たけ

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社内弁護士です。租税法を、①ケースブック租税法〔第5版〕(途中から第6版)の解答作成、②勉強した分野の司法試験・予備試験の過去問の検討、③まとめノートの作成という順番で勉強しています。ケースブック租税法を2周しようと思っています。

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    第1ステップのケースブック租税法の検討結果をまとめたマガジンです。

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1.いろいろな法律の基礎的理解を向上したい 社内弁護士(会社員)をやっています。余暇をつかって、租税法の本を読んでいました。大学時代、「T字型」人間になりなさいと言われたことがあります。「T」の横の棒は広い知識を身につけなさいということ、縦の棒は専門領域を持ちなさいということ、と理解していました。これをまに受けて、社会人になってからも、「T」の横の棒の部分を広げるために、いろいろな法律を基礎から勉強してきました。ちなみに、専門領域は、金融法です。 資格試験というのは、基

    • §242.02 雑損控除等

      1.制度と事案の検討  佐藤〔第4版〕355-357頁によると、要件は、①納税者と、生計を一にする親族が所有する資産に損害が生じること、②対象となる資産が、おおむね、居住用不動産(建物)、生活に通常必要な動産、および、事業にいたらない業務用の資産であること、③損害の生じた原因が、災害、盗難、横領で生じたこと、④損害額がその年の総所得金額などの10%を超えることと整理できる。  佐藤〔第4版〕357頁によると、効果は、総所得金額などの10%を超える部分の金額を所得控除できる

      • §242.01 配偶者控除・扶養控除

        1.関連裁判例  本件判決(事実婚「配偶者控除」訴訟判決)とこの最高裁判決は、所得税法上の「配偶者」あるいは「親族」の概念は、借用概念であり、民法上の「配偶者」あるいは「親族」にあたるのか否かで判断するという考え方において共通している。 2.制度趣旨の検討  配偶者控除を受けるための要件は、納税者(総所得金額、退職所得金額と山林所得金額の合計が1000万円以下)と生計を一にする配偶者(総所得金額、退職所得金額と山林所得金額の合計が48万円以下)があることである(所得税

        • §241.02 純損失の繰越控除・繰戻還付

          1.純損失の繰越控除  純損失は、損益通算を行なってもなお残る損失のことと定義されている。  所得税法70条1項によると、純損失の金額の発生した年に、青色申告している必要がある。これは、控除される損失について、「いわば出自のはっきりした『由緒正しい損失』であること」を要求し、「正確な帳簿組織で正確性を保障された青色申告」がされたことを手続的要件とした。  また、同条4項によると「純損失の発生した年以降、連続して確定申告書を提出していることも必要」とされる。「これは、繰越

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        記事

          §241.01 損益通算

          1.その後の改正  (略) 2.総合累進所得税における損益通算 設問①について  総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、これを他の各種所得の金額から控除する操作をすることである。なお、所得額の2分の1だけが総所得金額に算入される長期譲渡所得や一時所得からの控除の順序によって、納税者に有利となったり、不利となったりするので、所得税法施行令19

          §241.01 損益通算

          【いろいろ】 2つの指輪の物語

          1.座談会記事の公開 最近、X(Twitter)で、弘文堂さんと有斐閣さんのアカウントをフォローしはじめました。理由は、ケースブック租税法、スタンダード所得税法、租税法入門の更新情報をタイムリーにえられると思ったからです。そのような目的であったのですが、急に、ケースブック租税法のティチャーズ・マニュアルに掲載されている座談会記事が公開されたとのニュースをX経由で知りました。これは、以前より、ぜひ、読んでみたいと思っていた記事でしたので、うれしくなりました。通勤途中に、よみ

          【いろいろ】 2つの指輪の物語

          §234.02 所得税法56条の適用範囲

          1.事案の検討 1.所得税法56条の趣旨は、納税者間における税負担の不均衡をもたらすことを防止することにある。そして、その趣旨と文言に照らせば、「居住者と生計を一にする配偶者その他の親族が居住者と別に事業を営む場合であっても、そのことを理由に同情の適用を否定することはできず、同条の要件を満たす限りその適用がある」というべきである。そして、このような同法56条の立法目的は正当であり、同条の要件は、適用対象を明確にし、簡便な税務処理を可能にするためであるから、立法目的との関連

          §234.02 所得税法56条の適用範囲

          §234.01 事業上の損失

          1.事案の検討  「その回収不能による損失額を、当該回収不能の事実が発生した年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入すべきものとされ、これによって納税者は実質的に先の課税について救済を受けることができたのである」ことを理由として、Xらの不当利得返還請求を退けている。  雑所得貸倒分不当利得返還請求事件の判決は、雑所得については、「貸倒れによって前記の意味の課税の前提が失われるに至ったにもかかわらず、なお、課税庁が右課税処分に基づいて徴収権を行使し、あるいは、既に徴収

