子供の頃の空想を思い出したのは、とある休

          水たまり(ショートショート)

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          紫陽花と水機関(イラスト)

          紫陽花と水機関(イラスト)

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          紫陽花と水機関(はなしの続き)

          「水機関って知ってる?」 「みずからくり?」  僕らは植物の生い茂る林の中を歩いている。僕と、同級生のAさん。それから、僕らを先導する不思議な少年。  少年の問いかけに、Aさんは首を傾げる。僕もよく分からず、彼女と顔を見合わせる。 「水機関はもともと、水の力を使って人形を動かしたりする演芸のことなんだけどね」  少年は目の前の草をかき分けながら進む。その動きは随分なれたもののようで、むしろ僕らが親に連れられる子どもみたいに感じる。  “おそらく道になっている場所”を進んでいく

          紫陽花と水機関(はなしの続き)

          紫陽花と水機関(さいしょの話)

          「紫陽花のきれいな場所があるんだよ」  教室。  隣の席から話す声。  梅雨の曇り空と、空気中の湿気のせいか、色が濃くなった木製机のオレンジ色。教室の照明は、どこかぎこちなく彼女の姿を照らす。 「紫陽花?」  返答するために吸い込んだ空気は、この季節特有の匂いがした。水中で呼吸したときのような感じ。実際にそんなことをしたら死んでしまうからやったことないけれど。 「そう、最近見つけたんだけど、すごくいっぱい紫陽花が咲いてて。めちゃくちゃきれいなんだ」  そう言って彼女は、スマホ

          紫陽花と水機関(さいしょの話)

          缶コーヒーと手

          缶コーヒーと手

          お知らせ(BOOTH販売)

           お知らせです~。  BOOTHにて明けない夜の喫茶店で使用したペン画を使ったマグカップの販売を開始しました~!  もしよろしければ、ご覧いただけると嬉しいです。 このURLより販売ページに飛べます。 kuusouno-akichi - BOOTH

          お知らせ(BOOTH販売)

          カーブミラーと道路(雑記)

           静かな夜だった。夜風はぬるく、停滞していた。  服の中で揺蕩う温度はひどく淀んでいて、足を踏み出すことすら億劫だった。  いつも通りの帰り道。夜空と道路が混ざって境界線が曖昧だった。  空から星がこぼれて、街を色づけている。星を踏むたびに、鉄琴を打ち鳴らすような音が響く。  星の色ごとに奏でられる色が異なっているようで、ダンスを踊るようにあちこちの地面をぐるぐると歩き回る。  そうしているうちに、少し前までの不快感は吹き飛び、足取りが軽やかになっていった。  街灯の明かり

          カーブミラーと道路(雑記)

          信号機と公園

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          カラーコーンと窓

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