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一乗谷アラカルト ⒚


唐門と薄墨桜

     きてみれば 柳さくらの 花の園
            都のけしきたちも をよばじ

(富小路資直「詠三十一首和歌」より)

 約500年前、一乗谷を訪れた公卿で歌人の富小路資直とみのこうじすけなおの和歌です。
 この句は往時の花咲く一乗谷の様子がいかに華やかだったかを端的に物語っています。
 昔も今も同じです。桜の時季になると京の都に勝るとも劣らない一乗城下町の華やかさが偲ばれます。
 上掲の画像は、義景館跡の唐門に寄り添う薄墨桜です。観光客や写真愛好家の方々に圧倒的な人気を誇っています。
 しかし、一乗谷では唐門のみならず、遺跡全域が桜で埋め尽くされます。栄華を極めた一乗城下町を彷彿とさせます。
 ちなみに、戦国の世に一乗城下町は京の都に匹敵する経済・文化・生活水準を誇っていました。
 一乗城下町は国主、朝倉義景の自慢でした。他の戦国大名と一線を画して天下取り(上洛)に執着しなかった理由の一つが、「都に勝る我が城下」にあったと私は想っています。


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