          §234.01 事業上の損失

          §233.01 費用収益対応の原則

          1.費用収益対応の原則  費用収益対応の原則は、「『ある支出は、それが収入を得るのに用いられた年の必要経費として控除される』という原則」(佐藤〔第4版〕270-271頁)と説明される。  引用教材は、「ただ、この場合に注意しなければならないのは、対応に際して基準になるのは収益の側であって、費用ではないということである。つまり1期の経常収益をとらえ、この収益をあげるに要した費用を抜き出すのである。」と説明する。このため、「収益」が先に決まると考える。  売上高と売上原価

          §233.01 費用収益対応の原則

          §232.03 管理支配基準

          1.事案の検討  本件判決は、「原則として、右債権の存在を認める裁判が確定した時にその権利が確定するものと解するのが相当である」とする。  その理由は、①「賃料増額の効力は賃料増額請求の意思表示が相手方に到達した時に客観的に相当な額において生ずるものであるが、賃借人がそれを争った場合には、増額賃料債権の存在を認める裁判が確定するまでは、増額すべき事情があるかどうか、客観的に相当な賃料額がどれほどであるかを正確に判断することは困難であり、したがって、賃貸人である納税者に増額

          §232.03 管理支配基準

          §232.02 権利確定主義⑵ – 発展問題

          1.事件のその後  (略) 2.一審判決との比較  この点、「どちらの判決も『原告の側がなすべきことをすべて終わったか』という基準で、権利の確定を判定しようとしていることに違いはありません」と解説されている(佐藤〔第4版〕261-263頁)。つまり、本件判決は、「明渡しの期限までに当該土地を明け渡しさえすれば、その後は他の一般国民と同様に国の使用権の行使を受忍する義務を負うのみであって、そこには継続的な役務の提供行為を観念することができず、また、右明渡しの不履行でさえ

          §232.02 権利確定主義⑵ – 発展問題

          §232.01 権利確定主義⑴ – 基本的な考え方

          1.事案の検討  本件判決は、「現実の収入がなくても、その収入の原因たる権利が確定的に発生した場合には、その時点で所得の実現があったものとして、右権利発生の時期の属する年度の課税所得を計算するという建前(いわゆる権利確定主義)」と判示した。  所得税法36条(旧法10条)が「収入すべき金額」と定め、「収入した金額」と定めていないということから、権利確定主義を採用していると解釈した。  「所得税は経済的な利得を対象とするものであるから、究極的には実現された収支によっても

          §232.01 権利確定主義⑴ – 基本的な考え方

          §231.04 組合員の所得と計算方法

          1.事件のその後 (略) 2.事案の検討 問:任意組合の課税方式の内容を整理せよ。 甲説(総額方式) 結論: 総額方式は、任意組合の損益計算書、貸借対照表の各項目のすべてを各組合員に配分する方法である。 理由: 組合財産が組合員の共有とされており、組合損益(任意組合の行う個々の事業活動から生じた損益)は、それが生ずるごとに実際に分配の有無を問わず(損益分配割合に応じて)各組合員に帰属する。 乙説(純額方式) 結論: 純額方式は、任意組合の利益金額や損失金額のみを各

          §231.04 組合員の所得と計算方法

          【まとめノート】 所得分類

           ケースブック租税法「第2編 所得税」の「第2章 所得分類」の復習として、まとめノートを作成しました。まとめノートに、今後の気づきを書き込んで、さらに、理解を深めて参りたいと考えております。 「預貯金」(所得税法23条1項)の意義 株主優待は配当所得(所得税法24条1項)にあたるのか 譲渡所得の趣旨 無償譲渡と譲渡所得 売掛債権の譲渡と譲渡所得 譲渡益・譲渡所得の用語法 生活用動產の讓渡損益 所得税法9条1項10号の資力喪失要件 所得税法33条2項への言及

          【まとめノート】 所得分類

          【まとめノート】 所得税の基礎

           ケースブック租税法「第2編 所得税」の「第1章 所得税の基礎」で勉強したことをノートにまとめました。効率的な復習になっていると感じました。理解があいまいであったり、間違っていたところに気づくことができました。ほかの分野も、同じことをやってみたいと思います。やはり、勉強がすすむと、昔、読んでわからなかったことがわかってきて嬉しくなります。こういう体験をしたくて勉強しています。 包括的所得概念 違法な所得 未実現の利得 所得税法施行令30条2号の「損害賠償金」の意義

          【まとめノート】 所得税の基礎

          【過去問】 時効取得の所得分類

          1.問題 2.出題趣旨 3.採点実感等 4.解答例 設問1について  Cは甲土地を時効取得し、純資産が増加している。この所得は、所得税法上、いかなる所得に分類されるか。  この点、時効取得による所得は、自己の計算と危険において営利を目的とし対価を得て継続的に行う経済活動から所得ではないため、事業所得(同法27条1項)には該当しない。  また、非独立的に、従属的な労務提供の対価として稼得された所得でもないため、給与所得(同法28条1項)にも該当しない。  さらに、資産の

          【過去問】 時効取得の所得分類