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映画Note 「カイジ」シリーズ

カイジ 人生逆転ゲーム(2009)
カイジ2 人生奪回ゲーム(2011)
カイジ ファイナルゲーム(2020)
原作:福本伸行「カイジ」(講談社ヤンマガKC刊)
監督:佐藤東弥


<要旨> 
ジャンル:「改善懲悪」
 主人公の伊藤カイジ(藤原竜也さん)が、巨大企業・帝愛グループの主催するイカサマギャンブルに参加し、周りの協力を得ながら彼らを倒しながら成長していく。

<格言>
「奢るよな、奢るよな優秀なんだから!ここまで、クズを寄せ付けずに勝ち続けてきたんだから!その優秀ゆえの傲りを売ったんだよ、このみっともねえ奴隷が!」(カイジ)

「勝ったら良いなじゃない、勝たなきゃダメなんだ!」(利根川)


<考察>
1 遠藤凛子(天海祐希さん)は、女神としての役割を果たしている。カイジに、エスポワール号に乗らないか、と提案したのも、利根川とのEカード対決で資金提供をしたのも、彼女。しまいには2回も、賭けの勝ち金を持ち逃げされてしまう。(これはお金を持ちすぎるなよ、という訓示かもしれない)そう、カイジは、元帝愛幹部の遠藤に唯一勝ったことのない相手となる。ファイナルゲームの時は、ドリーム・ジャンプのあたり番号さえ知れれば良いという助言をしている。主人公のカイジを勇者と見るならば、一種のRPGゲームと見ることもできる。

2 カイジは回を重ねるごとに成長している。帝愛の主催するギャンブルに挑戦する目的が、自己から他者へと変遷していく。1回目は、連帯保証人となったせいで背負うことになった借金の返済、つまり自分のため。2回目は、自身の借金のほかに、地下帝国で奴隷労働させられていた仲間のため。3回目は、預金封鎖を防ぐ、つまりは日本国民のため。

3 12枚のカードを使ったじゃんけん勝負で、結託してあいこを12回連続で出し続ければ帰れるのに、どうしてやらないのか納得できなかった。

4 帝愛グループの幹部としてギャンブルで破産した男たちを踏みつける利根川や一条もまた、会長の下で働く奴隷の一員であった。

<感想>
 一番面白いのは初作。なんといっても香川照之さんの演技が映画を際立たせる。傲慢な態度を取る冒頭とは打って変わって、クライマックスのEカード対決で動揺する対比構造がたまらない。もちろん、カイジの打つ手を予想し頭の中で考えに考えるシーンはなおさらだ。初作を一番面白いと感じるのは、人対人の真剣勝負、つまりイカサマができる状態でないからだろう。そして、頭の切れる利根川が考えに考え、考えすぎたが故に負けたシーンは頭でっかちの短所を表していて面白い。
 
 3作目。ヒロイン(関水渚役)はいらない。活躍した場面といえば、ドリーム・ジャンプの時にあたりの番号が9(キュー)であることを教えてくれただけ。カイジ(藤原竜也)の創り出す世界観を壊すキャラ設定なので、もったいない。特に接待じゃんけんのシーン。高倉(福士蒼汰さん)とカイジがバチバチと火花を散らすところに、あんなふうに割って入られては、気分が台無しだ。

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